・メキシコでの新型コロナウイルスの状況
・オンラインのスーパーマーケットを運営する「フスト」
・スマホ経由での決済を手掛ける「クリップ」
おはーん、ペーパー先生です。
今回はメキシコのベンチャー企業が取り組むデジタル化についてです。
コロナ禍で変化する消費者ニーズをデジタルでしっかりと捉えている企業活動について、
6月28日のテレビ東京『Newsモーニングサテライト』の中から
日本経済新聞社 宮本英威(みやもとひでたけ)メキシコシティ支局長のレポートをやわらか紹介します。
新型コロナウイルスの状況
まず、新型コロナウイルスの状況ですが、6月26日時点の
累計感染者数は250万3408万人、死者数は世界で4番目に多い23万2521人です。
3月以降は鈍化傾向で推移してきましたが、アメリカからの観光客の増加を背景に、
リゾート地のカンクンがあるユカタン半島やバハ・カリフォルニア州で増加しています。
一方、ワクチン接種は1日で60万回を超える日も増えており、
10月末までに全対象者へ少なくても1回の接種完了が見込まれています。
広く進んでいる背景としては、欧米製のワクチンだけではなく、
中国製やロシア製も活用されていることが挙げられます。
すでに40歳代の接種も始まっており、進捗率は世界で9番目。
新興国としては検討していると言えます。
オンラインのスーパーマーケットを運営する「フスト」
いま、メキシコでは消費の分野でデジタル化が進んでおり、
この分野でベンチャー企業の躍進が目立っています。
まずはオンラインのスーパーマーケットを運営する「フスト」です。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出を控える人の購買需要を上手く取り込んでおり、
20年の売上高は前の年に比べ16倍に増えています。
ネットスーパーは、アメリカのウォルマートや、地元大手のソリアナも手掛けていますが、
フストは完全にネット専業となっており、店舗運用の費用が掛からないため
コストを抑えることができるのが強みとなっています。
割引クーポンが人気を集めており、中間層の若い家族を中心に会員を増やしています。
売れ筋の中心は生鮮食品で、手作りのチーズやヨーグルトなどの商品が売れているのだとか。
地元の小規模農家や生産者の製品も広く扱っており、これも人気の秘密になっています。
フストは2019年5月に創業しておりまだ若い企業ですが、
これまでアメリカやメキシコのベンチャーキャピタルから1億ドル(およそ110億円)の資金調達を行っています。
国内でも営業エリアを広げており、将来的には海外進出も視野に入れているとのことです。
スマホ経由での決済を手掛ける「クリップ」
続いての企業は「クリップ」。
2012年創業のスマホ経由での決済を手掛けるベンチャー企業です。
6月10日に、ソフトバンクグループと、アメリカのバイキンググローバルインベスターズから、
2億5千万ドルの出資を受けたことを明らかにしており、企業価値は20億ドル近くと判断されています。
サービスの特徴は、利用店舗側がとにかく簡単に導入できるということが挙げられます。
クレジットカードを読み込む機械を、スマホのアプリと連動させるだけでクレジットの決済端末として使えるようになります。
メキシコでは1人当たりのカード保有数は平均1.5枚とかなり高い割合ですが、
年間の使用回数はおよそ40回に留まっているそうです。
使用回数が少ない背景にあるのが、小規模な店舗や地方では
クレジットカードやデビットカードを読み込む決済端末が普及していなかったことが理由です。
クリップの推計では、メキシコにある1100万事業者のうち、
いまカード支払いを受け付けているのがおよそ100万程度と見ており、
この差がクリップの潜在的な市場となります。
現在の従業員数はおよそ600人。
これから1年半の間に320人の採用を予定しており、成長を加速していく考えだそうです。
メキシコではこの2社以外でもデジタル化の推進で期待できる会社は多くあり、
ベンチャー企業の活躍の場も広がっていくと考えられます。
さいごに
メキシコでは6月24日、メキシコ銀行(中央銀行)が、2018年12月以来の利上げを決め、
政策金利を0.25%引き上げて4.25%にすると発表しました。
主食であるタコスに使うトマトや鶏肉などの食料品価格が上昇しており、
利上げ実施により、輸入物価を押し下げインフレ抑制に繋げようとしています。
新型コロナウイルス感染者数の押さえ込みと合わせて、非常に難しい舵取りが試されている中で、
ベンチャー企業が力強く活動しているという点には希望を感じますね。
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では、ごきげんよう。
メキシコ経済の飛躍にはデジタル化を活かした消費喚起が急務。