・資金流入額でもトップクラスのオルカン
・オルカンの塊を持つという生活
・資産形成を将棋の布陣に例えてみると
ごきげんよう、ぺいぱです。
ぼくが資産形成を始めたのは2020年のコロナ禍。存分にあったおうち時間を活用して、書籍やブログ、YouTubeなどからインプットをし、家計の大改善を実施しました。結果、2014年の貯蓄率ゼロから20年・21年は6割まで急上昇させることに成功したわけです。
支出の見直しを行い、入金力を高めた先で行っていた投資はというと、当時は米国、中国、東南アジア企業の個別株を複数保有していました。しかし、運用にあたりメンテナンスの手間がかかることから2021年6月に全て売却し、投資信託『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(オルカン)に一本化して、今に至ります。
なお、このオルカンは2,500万円分を一括購入し、それ以降は毎月30万円分を毎営業日買い付けしています。うち3万円分はつみたてNISA枠となっています。
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そんな資産運用を続けてきましたが、2022年2月にはオルカンの運用額が株価上昇もあり3,000万円を突破。それ以降は大台を割ることもなく4月29日時点では3,650万円となっています。
オルカンは個人投資家の間でも人気の商品です。純資産総額では先日1兆円を突破。2022年度(22年4月〜23年3月)1年間での資金流入額は4618億円と、個別のETFを除く追加型株式投資信託全体の資金流入額で2位(1位は7,312億円で『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)インデックス』)。名実ともにトップファンドとなっています。
こちらは以前のツイートから。
22年度:運用会社別の資金流入額ランキング
🥇三菱UFJ国際(1兆8421億円)
🥈野村AM(8149億円)
🥉大和AM(5031億円)
④三井住友TAM(4716億円)
⑤フィデリティ(4393億円)eMAXIS Slim「S&P500」「オルカン」が商品別で1位2位。シリーズ全13本の残高合計は3月末時点で3兆9797億円https://t.co/Sv91uSjGJ5
— ぺいぱ (@papercapinfo) April 26, 2023
このように運用会社、三菱UFJ国際投信の躍進にも繋がっています。
SNSを利用していてもオルカンを軸に資産形成をされている方が非常に多い印象を持ちます。そこで今回は3,000万円分のオルカンを運用して感じる6つのことについて紹介していきます。
すでにオルカンを運用されている方だけでなく、これから運用を始めようとしている方にも参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までお楽しみください。
3,000万円分のオルカンを運用して感じる6つのこと
では、早速いってみましょう!
冒頭で複数ある個別株をオルカンに一本化したとお話ししましたが、ぼく自身ここまで大きな額の金融商品を保有するのは初めてのことになります。2010年に購入した3,000万円ほどの不動産が1つありますが、住宅ローン返済中でまだ残債が2,000万円ほどある状態だからです。
オルカンは一般的に、株式資産の中ではそこまで変動幅が大きくありません。1日で1%上下しただけで「おお、結構動いたな」と思いますし、それが2%だと「何かあった?」となり、3%以上動けば「これは大変なことだ」という印象です。
参考までに直近の基準価額の騰落率はこのようになっています。
<基準価額の騰落率(直近10営業日)>
※数字は前営業日比
2023年4月13日 ▲0.43%
2023年4月14日 +0.60%
2023年4月18日 +0.61%
2023年4月19日 ▲0.05%
2023年4月20日 +0.34%
2023年4月21日 ▲0.79%
2023年4月25日 +0.31%
2023年4月26日 ▲1.84%
2023年4月27日 ▲0.27%
2023年4月28日 +1.64%
ご覧のようにほとんどが1%以内の値動きに止まっていることがお分かりいただけるかと思います。しかしながら当たり前ですが運用額が大きくなれば評価額の変動幅も大きくなります。例えば1%上昇した場合ですとこのようになります。
30万円 → +0.3万円
300万円 → +3万円
3,000万円 → +30万円
このように3,000万円の運用ともなると毎月のお給料と同じレベルの額が上下することになるわけです。参考までに、NYダウが過去最大の2,997ドル安を記録した2020年3月16日のコロナショック時で見てみましょう。
オルカンの基準価額は翌日の2020年3月17日に前日比▲9.26%を記録しています。先ほどご紹介した変動幅を踏まえると驚くべき暴落ですね。金額にするとどのぐらいの下げになるのか。見てみましょう。
30万円 → ▲2万7,780円
300万円 → ▲27万7,800円
3,000万円 → ▲277万8,000円
おお、下手したら年収分が1日で吹き飛ぶぐらいの下落だったことが分かります。なおその後、主要中央銀行による空前の金融緩和による大相場が訪れ、2020年3月17日から2023年4月28日までのオルカンの騰落率はなんと+110.68%。つまり倍になってるんですよね。想像の遥か上を常にいくのが株式市場、と言えます。
というわけで、1つめは「お給料以上に評価額が上下する」でした。
お給料ぐらいの金額が1日で上下するという話をしたばかりですが、実はこうやってぼくが日々の値動きを確認していたのは最初の半年ぐらいでした。
当たり前なんですが、「上がる日もあれば下がる日もある」ということで、売買をすることを前提としていない金融商品の現在価格をチェックすることって、ぜんぜん意味がありません。
資産運用の手間がかからない商品を選んでいるのだから、そんなことをしてないで他のことに時間を使った方が合理的です。そんなこんなでぼくは現在は基準価額のチェックをするのは月末に収支運用状況をまとめる時だけになりました。
もちろん、自身の資産形成という観点とは全く関係なく、日々の世界経済の動きはテレビやWebなどで追いかけてはいますが、もうそれとこれとは完全に別腹、という感覚になっています。
ぼくの株式投資は2004年の日本株が原点です。手法や投資先が全然違いますから単純比較はできませんけど、個別株時代に比べオルカンに一本化してからの方が運用成績に安定感が出ています。
以下は、ぼくの過去5年の金融商品に対する運用利回りです。ここから何が読み取れるのか。
<過去の運用利回り>
2018年 ▲23.2%
2019年 +17.1%
2020年 +46.7%
2021年 +4.6%
2022年 ▲14.4%
数字だけ見ると暴れまくっているわけですが、まず2018年と2022年はともに暗号資産市場の大暴落、2019年と2020年は保有していたハイパーグロース個別株の大躍進の影響です。つまり残りの2021年で出た+4.6%という数字が、非常に地味ではあるもののオルカン運用の安定度を分かりやすく際立たせています。
日々の生活をしていると、とある個別銘柄がミーム株化し1日で数十%上昇みたいなことがあったり、ある地域の経済が今後大きく伸びてくるといった話を耳にしたりと、ついつい欲が出てこうした金融商品をつまみ食いしたくなることがあるものです。
狙いが当たれば大きく資産増につながりますが、もちろんその逆もあるわけです。SNSでこのような阿鼻叫喚を目にすること多くありませんか?
よほど株取引での才覚をお持ちの方でもない限り、こうした煩悩に打ち勝ち、コツコツ・たんたん・中長期でドシンプルにオルカンを買い増し続けるのが資産形成の近道。この境地に立ったもん勝ちということなのだとぼくは思います。
というわけで、2つめは「日々の株価が気にならなくなる」でした。
ぼくのオルカンは3,000万円のうち2,500万円分を2021年6月に一括投資しています。先ほどご紹介した通り運用額が大きくなれば評価額の変動も大きくなりますし、そこにさらに複利効果も乗ってきます。
しかし額と同じぐらい購入タイミングも重要です。例えば以下の2つの例を挙げたいと思います。
A. 2020年1月に1,000万円分のオルカンを一括購入
B. 2022年1月に1億円分のオルカンを一括購入
投資金額にかなりの差がありますが、その後2023年4月末時点で評価額どうなったでしょうか?一見すると1億円が有利にも思えますが結果はこうです。
A. +510.4万円(+51.04%)
B. +235万円(+2.35%)
なんとAがBにダブルスコアをつけて運用益で上回っているんですね。これは極端な例として紹介しましたがタイミングを図ることは誰にもできませんし、そもそも投資信託というのはそういう性質の商品でもありません。
ただ、大きく一括投資をした身からすると、そのタイミングが以降の成果を大きく左右するということを実感しているわけです。ぼくは3,000万円という額を運用していますが、場合によっては500万円一括投資で始めた方よりも運用益が劣る場合もあるし、逆に1億円一括投資をされた方よりも運用益が上回る場合もある。
こういうことも引っくるめて投資の奥深さだということですね。
というわけで、3つめは「額の大小よりもタイミングが重要」でした。
昨年は急激な円安が話題になりました。過去5年のチャートを見てみましょう。
<年初のドル円相場(過去5年)>
2019年1月4日 108円52銭
2020年1月3日 108円02銭(+0.46%)
2021年1月1日 103円24銭(+4.62%)
2022年1月7日 115円59銭(▲10.68%)
2023年1月6日 132円08銭(▲12.48%)
※カッコ内は前年同月比の対米ドル騰落率
【出典】Googlファイナンス
このように、しばらく100-110円のレンジ相場だったものが、2022年に突然対米ドルで急落し始めています。
主要中央銀行が金融引き締めに動く中で、日本だけが金融緩和を続けていることがその要因の1つとも言われていますが、いづれにしてもこの1年で20%近く下落していることになります。
仮に3,000万円を日本円だけで保有をしていた場合、対米ドルで実に600万円ほど価値が低下したわけで、これは大変なことです。日本に住んでいて日本円で給料をもらい、日本円だけで生活しているとなかなか実感することが難しいですが、我々は20%もの資産下落の事実を真剣に捉えないといけません。
なお、オルカンへの投資はこうした円安への強力な対抗策になっています。なぜならば構成している23の先進国・地域、24の新興国・地域へは、現地通貨で買い付けが行われているからです。
オルカンは米国株の組み入れ比率が高いこともあり、米ドルでの運用が実に全体の63.6%にも上ります。
<オルカン組入上位通貨の比率>
1 🇺🇸アメリカドル (63.6%)
2 🇪🇺ユーロ (7.5%)
3 🇯🇵日本円 (5.6%)
4 🇬🇧イギリスポンド (3.7%)
5 🇨🇦カナダドル (3.1%)
6 🇭🇰香港ドル (2.5%)
7 🇨🇭スイスフラン (2.5%)
8 🇦🇺オーストラリアドル (1.9%)
9 🇮🇳インドルピー (1.6%)
10 🇹🇼ニュー台湾ドル (1.3%)
2022年の株式相場は先に触れた金融引き締めの影響で大荒れとなりました。対前年末比でS&P500種指数は▲19.44%、ナスダック総合指数に至ってはなんと▲33.1%もの大幅な下落となったことは記憶に新しいところです。
なお、オルカンの参照指数であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI)で運用されるETF『iShares MSCI ACWI ETF』と2022年の年間騰落率を比べてみたいと思います。
<ACWI ETFとオルカンの騰落率比較(2022年)>
・ACWI ETF ▲19.75%
・オルカン ▲6.14%
どちらもマイナスで着地していることには変わりありませんが、同じ指数で運用されているのにかなりの差が出ています。これが円安効果です。外国の株式や債券などに投資している投資信託の場合、基準価額は為替変動の影響を受けるからです。
<為替変動による基準価額への影響>
・円高 → 基準価額にマイナス
・円安 → 基準価額にプラス
以前にブログやYouTubeでも、投資信託の基準価額がどのような場合に影響を受けるのかについて解説しているので、詳しくはこちらをご覧ください。
こうしたことからも、シンプルに資産形成を進めていくためには、オルカン+日本円、という組み合わせが「地域分散」「銘柄分散」「通貨分散」の観点からも最強だと言えるわけです。
というわけで、4つめは「円安への対抗策になっている」でした。
投資信託商品というのは運用にあたり様々なコストが発生します。
<投資信託の費用の一部>
■購入時手数料
購入時に販売会社へ支払う費用。申込価額の数%をその費用として支払うが、まれに換金時に支払うこともある。投資信託商品や販売会社によってはこの費用がない場合もあり、ノーロードと呼ばれる 。
■信託財産留保額
投資信託を購入または解約する際、手数料とは別に徴収される費用。販売会社が受け取るのではなく信託財産に留保される。投資信託によって差し引かれるものと差し引かれないものがある。
■運用管理費用(信託報酬)
投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて日々支払う費用。年率でいくら支払うのか、目論見書などに記載されている。
上記で紹介した費用のうち、オルカンでは「購入時手数料」「信託財産留保額」は発生しません。一方で「運用管理費用」については4月末時点で購入金額に対して年率0.1144%以内となっています。
オルカンを運用している三菱UFJ国際投信は、業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けるファンドシリーズとして「eMAXISSlim(イーマクシススリム)」を立ち上げました。
これは意気込みだけではなく、実際に他社競合商品の動向を見ながら、段階的に運用管理費用の引き下げが行われています。
<オルカン:過去の引き下げ履歴>
0.142%以内(2018年の設定時)
→ 0.12%以内
→ 0.1040%以内
→ 0.1030%以内(2023年5月11日から)
※表記は全て税抜(年率)
3,000万円分のオルカンを購入していた場合、運用管理費用が設定時と、5月11日に改定される最新のものとで比べるとこのような差になります。
<3,000万円の場合の運用管理費用>
0.142% → 4万2600円
0.1030% → 3万900円
なんと年間で1万1100円もの差が生まれます。これが10年、20年と続くことを考えると数十万円もの違いになるわけですから、たかが数%、されど数%です。
各社、来年から始まる新NISA制度に備えて、自社商品を選んでもらうためにコスト競争が加速しています。我々個人投資家にとって、不確定要素の多い投資の中で、運用管理費用は数少ないコントロール可能な部分です。個人投資家目線での健全なコスト競争は大いに歓迎したいですね。
というわけで、5つめは「運用コスト低下の恩恵が大きい」でした。
オルカンは配当金の分配がありません。このように公式サイトでも設定来の実績は0円となっています。
正確に言うと「配当が出ていない」ということではなく、配当金が自動で再投資に回っているので、投資家の手元にはお金が払い出されないということです。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されています。いわば金融庁が「これらの商品から選べば初心者でも長期的な運用をしっかり行えますよ」というお墨付きを与えたものに厳選されています。
配当再投資は一見、投資家が嬉しくなさそうな仕組みにも感じますが、実利にかなっています。なぜならば配当金が支払われると税金が発生するからです。もちろん最終的には現金化しますからどのみち税金は発生することになるのですが、これを繰延べすることで運用原資が大きくなり複利効果も加速する、というメリットがあるということです。
なお、複利効果についてはこちらでも詳しく解説をしていますので、ご興味があればぜひご覧ください。
さて、オルカンでは配当再投資が行われているため、実際にはどのぐらいの金額が基準価額に反映されているのかを伺い知ることはできません。しかし方法が1つあります。それは同じ指数をベンチマークに運用されている姉妹商品、東証ETF『MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信』の分配金利回りを見れば良いのです。
ETFオルカンはそのブランドを見ても分かる通り、投信オルカンと同じ三菱UFJ国際投信が運用している商品です。こちらは毎年6月と12月の年2回、分配金が支払われます。つまりこの商品の分配金利回りを参照すれば、投信オルカンでどのぐらい配当金が出てきるのかを知ることができるというわけです。
東証の資料によると、2022年9月30日時点でETFオルカンの分配金利回りは1.42%です。同ETFシリーズのS&P500が0.87%、ナスダック100が0.28%の利回りであることを踏まえると、オルカンはしっかりと配当金が出ていることが分かります。
つまり、3,000万円を投信オルカンで運用していると年間42.6万円もの配当金が再投資に充てられていることになります。高配当とまでは言えませんが、それでもかなり大きい数字だと思いませんか?
というわけで、6つめは「再投資される配当額が侮れない」でした。
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さいごに
今回は、3,000万円分のオルカンを運用して感じる6つのことについて紹介をしてきましたが、いかがだったでしょうか?
①お給料以上に評価額が上下する。
②日々の株価が気にならなくなる。
③額の大小よりもタイミングが重要。
④円安への対抗策になっている。
⑤運用コスト低下の恩恵が大きい。
⑥再投資される配当額が侮れない。
オルカンへの投資は、株式投資の中では手堅く退屈な打ち手、と称されることが多いです。しかしそれでも大きな塊で保有をしているとだいぶ違った景色を見ることになり、その一端を今回は触れることができたのではないかと思います。
もちろん3,000万円分のオルカンがあれば、FIRE(経済的自立をした早期退職)が確実にできるというわけでもありませんし、今後も安定的な成長をしていくことが保証をされているわけでもありません。
だとしても、自分の資産の一角にオルカンの塊がドシっと腰を据えている、というのは心強いものがあります。ぼくの場合は持ち家が同じ金額規模で1つありますから、まさに将棋でいうところの「飛車」「角」の布陣になっています。
なお、サテライト枠でビットコイン・イーサリアムも所有をしていますから、これらが「金」「銀」といったところでしょうか。
資産形成というのは将棋のようなもので、「王将」が自分、その周りをどんな資産で布陣を固めていくのかの戦い、といった側面があります。自身の両サイドをしっかり固めてくれる相棒を何で据えるのか。これはすごく重要な選択です。
ぼくの場合はオルカンを選択しましたが、ここが米国株式の方もいれば先進国株式の方もいる。中にはレバレッジ商品で固めている方だっていらっしゃいます。人の数だけ布陣がある。だから、資産形成は面白い。そんなことが言えそうですね。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
将棋は、負けて当然、勝って偶然。一番隙の無い布陣は戦う前の並べた状態。一手指す毎に隙が出る。