・無理をしない
・無茶をしない
・無謀なことをしない
ごきげんよう、ぺいぱです。
株式投資で一番大切なことを挙げるとすると何になるでしょうか?
銘柄選び?タイミング?購入額?情報収集?戦略策定?
どれもたしかに重要なテーマではありますが、やはり「長期運用すること」になるのではないでしょうか。
このブログの内容は動画でも解説しています。
1988年から2016年のS&P500(配当込、円建て換算後)を対象に、1年だけ投資した場合から15年間投資し続けた場合まで「1年あたりリターン」を比較すると、15年間投資し続けた場合、元本割れしないという統計データがあります。
15年以上の運用で概ねプラスに振れるというのは全世界株式でも同様です。つまり、長く運用すればするほどプラスに振れる可能性が高まるというわけです。
じゃあ株式投資はすごく簡単なのかというと、そういうわけでもありません。もう一つデータを紹介しましょう。
過去30年でのS&P500年平均リターンは11.11%の一方で、S&P500連動の投資信託を保有する人の平均リターンは3.69%という統計もあります。
なぜこのようなパフォーマンスの差が出るのか。それが投資家の「行動ギャップ」です。S&P500の年リターンが優れていることは分かっていながらも、他の商品に興味が移ったり、手元資金が必要で取り崩したりと、色々な事情で投資家がリターンのすべてを享受できていない、ということです。
ぼく自身もかつてはそうでした。個別株をやっていたこともありますが、色々な銘柄に目移りしてしまい長く保有するということができなかったんですね。
また、金融資産のほとんどを株式や投資信託に充てており、手元資金がほとんどありませんでしたから、急な出費に対応ができず運用益が出ている商品を泣く泣く売却したりもありました。
ただ、これらが珍しいケースなのかというと、実際は「投資あるある」なのだと思います。特に経験が浅ければ浅いほど陥りやすいものです。
ぼくは2021年6月に、保有していた複数の金融商品を全て売却し、生涯お付き合いできる商品として『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』に一本化しました。2,500万円分を一括投資し、その後は毎月30万円分を積立投資し続けています。
毎月1度、収支運用状況についてもお届けしていますので、よろしければこちらもご覧ください。
ではこの2年間、長期投資の考えが揺らぐことがなかったのか?答えは明確、まったくありませんでした。
先ほどお話しをした15年にはまだまだ遠く及びませんが、今回はこの経験を元に、株式投資で長期運用をやり続けるために必要なことを話していきます。
長期運用をするために必要なこと
では早速いってみましょう!
まず最初は「無理をしない」です。無理の意味ですが「実現が難しいこと、行いにくいのに押してすること」とあります。このようなケースですね。
・定年退職後に金融資産のほとんどをリスク資産に置き換える。
・初めての資産運用でレバレッジ型やベア商品を購入。
・原資が少なかったので信用取引で勝負をかける。
要は”身の丈に合っていない”ということです。運転免許を取得するのには、学科でルールを学び、その後に教習所内で技能教習を行い、仮免取得後に一般道での路上教習があります。こうやって、知識と経験を蓄積していくわけです。
何事もまずは始めてみることが大事だとぼくは思います。やったことのないものについて、いくら頭の中で考えを巡らせても時間の無駄だからです。そして資産運用ほど「百聞は一見に如かず」ということわざがしっくりくる分野もないでしょう。
まずは小さく踏み出す。「ふむふむ、投資とはこういうものか」ということが分かった上で、徐々に投資額を増やしていく。適切だと思う商品群を整えていく。こうしたステップが長く続けていくために極めて重要です。
お次は「無茶をしない」です。無茶の意味ですが「でたらめで筋道がたたず普通でないこと。乱暴なこと。度を超えていること」とあります。このようなケースです。
・老後の資金を貯めることが目的なのに暗号資産で一発当てようとする。
・金融商品の内容をぜんぜん理解しないまま購入。
・色々試したくて100種類もの金融商品を保有。
要は”目的と手段が一致しない”ということです。自宅前からランニングを始めたとしましょう。もしこれが近所の公園をゴールとしているのであれば、自分のペースで走っていけば良いですが、1キロ7分以内で5キロ走りたいということであれば、公園がゴールである必要がありません。
結局、何かアクションを取る際には、最後に達成したいものが何なのかを明確にし、そのための手段が適切なのかしっかりと結びつける必要があるわけです。
資産運用で目標にされがちな1億円。きりも良いですし「億り人」なる言葉も流行りましたから憧れの気持ちも湧くのでしょう。ただし、全員が本当に1億円が必要であるとは言い切れません。独身で節制生活が苦でなければその半分もいらないかもしれません。逆に大家族で食費や教育費が長期にわたってかかる家庭では足りないかもしれません。
自分の置かれている状況と、目的は何であるかの整理し、明確にさえすれば、長い資産形成でも乗り越えられるというわけです。
最後は「無謀なことをしない」です。無謀の意味ですが「深く考えず行動すること、無鉄砲なこと、成功する見込みもないのに行動すること」とあります。このようなケースです。
・会社四季報でなんとなく開いたページの株を購入する。
・保有する金融商品でどのぐらいの手数料がかかっているか知らない。
・急騰しているミーム株に全資産をつっこむ。
要は”無計画”ということです。大航海に出るにはコンパスが必要です。行き先が決まっていたとしても今いる方向が分からないままでは一生辿りつかないからです。
海外旅行に行くのにパスポートを持っていない。自動車を運転するのに免許証を持っていない。海水浴に行くのに水着を持っていない。これでは話になりません。
ぼくは株式投資をデイトレードから入りました。かれこれ20年近く昔の話です。ゲーム感覚だったんですね。知識もない、知恵もない、経験もない。そんな中で100万円を動かしていたわけですから、これは無謀以外の何ものありません。
過去の失敗事例を紹介したこちらの回「金融資産3,000万円を達成した中での失敗事例7選」も参考になると思います。
経験則からお話ししますと、どんな個人投資家も最終的には丸くなります。ゴツゴツしている川上の石が、水流で研磨され、川下に行き着いた時にはツルツルになっているように、です。無謀な行いを経て気付くことが多いからなんですね。もちろんフィジカルもメンタルも傷つきます。それを乗り越えた先に長期運用という世界が広がるのだと思います。
おしらせ
キャラクター”ぺいぱ”がデザインされた「資産運用学園やわらか中学校」公式アイテムがついに販売開始!トイレットペーパーを模したキャラデザの由来は、古くなったお札が再利用されてトイレットペーパーになることや、ウン(運)がつく縁起ものだからなど、諸説あり。いずれのアイテムも日常使いできるシンプルデザインです!ぜひお買い求めください!
さいごに
本日は「長期運用をするために必要なこと」として「無理をしない」「無茶をしない」「無謀なことをしない」の3つをお話ししてきましたがいかがだったでしょうか。
投資に限らず、何事も長く続けていくというのは難しいものです。飽きてしまうということもあるでしょうし、シンドイということもあるでしょう。会社員を続けているとそうした苦悩があるのとも少し近いかもしれませんね。
そんな方はこちらの回「社畜生活がシンドイ時に聞いてもらいたい話」も参考になると思います。
そして何よりもストレスがあってはいけません。ストレスがかかり続けると自分自身が潰れてしまいますから、そうなっては元も子もないわけです。
株式投資での長期運用はとにかく色々な変化にさらされます。それは市場環境で価値が上がったり下がったりすることもそうです。金融商品はトレンドがありますからそんな話題が次々飛び込んでくることもそう。つまり本質的にはこうした場所から徹底的に距離を取ることが一番の解決策になります。
徳川家康がまつられた神社、日光東照宮の厩舎(きゅうしゃ)には計16匹の猿が彫られています。そのうち、もっとも有名な猿が「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿です。
これには「自分に都合の悪いことや、相手の欠点は見ない、聞かない、言わないほうが良い」という意味が込められているそうです。
ぼくは現在、保有しているオルカンの基準価額はほとんどチェックしませんし、他人がどんなポートフォリオを組んでいるか、どのぐらいの金融資産を有しているかも関心がないですし、ブログやYouTubeの世界を抜けたリアルの場ではお金の話をする機会もほとんどありません。
結果的に三猿と近いスタイルになっているわけですが、おそらくこのぐらいの距離感の方が無理も無茶も無謀もなく、長く資産運用と付き合えるのではないかなと思います。何事もあまり深掘入りしすぎない方が良いということですね。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
さようなら、全ての「無理・無茶・無謀」