・ディスカッションでのズレ
・課題解決の事例
・3つの視座
おはーん、ペーパー先生です。
仕事していく上で必要になるのがディスカッションです。
直訳すると討論や議論という意味。
ある1つのテーマについて、参加者たちが意見や情報を出し合いながら、
より良い結論へと導いていく活動のことを指します。
会社で仕事をしていく上で、部内や部外、また社外とディスカッションをして
ビジネスを進めていくことは避けて通れません。
ディスカッションは自分と第三者とで行われますから、
相手と知識や経験などのレベル差によって
このようなズレが生じることがあります。
・話がかみ合わない。
・話がまとまらない。
・話が前進しない。
参加する人のレベル感を意識しなければ
質の高いアウトプットにはならない。
このことに、ぼく自身は社会人15年ぐらい経過してようやく気付きました。
意思疎通は組織で物事を動かす際のベースです。
今日は、ディスカッションでの意思疎通の効果を高めるために必要なポイントを
例を出して紹介していきます。
ある会社での事例
ある会社で、とある製品開発のプロジェクトに関して、
課題解決を図っていたとします。
製造部長のAさんは、3人の方とそれぞれ話をすることにしました。
<話した相手>
Bさん(営業部長)
Cさん(人事部長)
Dさん(宣伝部長)
<抱えている課題>
製造中の玩具新製品に不具合が出ており発売が遅れそう。品質チェックをしっかり行うために、発売日を2ヶ月間延期して対応をしていきたいので、各部門からアドバイスが欲しい。
<ディスカッション結果>
Bさん(営業部長)
「そもそも、不具合が出るということは、製品設計ひいては企画自体に問題があったと考えられる。つまり、企画の承認プロセスを、改善していくべきではないのか。」
Cさん(人事部長)
「不具合が出ている要因が、組織の仕組みに関することなのか、人に関することなのかで対応すべきアクションが変わる。いづれにしても直近の対応は、営業活動や宣伝施策への影響を踏まえて早期に決めをすべき。」
Dさん(宣伝部長)
「今回の製造での不具合は、パーツが外れやすいこと。製造よりも設計に問題がある。担当しているプロジェクトリーダーの〇〇さんは、こういう不注意が多いのではないか。」
このようなディスカッション結果となりました。
Aさんは、不具合が出た玩具新製品の発売延期をすると、
どんな課題があり、それをどう対処するべきかを、関連部門長と話を付けたいわけです。
ただ、出てきた結果は三者三様。
この3人の中で、Aさんが求めている方向で回答をしている人は誰でしょうか。
そう、Cさん(人事部長)です。
課題の構造に言及しつつも、短期的な落しどころを探っています。
他の2人は、やや話し合いたい回答とはズレがあるようです。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
これには視座の違いが原因の1つに挙げられます。
3つのパターンに分類してみました。
■トップ発想:
経営的な発想で、社長や役員レイヤーからの視点。物事を大局で捉えて課題解決にあたっていくため、非常に本質的で正論となる。一方で、理想論も多分に含まれるため、物事を動かしていく、解決していくのには相当な時間を要する。
■ミドル発想:
トップ発想の下部に位置付けられ、部門長レイヤーで持つべき視点。各部門ごと部分最適でどうあるべきかが論点となる。課題の多くは、1つの部門内で収まることは少ないが、部門間で連携して対処すれば大体のケースで解決を図れる。一方で、縦割りで横の連携が薄いと上手く機能しない。
■ボトム発想:
ミドル発想よりもさらに下部の、ごく「点」の事象を捉えたスタッフレイヤーでの視点。日常業務で発生する課題について、その都度解決を図っていく。これらが潜在的に放置されていくと、積み重なった事象が大きな問題となり、ミドル以上でないと改善できなくなる。
会社組織では、役職により求められていることが違います。
各セクションの責任者にあたる部門長は、
上記でいくとミドル発想を用いて課題解決をあたっていく必要があります。
先ほどの例でいくと、このように整理ができます。
Cさん(人事部長)はミドル発想。
Bさん(営業部長)はトップ発想。
Dさん(宣伝部長)はボトム発想。
与えられた役職よりも低い視座しか持ててない、
というケースは抜擢人事などで起こり得ます。
一方で、与えられた役職よりも高い視座しか持ててない、
というケースもまれに存在します。
いわゆる理想論ばかりを語って、行動をしないタイプです。
どちらかというと、こちらのタイプの方が迷惑です。
もっともらしいことを言いながら、何もしないからです。
さて、このような整理をしていくと、ディスカッションを行う際には、
話をする相手が、トップ・ミドル・ボトム発想の
どのカテゴリーの視座を有しているかを、先に見極めることが大事であることが分かります。
・相手が与えられた役職と同じ視座を持っている。
→この場合は、結論がスムーズに出ます。
・相手が与えられた役職よりも低い視座しか持ててない
→この場合は、こちらから結論を提示してあげる必要があります。相手の分も情報整理をする必要がありますから、労力がかかります。
・相手が与えられた役職よりも高い視座しか持ててない、
→この場合は、理想論から、少しずつ現実方向に話を引き下げていく対話が必要です。なお、課題解決プロセスを整理する際には、部門を跨ぐアクションプランになりがちです。
対処方針としてはこのような形になります。
さいごに
人同士のコミュニケーションというのはまさに生物ですから、
すべての事象において、今日のお話し通りにきれいに型にハマるとは言い切れません。
ただし、相手の視座を意識すると、ディスカッションを開始する前から
どのように結論を導き出して、合意形成をすべきか、
準備をしておくことができるわけです。
また、こうした整理をしていくためには、
相手がどの視座を持っているかを見極める目を持つ必要もあります。
こればかりは場数で経験を蓄積していくしかすべがありません。
まずは、こういう構造を念頭に持っていただきながら、
日々のディスカッションに臨む。
そして、そこから気付きを得ていく。
これを1年、2年と繰り返していただくだけで
目利き力や自分自身の視座も磨かれていくと思います。
では、ごきげんよう。
よろしければこちらの記事もご覧ください。
ディスカッションに必要なのは、相手の目利きと合意形成への粘り強さ。