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1ドル130円台も視野に!?円安まるごと解説

1ドル130円台も視野に!?円安まるごと解説
この記事で分かること

・円安とは何か?
・円高/円安のメリット/デメリット
・円安はどこまで続く?

おはーん、ペーパー先生です。

外国為替市場で歴史的な円安・ドル高が続いています。

4月20日には一時1ドル=129円台まで進み、

およそ20年ぶりの安値を更新した話題も記憶に新しいところです。

今日は、そもそも円安とは何か?を入り口に、

今後の円安がどこまで進むのか、専門家の見解を紹介していきたいと思います。

動画解説

このブログの内容は動画でも解説しています。

円安とは何か?

円高・円安、それぞれの意味を確認しておきましょう。

円高と円安

↗️円高=円の価値が高くなること。
↘️円安=円の価値が安くなること。

例を挙げます。

日本人が旅先のハワイで買い物をするため、手元にある1万円をドルに両替するとします。

為替相場が1ドル=125円であれば、1万を125で割った80ドルになります。
為替相場が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。
為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになります。

これらを比べると、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより多くのドルを取得できるので、円高ということになります。逆に、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより少ないドルしか取得できないので、円安ということになります。

【出典】円高、円安とは何ですか?(日本銀行)

こうやって分解をしていくと、自国通貨の価値は高い方が正解のようにも思えますが、

一概にそうとは言えないのが為替というものです。

円高・円安のメリット・デメリット

では、次に経済の観点から円高・円安それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

円高(経済)

🙆‍♂️メリット
・輸入品を安く買えるようになる
・輸入産業の業績が伸びやすい

🙅‍♂️デメリット
・投資をしている場合、海外資産の価値が相対的に下がってしまう
・海外で日本製品が売れづらくなり、輸出産業の業績が落ち込みやすい

円安(経済)

🙆‍♂️メリット
・投資をしている場合、海外資産の価値が相対的に上がる
・海外で日本製品が売れやすくなるため、輸出産業の業績が伸びやすい

🙅‍♂️デメリット
・輸入品が高くなり、輸入に頼っているエネルギー資源が値上がりしてしまう
・輸入コストが高くなり、輸入産業の業績が落ち込みやすい

続いて個人の生活に置き換えた際のメリット・デメリットを見てみましょう。

円高(個人)

🙆‍♂️メリット
・輸入品(原油・大豆・小麦などを含む)が安く買える
・海外旅行の費用が安くなる

🙅‍♂️デメリット
・海外資産(米国株・米ドルなど)を持っている場合、資産が目減りしてしまう
・株安(日本株)になりやすい傾向にある

円安(個人)

🙆‍♂️メリット
・投資をしている場合、海外資産の価値が相対的に上がる
・海外で日本製品が売れやすくなるため、輸出産業の業績が伸びやすい、観光客増も見込める

🙅‍♂️デメリット
・輸入品が高くなり、輸入に頼っているエネルギー資源と関連商品が値上がりしてしまう
・株安(日本株)になりやすい傾向にある

こうやって見ていくと、実に一長一短があるもんだ、という感じですね。

あえて傾向を一言で言えば、円高は個人に追い風、円安は経済に追い風。

そんなようにも受け取れます。

しかし円高が続けば企業業績に悪影響が及ぶことで、経済が停滞する可能性があること、

円安が続けば手持ちの円資産の価値が相対的に目減りする可能性があること。

結局は、一定のバランスが必要なのだと言えます。

進む円安への受け止め方

では、日本の金融政策を担うトップは何と言っているのでしょうか。

■鈴木俊一(すずき・しゅんいち)財務相(4月15日)

「円安が進んで、輸入品等が高騰している。それに応じて原材料を価格に十分転嫁できないとか、賃金がその伸びを大きく上回るような、それを補うようなところに伸びていないという環境。そういうことについては『悪い円安』ということが言えるのではないか」

【出典】約20年ぶりの円安「悪い円安とは?」との質問に財務大臣は(TBSニュース)
15日 13時09分

■黒田東彦(くろだ・はるひこ)日銀総裁(3月13日・4月15日)

「円安が経済・物価を共に押し上げ我が国経済にプラスに作用している基本的な構造は変わりはない」
「強力な金融緩和を粘り強く続ける」

※18日の衆院決算行政監視委で「大きな円安や急速な円安はマイナスが大きくなる」と発言し「日本経済にプラス」とする従来主張をやや修正。

【出典】日銀・黒田総裁「現在の円安は日本経済にプラス」(テレ朝news)
[2022/03/18 20:24]

【出典】「悪い円安」、動けぬ日銀 利上げには慎重論―有効策なく、政府は警戒(JIJI.com)
2022年04月15日07時04分

進む円安について、このようにトップ2人の見解も割れています。

日銀は政府とは独立した立場で金融政策を動かしていきますから、

政府見解を受けて、金融緩和のスタンスに今後変化があるのかどうかが注目です。

なぜ円安が進むのか

アメリカでは歴史的なインフレが続いています。

米労働省が12日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は

前年同月比の伸び率が8.5%となり、

およそ40年ぶりの水準となった前月の7.9%をさらに上回りました。

このインフレを抑え込むために利上げを進めるアメリカと、

金融緩和を続ける日本との金融政策の違いが、円安を加速させています。

米消費者物価は急上昇が続く

【出典】米消費者物価、3月8.5%上昇 40年ぶり伸び率(日経電子版)
2022年4月12日 21:33 (2022年4月13日 5:06更新) [有料会員限定]

インフレとは

インフレとはインフレーションの略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段(物価)が上がることをいいます。インフレには、良いインフレと悪いインフレがあります。良いインフレの下では、企業が販売価格の上昇で儲かり、社員の給料が増え、消費者は物価上昇による生活費の増加を給料アップで吸収してもっと商品を買うようになり、商品が良く売れて企業が儲かる…というサイクルで景気は良くなります。要は、良いインフレは「景気の拡大をともなうインフレ」ということです。一方、商品の仕入れ価格の上昇ほど商品価格に上乗せできず、企業の業績が悪くなり、賃金が上がらないのに身の回りの商品が値上がりして家計を圧迫する、といった悪循環をもたらすのが悪いインフレです。

【出典】初めてでもわかりやすい用語集(SMBC日興証券)

アメリカの10年物国債利回りは4月14日時点で2.828%です。

日本の10年物国債利回りは4月16日時点で0.240%です。

かつ、日銀は国債を指定した利回りで制限なく買い入れる

「連続指値オペ」と呼ばれる措置を実施しています。

これは利回り0.25%で無制限に買い入れることで、

長期金利が0.25%よりも上昇することを抑えるというものです。

10年物国債の利回りというのは、投資家が国に10年間お金を貸す時に受け取る年金利です。

つまり、金融政策でこの先も金利が上がらない円を保有するよりも、

今後も金利上昇が続くと見られるアメリカドルを保有しておいた方がいいよね、

ということで、円売りドル買い、つまりは円安ドル高になっているわけです。

円安はどこまで続く?

では、この円安はどこまで続くのか。

日経電子版に、市場関係者向け緊急アンケートが掲出されていましたので紹介します。

【出典】円、1ドル=130円への下落不可避か 当局の選択肢乏しく(日経電子版)
市場関係者向けNQN緊急アンケート
2022年4月15日 16:14 [有料会員限定]

調査は4月14日に実施され、銀行、証券会社、運用会社、シンクタンクなどの

アナリストやストラテジスト、エコノミスト、運用担当者ら49人から回答を得たものです。

向こう3ヶ月の円の安値

135円(2人)
132円(5人)
131円(4人)
130円(22人)
129円(1人)
128円(12人)
127円(1人)
126円(2人)

予測の中央値は130円。

向こう3カ月の円相場については34人(69%)が「円安・ドル高はしばらく続く」と回答。

当局の対応は

口先介入を継続 (39人)
日銀が金融政策を修正 (8人)
何もしない(7人)
その他(7人)
円買い介入(3人)
他国と協調介入(1人)

急激な円安進行に対する金融当局の対応を複数回答で聞いたところ、

8割が「口先介入を継続する」となりました。

口先介入というのは、中央銀行が市場に資金を投入することなく、

言葉だけで外国為替相場の動きを変えようとすること。

「急速な円安は良くない」

「為替は安定が大事」

など介入示唆とも受け取れるようなコメントを出すことで市場を動かすというものです。

専門家の多くがここに回答が集中してしまうということは、

裏を返せば「打つ手無し」ということでもあります。

アメリカは自国のインフレを抑え込むことや、量的引き締め(QT)に向けて動いていますから、

ドル安に振れるような協調介入をするとは考えずらいです。

また、そもそも円安が日本経済に与える影響についても、

世の中の見解が分かれているところでもあります。

円安の日本経済への影響

全体としてみればプラス(14人)
全体としてみればマイナス(18人)
中立(17人)

<➕💬プラス意見>
「外需企業の業績見通し上振れ」(楽天証券経済研究所の香川睦(かがわ・むつみ)チーフグローバルストラテジスト)

<➖💬マイナス意見>
「貿易赤字の拡大と輸入物価の上昇が企業の利益を減少させ、家計の実質購買力の落ち込みを通じて国内景気の回復力を鈍化させる」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎(こばやし・しんいちろう)主席研究員)

さいごに

今日はどこまで円安が続くのかをテーマに話をしてきました。

経済の観点では1つの正解がない分野であることがよく分かりました。

一方で、個人から見た時には円安がマイナスに働くことが多いというのも事実。

米国株式や全世界株式などの外貨建て資産で運用を行う投資家にとっては、

評価価額でプラスに働くため、年明けから軟調な指数を、円安がカバーしてくれている状況です。

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皆さんはどのような対策をとられていますか?

では、ごきげんよう。

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今日のまとめ

メリット・デメリットさまざまな顔を持つ円安。

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