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『eMAXIS Slim 全世界株式』からロシア株が除外された影響

『eMAXIS Slim 全世界株式』からロシア株が除外された影響
この記事で分かること

・孤立するロシア株や債券
・MSCIやFTSEからロシア株が削除
・全世界株式への影響

おはーん、ペーパー先生です。

ウクライナ戦争が混迷を深めています。

一刻も早くこの戦争が終結することを祈るばかりです。

動画解説

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音声解説

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さて今日は、個人投資家の観点から

この戦争における影響を見ていきたいと思います。

特に全世界株式で運用している方は必見です。

孤立するロシア株や債券

主要国によるロシアへの経済制裁は日増しに強まっています。

「SWIFT(国際銀行間通信協会)」からのロシア大手銀行グループ排除や、

国際企業がロシア事業の停止や撤退を相次いで決めているためです。

また、ロシア株や債券などを投資対象から外す

世界の年金や運用会社も急増しています。

日経電子版の報道によれば、海外投資家が保有するロシア株や債券は1,700億ドル(約20兆円)。

そのうち、売却対象は1割強の2兆8000億円以上にのぼります。

各国の年金基金ではこのように売却を進めています。

<ロシアからの投資撤退が相次ぐ>
 🇳🇴ノルウェー政府年金基金(3,500億円)
 🇬🇧英国大学退職年金基金(691億円)
 🇺🇸ペンシルバニア州教職年金基金(660億円)
 🇺🇸コネティカット退職年金信託基金(251億円)
 🇨🇭スイス連邦年金基金(214億円)
 🇳🇴ストアブランド(183億円)
 🇦🇺フューチャーファンド(170億円)
 🇨🇦アルバータ・インベストメント・マネジメント(90億円)
 ※金額は概算

【出典】ロシアの資産1割超売却、世界で2.8兆円 年金基金など(日経電子版)
2022年3月13日 1:30 [有料会員限定]

この記事の執筆時点(3月13日)では発表されていませんが、

日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が抱える

ロシア資産2,200億円の一部についても売却する可能性が考えられます。

MSCIやFTSEからロシア株が削除

そうした中で2日、指数算出会社のMSCI Inc.とFTSEラッセルが、

主要指数からロシア株を除外すると発表しました。

先に触れたような経済制裁などで、ロシア株の投資環境が悪化してるためです。

概要

📊MSCI Inc.
これまで「新興国」に分類していたロシア市場を、市場の流動性や資本規制などが最も低評価の「スタンドアローン」に移すと発表した。パナマやジンバブエ、パレスチナと同じ分類への事実上の格下げで、9日の取引終了後に実施する。

📊FTSEラッセル
モスクワ証券取引所に上場し株価指数を構成するロシアの60銘柄について、7日から指数算出の対象外にすると発表した。国営ガス最大手のガスプロムや銀行最大手のズベルバンクなど、ほとんどのロシア主要企業が含まれる。

【出典】ロシア株、指数から除外(日経電子版)
2022年3月4日 2:00 [有料会員限定]

ロシア株の指数除外は、我々個人投資家にも影響が及びます。

3月8日、投資信託「eMAXIS(イーマクシス)」シリーズを手がける

三菱UFJ国際投信が、以下のプレスリリースを出しました。

3月2日にMSCI Inc.は、新興国株式指数(MSCI エマージング・マーケット・インデックス)からロシア株式を3月9日の取引終了時点で除外する旨を発表しました。それに伴い全世界株式指数(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス)からもロシア株式は除外されることになります。これらの指数およびこれらの指数を含む合成指数に連動する投資成果を目指すインデックスファンドでは、現状は西側諸国による金融制裁の影響を受けた流動性低下などを背景に、この投資成果を目指すことが難しくなる可能性があります。なお、これらインデックスファンドでは、3月9日を待たず、売却可能なロシア関連銘柄を一部売却しています。引き続き、ロシア関連株式の取引状況などを注視しつつ、ファンドの商品性に則って運用を行ってまいります。

【出典】主要指数からのロシア株式・債券の除外および当社ファンドの運用方針について(三菱UFJ国際投信)
2022年3月8日

「eMAXIS Slim」シリーズは人気商品ですから、

対象となる個人投資家もかなり多いと思います。

全世界株式をコアで運用を続ける先生自身もその1人です。

<ロシア株除外の影響を受ける「eMAXIS Slim」商品>
 eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
 eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
 eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

全世界株式への影響

では、全世界株式の場合どの程度の影響を受けることになるのでしょうか。

対象インデックスの国・地域別構成比率

交付目論見書(2月28日)を確認すると、ロシアは

国・地域別構成比率の円グラフには掲載されていませんが、

27ヵ国・地域にロシアが含まれていることが分かります。

では、どのぐらいロシア株が含まれているのか。

別の資料から確認をしてみましょう。

こちらは、三菱UFJ国際投信が3月3日に発表した、

「ロシア」、「ウクライナ」の有価証券(株式、債券等)および

通貨ロシアルーブルの、運用商品における保有比率についての報告書です。

その一部を抜粋して紹介します。

これを見ると、ロシア株の保有は全世界株式で0.2%に留まることが分かります。

つまり、

100万円を運用している方は2,000円。
300万円を運用している方は6,000円。
500万円を運用している方は1万円。

この程度のボリュームとなります。

また、先ほどの三菱UFJ国際投信のリリースでは、

指数除外を待たず売却可能なロシア関連銘柄を一部売却していることをアナウンスしていますので、

個人投資家は特に気にすべき影響はない、ということが言えそうです。

さいごに

今日は、ウクライナ戦争における全世界株式における影響をまとめてきました。

今後、この戦争がどうなるのか、

高インフレやエネルギー価格の高止まりがどうなるのか。

予測することはまったく不可能です。

一方、ハッキリ言えることは、個別株と違いインデックス投資では

世の中の動きに合わせて自動で組み替えをしてくれるという強み。

本来は、時価総額の大きさを基準に保有比率の調整を計ってくれるわけですが、

今回のような流動性が著しく低下するケースでも同様の調整が効くことがよく分かりました。

より広い視座で見れば、現在はアメリカが経済最強国、つまり覇権国です。

しかし、それが未来永劫続くとは限りません。

先日、タザキさんのYouTube「聞いてわかる投資本要約チャンネル」にて、

ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者で著名投資家のレイ・ダリオ氏の新刊

『Principles for Dealing with the Changing World Order: Why Nations Succeed and Fail (English Edition)』

が紹介されていました。

本書では変わりゆく世界秩序の中で、覇権を握った国の栄枯盛衰などについて語られています。

日本語版はまだ発刊されていないため、タザキさんが英語学習を兼ねた

動画だと前置きした上で解説があったのが以下の図です。

帝国のビッグサイクル

オランダ、イギリスに次いで覇権国となったアメリカも

現在では衰退期に差し掛かっており、その一方で急速に台頭してきているのが中国だということ。

動画では、サイクルの尺度が何によって構成されているのか、

そして大きく3つのフェーズがあることが語られています。

非常に興味深い内容となっていますので、ぜひご覧ください。

目まぐるしく変わる国際情勢、そして一定周期での覇権国の移り変わり、

こういうことを踏まえると、ほったらかし投資の最適解は、

やはり全世界株式だなと強く思う今日この頃です。

では、ごきげんよう。

よろしければ、こちらの記事もご覧ください。

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今日のまとめ

川の流れのように身を任せる投資、それが全世界株式。

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