・2020年のファンド資金流入・流出額ランキング
・ESG投資が盛り上がる背景
・投資テーマとして揺るがないのか
おはーん、ペーパー先生です
時流に乗るというのはビジネスを仕掛ける側からすると大事です。
「金八先生」シリーズなどの学園ドラマが流行っていた時期は、中学校教師が主人公の『ウルトラマン80』。
「はやぶさ」の帰還に注目が集まった翌年は、宇宙がテーマの『仮面ライダーフォーゼ』。
特撮ドラマの変遷はターゲットも明確であることからも、非常に分かりやすいですね。
ファンドにも似たようなところがあります。
世の中で注目を集めている分野にフォーカスをしたテーマ型商品が提供されていくからです。
今日はその筆頭格ともいうべきESG投資の現状についてやわらか解説します。
2020年のファンド資金流入・流出額ランキング
先日の日経電子版にて、2020年のファンド資金流入・流出額ランキングが紹介されています。
【出典】20年の投信、資金流入首位は「未来の世界ESG」(日経電子版)
2021年1月4日 12:00
資金流入1位は「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド/為替ヘッジなし」(アセットマネジメントOne)で、
運用開始が20年7月。日が浅いにもかかわらず7,773億円で断トツトップでした。
ESGというのは(環境・社会・ガバナンス)の頭文字を取ったものです。
脱炭素を始めとした持続可能なサステナブル社会への取り組みに向け
環境に配慮しながら価値を生み続ける企業へ資金が向かう。
そういう世の中の空気が高まっているわけです。
なお、先生は以前にちょっと疑って捉えていたのですが本当に人気ファンドだったんですね。失礼しました。
とある銀行の「11月投信買付ランキング」1位の商品がこれです。新商品でいきなり1位というあたりがもう…。
商品概要:日本および新興国の上場株式のうちESGへの取り組み評価などから構成されるアクティブファンド。
購入手数料:3.30%(1億円未満)
換金手数料:基準価額の0.3%
信託報酬料:年1.848% https://t.co/uyxMz5pyrb— ペーパー先生@外国株投資家 (@papercapinfo) December 25, 2020
なお、2位は「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(日興アセットマネジメント)で3,692億円。
こちらはその名前の通りDX関連企業の株式へ投資をするファンドです。
いずれも菅政権で力を入れていくと言われている分野ですね。
米国および先進国株式がランキングに多く占める中で
テーマ型に人気が集まっているというのは極めて特徴的です。
その一方、資金流出の方に目を向けると、
2位:「モビリティ・イノベーション・ファンド」(BNYメロン) ▲1,019億円
6位:「ロボット・テクノロジー関連株ファンド」(大和) ▲823億円
8位:「グローバル全生物ゲノム株式ファンド/1年決算型」(日興) ▲793億円
9位:「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略 Bコース/為替ヘッジなし」(ゴールドマン) ▲761億円
一昔前に注目をされていた商品が多く並びます。
ここだけを見ると、テーマ型ファンドは水物な印象が強く残りますよね。
特に先ほど先生のツイートで紹介した通り、どれも手数料が高いんですよね。
投資家としては不要な固定費をどれだけ下げられるかというのも腕の見せ所。
それを踏まえると先生は歴史も実績もあるS&PやMSCIに連動するインデックスファンドに軍配を上げます。
ESG投資が盛り上がる背景
もちろんESG投資が盛り上がる背景には理由もあります。
・国際金融協会(IIF)によると、ESGの要素を重視して運用するファンド総額は20年11月末に約1兆3,000億ドル(130兆円強)と、5年前に比べて2.7倍に伸長。
・米ブラックロックが行った世界27カ国・地域、425の機関投資家を対象にした調査によると、ESG要素を重視したサステナブル投資への資産配分比率は20年の平均18%から、25年には37%にまで高まるという結果に。
【出典】投資マネーが「人新世」の痛みを鎮める(日経電子版)
編集委員 小平龍四郎
2021年1月6日 2:00 [有料会員限定]
近年、環境配慮を掲げる米アップルさんや、
電気自動車(EV)大手の米テスラさんの株価高騰が続く背景の1つにも
これらにESG企業としての顔があるからです。
米国のバイデン次期政権の注力分野がグリーンエネルギーであることも
ESG投資への熱視線に追い風となっていることは言うまでもありません。
意義をどこに見出すのか
さて、ESG投資のメリット・デメリットの両面を見てきました。
先生の結論はやはりインデックスファンドに軍配ですね。
環境問題は我々人類が地球に住まわせてもらうために
必要不可欠なテーマであるのは揺るぎません。
しかし投資テーマとして揺るがないのかというと、トレンドはどんどん変わっていきます。
投資目的が資産運用であれば、資産を安定的に増やしていくことが最重要ミッションですので、
いづれのテーマが注目されてもカバーできるインデックスファンドを保有する方が確実です。
環境問題に投資家の立場から寄与したいと考えるのであれば、
例えインデックスファンドの構成と一部が重複したとしても
先生はそうした活動を行っている企業に直接投資をします。
色々と書きましたが、ファンドという手段を通じてESG投資をする場合は、
高い手数料を第三者に払って参加することの意義をどこに見出すのか。
このあたりがポイントになるのだと考えます。
投資は自己責任でね。
では、ごきげんよう。
ESGは永続的テーマだが、ESG投資は意義次第。