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知らなくて大丈夫?eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の構成地域

知らなくて大丈夫?eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の構成地域
この記事で分かること

・「Slim」シリーズ強し
・オルカンの構成地域
・ロシア株の降格

国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETFを除く)の

資金動向を運用会社別に集計したところ、

3月に最も多く資金が流入したのは三菱UFJ国際投信でした。

月間で1,614億円の資金が流入しており、

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

を中心に資金が集まっており、首位となるのは2カ月連続です。

2022年3月、大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキングでも、

同投信がNo.1、2を取っています。

ネット証券の投信積立契約件数ランキング22年3月

<集計方法>
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

【出典】「S&P500」「全世界株式」「全米株式」「先進国株式」が競り合う=ネット証券の投信積立契約件数ランキング22年3月(モーニングスター)
2022/04/05 17:21

なお、「Slim」シリーズでみると

eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

こちらを含む全5本、つまりランキングの半数を占めており、

「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けるファンドシリーズ」を謳う

三菱UFJ国際投信の姿勢が、個人投資家に高く評価されていることが伺えます。

オルカンの構成をおさらい

さて、ぼく自身も運用のコアに据えているのはオルカンなのですが、

一言で「全世界」といっても、実際にどのような国・地域が入っているかを

把握している方はそれほど多くないのではないでしょうか。

オルカンの対象指数である

「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI)」の

構成をおさらいしていきましょう。

指数算出会社MSCI.incのサイトから全体の構成図です。

大は小を兼ねる、ではありませんが、簡単にまとめると

このような構造となります。

①MSCI WORLD INDEX

(23の先進国・地域)
🇨🇦カナダ、🇺🇸アメリカ、🇦🇹オーストリア、🇧🇪ベルギー、🇩🇰デンマーク、🇫🇮フィンランド、🇫🇷フランス、🇩🇪ドイツ、🇮🇪アイルランド、🇮🇱イスラエル、🇮🇹イタリア、🇳🇱オランダ、🇳🇴ノルウェー、🇵🇹ポルトガル、🇪🇸スペイン、🇸🇪スウェーデン、🇨🇭スイス、🇬🇧イギリス、🇦🇺オーストラリア、🇭🇰香港、🇯🇵日本、🇳🇿ニュージーランド、🇸🇬シンガポール

②MSCI EMERGING MARKETS INDEX

(24の新興国・地域)
🇧🇷ブラジル、🇨🇱チリ、🇨🇴コロンビア、🇲🇽メキシコ、🇵🇪ペルー、🇨🇿チェコ、🇪🇬エジプト、🇬🇷ギリシャ、🇭🇺ハンガリー、🇰🇼クウェート、🇵🇱ポーランド、🇶🇦カタール、🇸🇦サウジアラビア、🇿🇦南アフリカ、🇹🇷トルコ、🇦🇪アラブ首長国連邦、🇨🇳中国、🇮🇳インド、🇮🇩インドネシア、🇰🇷韓国、🇲🇾マレーシア、🇵🇭フィリピン、🇹🇼台湾、🇹🇭タイ

③MSCI FRONTIER MARKETS INDEX

(21のフロンティア地域)
🇭🇷クロアチア、🇪🇪エストニア、🇮🇸アイスランド、🇱🇹リトアニア、🇰🇿カザフスタン、🇷🇴ルーマニア、🇷🇸セルビア、🇸🇮スロベニア、🇰🇪ケニア、🇲🇺モーリシャス、🇲🇦モロッコ、🇳🇬ナイジェリア、🇹🇳チュニュジア、西アフリカ経済通貨同盟、🇧🇭バーレーン、🇯🇴ヨルダン、🇴🇲オマーン、🇧🇩バングラデシュ、🇵🇰パキスタン、🇱🇰スリランカ、🇻🇳ベトナム

④MSCI STANDALONE MARKET INDEXES

(13のスタンドアローン地域)
🇦🇷アルゼンチン、🇯🇲ジャマイカ、🇵🇦パナマ、🇹🇹トリニダード・トバゴ、🇧🇦ボスニア・ヘルツェゴビナ、🇧🇬ブルガリア、🇲🇹マルタ、🇷🇺ロシア、🇺🇦ウクライナ、🇧🇼ボツワナ、🇿🇼ジンバブエ、🇱🇧レバノン、🇵🇸パレスチナ

「Slim」シリーズで置き換えると、

①MSCI WORLD INDEXから日本を除くと『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』、
 ※MSCI KOKUSAI INDEXもしくはMSCI WORLD INDEX ex Japan Indexと呼ばれています。
②MSCI EMERGING MARKETS INDEXは『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』、

ということになります。

そして日本を含めたこれら指数を合体させたものが

①+②MSCI ACWI INDEX(23の先進国・地域&24の新興国・地域)、

つまりは『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』となり、

さらにそれに③フロンティアを加えたものが、

①+②+③MSCI ACWI & FRONTIER MARKETS INDEX

となります。

なお、Jリーグのリーグ構成と同じように、

④スタンダードを昇格すると、③フロンティアに、
③フロンティアを昇格すると、②新興国・地域に、
②新興国・地域を昇格すると、①先進国・地域になります。

指数算出会社は、投資に際してのリスクを総合的に判断して

このようにインデックスを適宜、組み替えていきます。

ロシアのウクライナ侵攻

ロシアは、ウクライナ侵攻を発端とする経済制裁によって

金融市場が事実上の機能不全状態にあります。

概要

📊MSCI Inc.
これまで「新興国」に分類していたロシア市場を、市場の流動性や資本規制などが最も低評価の「スタンドアローン」に移すと発表した。パナマやジンバブエ、パレスチナと同じ分類への事実上の格下げで、9日の取引終了後に実施する。

📊FTSEラッセル
モスクワ証券取引所に上場し株価指数を構成するロシアの60銘柄について、7日から指数算出の対象外にすると発表した。国営ガス最大手のガスプロムや銀行最大手のズベルバンクなど、ほとんどのロシア主要企業が含まれる。

【出典】ロシア株、指数から除外(日経電子版)
2022年3月4日 2:00 [有料会員限定]

このような対応が取られたことで、ロシアは「新興国・地域」から

「フロンティア」を飛び越えて「スタンダード」まで2段階降格となりました。

また、それに伴い三菱UFJ国際投信は、以下のプレスリリースを出しています。

3月2日にMSCI Inc.は、新興国株式指数(MSCI エマージング・マーケット・インデックス)からロシア株式を3月9日の取引終了時点で除外する旨を発表しました。それに伴い全世界株式指数(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス)からもロシア株式は除外されることになります。これらの指数およびこれらの指数を含む合成指数に連動する投資成果を目指すインデックスファンドでは、現状は西側諸国による金融制裁の影響を受けた流動性低下などを背景に、この投資成果を目指すことが難しくなる可能性があります。なお、これらインデックスファンドでは、3月9日を待たず、売却可能なロシア関連銘柄を一部売却しています。引き続き、ロシア関連株式の取引状況などを注視しつつ、ファンドの商品性に則って運用を行ってまいります。

【出典】主要指数からのロシア株式・債券の除外および当社ファンドの運用方針について(三菱UFJ国際投信)
2022年3月8日

オルカンを含むこれらの「Slim」シリーズが影響を受けたわけですが、

<ロシア株除外の影響を受ける「eMAXIS Slim」商品>
 eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
 eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

例えばオルカンの場合、除外前のロシア株の保有比率は0.2%に留まっていますから、

個人投資家は大きな影響はなかったと言えます。

さいごに

このように、目まぐるしく変わる世界情勢、そして経済覇権国の行方。

1年先すら読み通せない世の中だからこそ、

オルカンのように、時価総額加重平均という一定のルールに則りながら、

運用される商品の強みが活きてくるのだと、つくづく思います。

何か1本だけ投資信託を握りしめるなら何か?

答えはオルカン。そう強く思う今日この頃です。

では、ごきげんよう。

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2段階降格は異常事態。

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