・アートテックのいま
・身近になったアート
・証券化が進むアート
おはーん、ペーパー先生です。
先生は元グラフィックデザイナー。
そういう意味では映画やゲームなど、クリエイティブなものに興味があり、
自身でイラストなども描きますから、アートも好きな分野です。
音声配信で利用している「stand.fm」(スタンドエフエム)で、
クリエイターを多くフォローしているのもそういった理由があります。
【出典】美術品投資ぐっと身近に スタートアップが変える(日経電子版)
2021年2月6日 2:00 [有料会員限定]
こちらの日経電子版で取り上げられていた内容をもとに
今日はアートとテクノロジーが生む新しいサービスについて、やわらか解説します。
アートとテクノロジーが生む新しいサービス5選
アート×シェアード
株式会社ANDART
【出典】1分でわかる!【ANDART】サービス紹介動画(ANDART)
「アートと投資」というと世界中の富豪が、
ゴッホさんやバンクシーさんなどの作品などをオークションにて億単位で競り落とす、
みたいな、自分と別世界のことだと思われるかもしれません。
これがテクノロジーの力で急速に身近な存在になってきています。
サイバーエージェントさんなどが出資をするアンドアートは、
アート作品を複数人で共同保有できる会員権プラットフォーム「ANDART」を提供しています。
パブロ・ピカソさんが、版画で妻ジャクリーヌさんを描いた一作「Portrait de Jacqueline de Face Etat Ⅲ 21-21-1961(Bloch 1064)」。
これは1,270万円する作品なので、通常はなかなか手が出ません。
「ANDART」では、複数人で共同保有する形にし、安価でオーナー権を保有することができます。
オーナー権単価は1万円(1枠)となっており、この権利を売買することも可能です。
扱う作品は現在20ほど。バンクシーさんやアンディー・ウォーホルさんのほか、
草間彌生さん、奈良美智さんなどの日本人作家の作品も扱っています。
オーナー権を持つとどうなるのか。
<オーナー優待>
①オーナー限定鑑賞イベント
②オーナー証明書
③マイギャラリー
④最新アート情報
⑤オーナーとして名前が載る
⑥マーケットレポート
⑦オーナー権売却
オンライン上での鑑賞のほか、
年に1度開かれるオーナー限定の展示会や駅など公共スペースでの展示で
オーナーとして名前が掲出されるとのことです。
また、二次流通市場については6作品ほどでテストが行われています。
アート×サブスクリプション
株式会社Casie
【出典】【Fresh Faces #252】藤本翔(株式会社Casie 代表取締役社長 CEO)(Fresh Faces 〜アタラシイヒト〜BS朝日)
7,000点以上の絵画から、季節や好みに合わせてレンタルすることができる
アート作品の定額制レンタルサービス「Casie 〜かしえ〜」は、
コンサルティングファーム出身の藤本翔氏が2017年に設立しました。
レンタル料の35%が作者に還元され、創作活動を支える役割を担うほか、
作者とユーザーが出会えるオークション開催など、作り手と買い手を繋ぐ場の提供も行っています。
絵の大きさにより、月額1,980円、2,980円、5,300円の3つのプランがあり、
取り換えは最大で月1度、つまり年間12作品を自宅などに飾ることができます。
また、気に入った作品は購入も可能です。
現在、800人のアーティストからおよそ1万点の作品を預かっているとのこと。
アート×eコマース
株式会社TRiCERA
【出典】#001 About us! | TRiCERA Official Channel(TRiCERA)
作り手と買い手を繋ぐ「ドロップシッピング」と呼ばれる事業を手掛けるのが
現代アートの越境ECサイト「TRiCERA.NET」を運営するトライセラさん。
シーメンスさんやナイキさんなどで調達業務を経験された、井口泰氏が2018年に設立。
越境eコマースは各国・地域ごとの税制の違いや関税手続きなどが煩雑ですが、
「TRiCERA.NET」では、配送に関わる手続きを全て代行してくれます。
出品アーティスト約2,400人のうち、日本の作家は2割ほど。
残りはアジアを中心に、南米やアフリカなど、新興国の作品も含め
計80地域の作家が登録しています。
大日本印刷(DNP)さんと組み、アート作品を部数限定でプリントアウトするという、
より低価格でアート作品を販売する新サービスも話題となっています。
アート×アーカイブ
株式会社between the arts
【出典】between the arts サービス紹介:コレクター篇(between the arts)
アート作品を多数保有している方は、環境やセキュリティ面において管理が大変なわけですが、
1作品あたり1,000円/月で保管してくれるサービスを手がけるのがビトウィーン・ザ・アーツさんです。
大城崇聡氏が代表を務め、先月にはビズリーチ創業者ファンドなどから
計5,500万円の資金調達をしたことも発表されました。
「美術倉庫」では、作家や作品名、制作時期やサイズなどの情報とともにオンライン上でアーカイブし、
「温度20度・湿度50%」の専用倉庫で収納してくれます。
1作品単位から預かり可能で、小ロット需要を汲み取ったサービスとなっています。
アート×ブロックチェーン
スタートバーン株式会社
【出典】Dooo 施井泰平さん「ブロックチェーンでアートを民主化する」(前編)190509(TBS NEWS)
従来、アート作品が本物であることを示す証明書は紙1枚である場合が多く、
偽造されてしまうケースもあったそうです。
こうした課題を解決するために取り組んでいるのが、
証明書発行や来歴管理、売買履歴、規約などをブロックチェーンで一元管理するサービス「Startbahn Cert.」を手がけるスタートバーンさん。
多摩美術大学の絵画科油画専攻卒業後、美術家としても活動していた施井泰平氏が2014年に設立。
発行されるブロックチェーン証明書では、過去の所有者の記録や作品固有ルール(例えば売却時の作者への還元率など)の記録も可能です。
サービス料金の負担は販売したギャラリー側で、コレクターの手を渡る度、
購入者がサービスにログインし、来歴情報をアップデートする仕組みになっています。
さいごに
いかがだったでしょうか。
テクノロジーの力によってアートがより身近により便利になった。
先生はそういう印象を受けました。
また、見て楽しむという以外に、投資先の一つとして
証券化と同じようなことが行われていることも注目ですね。
昨今、
・ボブ・ディラン氏の600曲の著作権を米ユニバーサルが取得。
・米メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが会社売却を検討。
・テンセントが米ユニバーサルミュージック株式を追加購入。
こういった話題を目にする機会が多くなりましたが、
「ネットフリックス」や「スポティファイ」といった世界的な配信プラットフォームが整備されたことで、
過去の映画や音楽などの作品価値が再度高まっており、
作品単位で証券化しているとも受け取れます。
一部の企業間でやり取りされるこうした作品権利を、
近い将来、個人が売買する時代が来るかもしれませんね。
ビートルズ楽曲が生む収益に連動したETFなんて面白くありませんか?
では、ごきげんよう。
アートも証券化していく時代。