・ニューノーマルな働き方を知りたい方。
・企業と社員との関係性に変化を感じている方。
・正社員から業務委託契約へ切り替える制度に興味がある方。
おはーん、ペーパー先生です。
以前に企業と個人との関係性の変化についてお話したことがありました。
個人が企業の価値観に合わせるのではなく、個人の価値観にあった企業とプロジェクトベースで仕事をしていくスタイルが加速していくという内容です。
そんな中、11月11日(水)の日経電子版にこのような記事が掲出されました。
電通、社員230人を個人事業主に 新規事業創出ねらう(日経電子版)
2020/11/11 20:32
電通さんが、一部の正社員を業務委託契約に切り替え、「個人事業主」として働いてもらう制度を2021年度から始めるというものです。
同社は副業禁止ですので、この契約に切り替えることで社員は兼業や起業が可能になります。
最近は副業を解禁する企業が目立ってきています。
・DeNA(契約社員含む/許可制)
・NEC(正社員のみ/許可制)
・NTTドコモ(契約社員含む/許可制)
・サイバーエージェント(契約社員含む/容認)
・メルカリ(契約社員含む/容認)
・ソフトバンク(契約社員含む/許可制)
・富士通(正社員のみ/許可制)
・リクルート(契約社員含む/許可制)
【出典:日経クロステック】
電通さんはこれらをさらに踏み込んだケースと言えます。
旧来の考え方でいくと、
「え?会社側がいつでも社員のクビを切れるようリスクヘッジしているだけじゃないの?」
と映るわけですが、終身雇用の考え方が崩壊している日本では、
そもそも企業に縛られた働き方しかできない方がリスクが高まります。
今日は、正社員を業務委託契約に切り替えることの是非について、やわらか解説していきます。
正社員から業務委託契約に切り替えるメリット・デメリット
電通さんの記事のポイントをまとめると、
・正社員を業務委託契約に切り替える制度を21年度から開始。
・新制度の適用によって兼業や起業が可能。
・全社員の3%に相当する約230人を切り替える。
・全職種40代以上の社員が対象。
・契約期間は10年間。
・固定報酬のほか利益に応じたインセンティブ付与あり。
・競合他社での業務は禁止。
このようなものです。
企業におけるコストの多くは人件費です。
現在、コロナ禍にあるほか、5月にはサイバーエージェントさんの時価総額が電通さんを抜くなど、広告業界を取り巻く大きな環境変化の中にあります。
そうしたことからも、体の良いリストラ策にも見えるかもしれません。
この辺りの本音は当事者しか分かりえませんが、
電通さんの情報をベースに、正社員の立場から見た場合の、業務委託契約に切り替えるメリット・デメリットを見ていきましょう。
・固定報酬が約束されている。
・副業や起業により節税が可能になる。
・会社勤めではできなかった分野へ挑戦できる。
一番のメリットは新しい挑戦をする際に、最低限の収入が確保できるということです。
個人事業主や起業の心理的な壁は、将来の生活不安なわけです。
それが保障されちゃうんですから、最大のメリットと言えます。
また、会社員をしているとノーガードで取られ放題の税金ですが、
個人で仕事をする部分については、適切に節税をすることが可能になりますので、
支出コントロールの面でこれも大きいですよね。
新しいことへの取り組み方は、
スキルを他の業界で試す「業界変更」ということもできますし、
経験の幅を広げるという意味で「職種変更」をすることも可能です。
これも会社組織の中では自由にできませんから最大限活用したい点です。
・10年後の固定報酬は約束されない。
・行動力がないとこの制度を活かせない。
基本的にこの制度は、会社に依存しなくても生きていけるのか否かを振り分ける、ある意味で無慈悲なものとも言えます。
会社との業務委託には期限がありますので、その間に自分の力を活かせる場を能動的に探していける人でないと、収入は先細ります。
電通さんのケースでは制度の利用対象が40歳以上です。
ちょうど先生と同じぐらいですから、社会人経験も十二分に積めている期間です。
つまり、
・会社内でそれなりの役職・役割についている方はそもそも外でも活躍できる。
・スキルを活かしきれず会社でくすぶっているような人には大きなチャンス。
これに当てはまらない方は、業務委託への切り替えは魅力的に映らないと思います。
世の中の潮流
40歳で業務委託契約に切り替えた場合、
早期退職して残り20年間どのような働き方をするのか、
というテーマと向き合うことになります。
以前にご紹介した人生50年計画。
こうした海図を持っている方にとって、今回の制度は大歓迎でしょう。
そもそも世の中の潮流もこの方向です。
我々一人一人が何をやって生きていきたいのか。
このことを考えさせてくれるニュースでした。
では、ごきげんよう。
人生の海図を持っている人は舟を漕ぎだそう。