・暗号資産に向かって動く企業
・暗号資産を取り巻く概況
・法定通貨へのアンチテーゼ
おはーん、ペーパー先生です。
久しぶりにビットコイン(BTC)に代表される暗号資産(仮想通貨)の話題をお届けしようと思います。
先生がポートフォリオに暗号資産を組み入れたのは昨年11月でした。
詳しい理由などはこちらで解説をしています。
その後、大相場を演じていたわけですが、暗号資産は日々の細かい話題を拾うよりも、
かなり長いスパンで見通していく必要があると先生は考えています。
そのためブログではしばらく取り上げてこなかったのですが、
世の中の動きにかなり重要なものが出てきましたので、
今日は暗号資産に関する企業の動きと、今後の展望についてやわらか解説します。
暗号資産に向かって動く企業
まずは、企業の動きからです。
<スクエア(業種:モバイル決済)>
2018年にビットコイン購入機能を追加しているほか、2020年には「Auto Invest」と呼ばれる機能により、毎日・毎週・毎月など、利用者が期間設定した時間で自動的にビットコインを購入する機能を実装。また同年10月、約5000万ドルを投じて約4709BTCを購入したと発表している。
<ペイパル(業種:決済サービス)>
2020年10月に暗号資産の売買や決済サービスでの利用に本格的に取り組む方針を発表。ビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコインの4種類の暗号資産をペイパルアカウント上から買えるようになり、今年初めから世界のペイパル加盟店2600万店で暗号資産を使った支払いを可能にする予定。
<マイクロストラテジー(業種:データ分析ソリューション)>
同社は資金の一部を暗号資産で保有する財務戦略を掲げており、2020年12月初めに6億5000万ドルの転換社債を発行し、2万9646BTCを購入。マイケル・セイラーCEOは、これまでに11億2500万ドルをビットコインに投資し、平均取得額が1万5964ドルだったとツイートしている。また、テスラのイーロン・マスクCEOに購入を勧めた張本人でもある。
<ブラックロック(業種:資産運用)>
世界最大の資産運用会社である同社が2021年1月に提出した最新の目論見書で、2ファンドが購入可能な資産に現金で決済されるビットコイン先物が含まれることが明らかになった。ラリー・フィンクCEOは、自社顧客は暗号資産を保有することに興味がないと述べている一方、経営幹部はデジタル資産を受け入れる姿勢を示唆するなど、姿勢に変化が伺える。
<テスラ(業種:再生可能エネルギー)>
2021年2月8日、手元資金の8%近くにあたる15億ドル相当をビットコインの購入に向けたことを発表。米証券取引委員会(SEC)に提出した2020年度の年次報告書によると、今後も状況に応じてデジタル資産やゴールドなどの購入と保有を検討していくと記している。また、近い将来において同社製品の支払いでビットコイン利用を受け入れる準備をしている。
<バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(業種:金融機関)>
2021年2月11日、米大手銀行で初めてとなる暗号資産の資産管理サービスを立ち上げると発表。年金や保険会社など大手機関投資家の間で暗号資産の運用需要が高まると判断し、株式や債券などの保管サービスに暗号資産が加わることになる。米規制・監督当局の認可を得た上で、2021年後半にもサービスを開始予定。
暗号資産を取り巻く概況
次は暗号資産の概況についてです。
13日に配信されたテレ東さんの「モーサテサタデー」に出演された
マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストのコメントを参考にさせていただきながら、
暗号資産の取り巻く概況について触れていきます。
【出典】土曜の朝のマーケットLIVE「モーサテサタデー」(テレ東NEWS)
「暗号資産・・今、学ぶべき理由とは?」
2021.02.13
<暗号資産 環境の変化>
2017年の暗号資産バブルは圧倒的に日本市場が中心でした。
これは金融庁が事業者に登録制を設けるなどの規制を行い、世界でも進んでいた市場だったことで
多くの個人投資家が参加するきっかけになったからです。
・🇯🇵個人投資家の市場(円が60%)
・通貨への信頼
・🇯🇵独自制度に市場加熱
・セキュリティー未成熟
・未知のモノ
・🇺🇸市場・投資家拡大(米ドルが70%)
・通貨の信頼低下
・規制の整備・定着
・セキュリティー向上
・研究の活発化
現在は、コロナ禍で痛んだ経済を下支えするために中央銀行が金融緩和を続けており、
価値の保全をするための動きが、企業にも波及してきていると言えます。
<ビットコインの理論価格と実勢価格>
暗号資産には株式でいうPERやPBRのような理論値はありませんが、
“こういうトレンドに沿って動いている”というベンチマークは存在します。
それが、理論価格です。
理論価格と実勢価格を比較すると、細かい上下はあるものの、
ある程度、実勢価格をフォローして推移していることが分かります。
では、この理論価格がどのように算出されているのか。
株式と同じように収益や配当などから計算をすることはできないため、
鉱物資源などにも適用される「Stock-to-Flow」(S2F)、
つまり「今ある資産の量」に対して「マイニングで生まれる新しい供給量」を用いています。
・フローがストックに対して大きいと、希少性が落ちていく。
・フローが少しずつしか増えず、ストックが拡大していくと、希少性は高まる。
この希少性を測るのが理論価格となります。
ビットコインは発行上限が2,100万BTCと決まっており、供給量も時間の経過により減っていきますので、
需要が増えてくれば必然的にその価値も高まってくると考えられるわけです。
いづれにしても、
・必然的に理論価格どおり実勢価格が動いている。
・多くの市場参加者が理論価格を見ながらトレードをしている。
このどちらかだと言うことができ、
実際に過去10年の推移もそれを示すものとなっているわけです。
<暗号資産の信頼度の違い>
自国通貨が信頼できない国・地域は、暗号資産の信頼度が高くなり、
その逆に自国通貨の信頼が高い国・地域は暗号資産の信頼度が低くなる傾向にあります。
上記図で示されている日本の位置はマネックス証券さんの試算となっており、信頼度は30%程度。
トルコの場合は、自国通貨を保有していても価値の目減りのリスクや
他国通貨への両替での手数料の高さなどがあり、そうした点も暗号資産への信頼が高まる要因となっています。
これは米国や日本でも他人ごとではなく、中央銀行が市中に大量の紙幣を
行き渡らせる金融緩和を続けていけば、規模こそ違えど同じケースが考えられるわけで、
昨今の暗号資産高騰の背景の一つにもなっています。
さいごに
いかがだったでしょうか。
年末年始を挟んだだけでも山のように話題がありましたね。
「ボラが高すぎて通貨としてはどうなのか?」
こういう声は今でも聞かれます。
先ほど、代表的な暗号資産のビットコインについて、
理論価格と実勢価格の話題に触れましたが、
現在は供給も需要も過渡期ですので安定するはずがありません。
上限である2100万BTCの発行を迎えるのは2140年ごろだと言われていますので、
もしかすると需給の安定はこの頃になるのかもしれません。
また、マイナーの活動動機となっている報酬のうち、発行終了後はマイニング報酬がなくなるわけですが、
一方で取引手数料による報酬は残り続けるため、インセンティブの軸足が大きく変わることになります。
これがビットコインの利用環境にどのような影響があるのかという点も将来に向けてのポイントかと思います。
いづれにしても、暗号資産の存在は無尽蔵に刷られ続ける法定通貨へのアンチテーゼでもあり、
金融緩和が続けば続くほど、ますますその存在が大きくなっていくのは間違いありません。
では、ごきげんよう。
モノの価値とは何かを考える日々。