・資産形成と資産運用の違い
・資産の方程式
・百聞は一見に如かず
ごきげんよう、ぺいぱです。
このブログの内容は動画でも解説しています。
「資産形成」と「資産運用」。どちらもお金の話題を扱う際には必ず登場する単語です。これ、似ているようで位置づけは全然違います。詳しくはこのようなものです。
<資産形成とは>
将来的な安定や豊かさを追求するために資産を構築するプロセス。これは、収入を増やしたり節約したりなどでお金を蓄積し、目標額を達成することを意味する。例えば、定期的な収入を得るため仕事に就いたり、起業したり、不動産や株式などの投資を行ったりすることが資産形成の一部となる。
<資産運用とは>
既に持っている資産を最大限活用して利益を生み出すプロセス。これは、投資を通じて資産を増やすことや、リスク管理を行いながら資産を守ることが含まれる。リスクとリターンとのバランスを考慮しながら、金融商品や不動産などの異なるアセットを検討し、適切なポートフォリオを構築することが資産運用の一部となる。
簡潔に言えば、「資産形成」は資産をゼロから築くプロセスであり、「資産運用」は築かれた資産を最大化させるために増やすプロセスです。つまり、資産形成をした先に資産運用がある、というわけですね。
いつもご紹介していますが資産を構成する要素はこの方程式で表せます。
(収入 - 支出) + (資産 × 運用利回り)
フロー ストック
左側(フロー)を大きくし、それを右側(ストック)に置き換えていくことで資産は育つということです。つまりフローが資産形成、ストックが資産運用である、と言うこともできます。
ぼくの場合、資産形成は1,000万円までを現在の勤務先でのフロー収入のみで築き上げました。しかし、その先の2,000万円、3,000万円といった額の達成は株式投資によるストック収入の力が大きかったですね。
詳しくはこちらの回「金融資産3,000万円までに立ちはだかる5つの壁」でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
資産形成についての経験談はこちらの回に任せるとして、今回は後者、株式投資で資産運用をする際に必ず皆さんに抑えておいて欲しいポイントをまとめていきます。
元本割れが怖くてそもそも株式投資を行っていない方から、すでに株式で資産運用を始めているけど上手くいかないという方まで、幅広く役立つ内容をお届けしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
<君たちはどう資産運用するか:覚えておきたい6つの『ない』>
①唯一の正解はない。
②他人の言っていることを鵜呑みにしない。
③かけた時間=含み益にはならない。
④結果はすぐに出ない。
⑤必要なのはテクニックではない。
⑥難しく考えない。
君たちはどう資産運用するか:覚えておきたい6つの「ない」
では、早速いってみましょう!
資産運用をしている個人投資家のSNSでの集まりを「株クラスター」(通称:株クラ)と呼びます。ぼくもYouTubeやTwitterなどを通じて良く目を通します。いや、ぺいぱもその中の1人なのかもしれません。
資産運用のあり方というのは千差万別、十人十色、百花繚乱。実に色々な考え方、価値観、ポートフォリオがあるものです。
ぼく自身もそんな意見を見聞きしながら過去様々なトレンドに乗っかっていきました。2017年には著名ファンドマネージャーが運用するアクティブファンドを。その年の年末には空前の暗号資産ブームが巻き起こり10種類ほどの草コインを。2020年には金融緩和相場に合わせて複数のハイパーグロース個別株を購入してきたからです。
何もトレンドに乗ること自体が悪いというわけではありません。実際に勝敗としては5割だったかと思います。当たることもあるのです。ただそれでも暗号資産バブル崩壊では300万円強を一瞬で溶かしましたから、決して万人にオススメできるような資産運用ではなかったことは確かです。
ブームは人が創り出します。SNS時代の拡散力の高さがそれを加速させている面もあるのでしょう。すべてが間違っているわけでもないが、言われたまま買うのも大間違い。自分の頭で考え、判断して、実行する。投資にはこれが必要です。
ここ数年は、インデックス投資が最適解と言われて久しいですが、そのインデックス投資にも米国・先進国・全世界など地域の違いがあり、ETFや投資信託のように商品種別にも違いがあり、レバレッジや為替ヘッジのありなしといった性質にまで違いが及びます。
唯一の正解はないからこそ、「色々な手法を試してみる」ということもあるでしょうし「考えてもしょうがないから特定の商品だけに絞り込む」ということもあるでしょう。
ぼくの場合は金融資産が小さいうちに、日米中の個別株、アクティブファンド、コモディティなどを色々試し、その経験をもとに『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』1本に絞り込みました。
強い信念を持ってこの判断をしたわけですが、もちろんこれが正解だとも限りません。
チェス、囲碁、将棋、ブリッジ、ポーカーなどを知識・戦略・論理的思考といったメンタルなスキルを必要とする競技群として「マインドスポーツ」と呼ぶことがあります。
株式投資における資産運用も同じようなスポーツなのかもしれません。ぜひ皆さんも自分自身の頭で、自身の答えを導き出していただければと思います。
先ほども少し触れましたが、SNS時代になり優良な投資情報が手に入りやすくなった反面で、悪質なそれも手に入りやすくなったことも忘れてはいけません。
とあるインフルエンサーが紹介した暗号資産をこぞって購入し、その後に無価値になるなんてこともありましたし、持ち上げられたレバレッジ商品に多額の資金を投じて、その後SNSから姿を消すような人もいました。
若者をターゲットにし、借金までさせて価値のない金融商品にお金を注ぎ込ませるような悪質な詐欺事件なども後を立ちません。
ぼくは若かりし頃、日本の個別株でデイトレをしていた時期がありました。真偽が定かではない噂情報をもとに色々な株式を売買していたものですが、結果的に100万円ほどの損失を出して、そこから投資が怖くなって10年ぐらい距離を取っていました。
投資というのは、経済的な利益を追求する目的でお金を使うことを指します。それをすることでより資産の価値を向上させたり、収益を得たりすることを期待するわけです。
何も投資は株式や暗号資産に限りません。就職をして会社勤めをすることも立派な投資ですね。自分自身の有限資産である「時間」を切り売りして給料という「お金」を得るからです。
では就職活動をする際、まったく知らない赤の他人から勧められた会社に、そのまま就職しますか?普通はしません。その会社の業績、社風、どんな社員がいるのか、勤務地、キャリアプランなど、自分自身の価値基準と照らし合わせた中で判断をしていくからです。
資産運用もまったく同じ。自分の可愛い子どもであるお金を働きに行かせるわけです。赤の他人の勧めのまま実情が分からないところに放り込むなんてことは通常できません。
ただそれでも、現代ではこのようなことがよく起こってしまいます。人間というのは、情報を持っているように見える人、成功しているように見える人に、「自分もこうなれるかもしれない」と、将来ありたい自分の姿を重ねて見てしまう傾向にあります。
では、一切そうした情報から遮断させてしまう方が良いか、というとそれも違います。良い情報も悪い情報もまずは一身に受け取り、それらを吟味して自分が信じれるものだけを取捨選択する。この一手間が大事です。
こういったサイクルを面倒くさがらず繰り返していくことで、資産運用の精度は上がっていきます。
株式投資を始めるには、証券会社を選び、口座開設し、金融商品を選び、購入し、運用する。各プロセスで次々に選択を迫られます。非常に体力も時間も知力も必要になるわけです。
始めた後も銘柄の追加購入やリバランスなどで手を入れる機会も多くなります。
企業の財務諸表やビジネスモデル、業績などの基本分析。株価チャートや取引量などの市場データを分析するテクニカル分析。市場の変動性、特定のイベントリスクなどリスク分析。
多くの投資家はこれらの手法を組み合わせて総合的な分析・判断を行います。ただし、どれだけ分析しても、どれだけ勉強してもそのかけた時間だけ結果が出るわけではない、というのも資産運用の特徴です。
ぼくのようにオルカン1本をほったらかしで運用している人が年初から1,000万円近くの含み益が出ている一方で、同じぐらいの規模の含み損を抱えている人もいます。
もちろんぼくが常に良い思いをしていたわけでもありません。2022年は金融相場全体が軟調でしたから、年間500万円も貯蓄したのに金融資産額は70万円も減少するという悲惨な結果だったからです。
そう、つまり投資は時間をかけようがかけまいが、運用結果にはそのまま結びつかないということです。片手間でそれを行う個人投資家では特にそれが顕著です。
であれば時間をかけずに市場平均のリターンを得られればいいや、という考え方から近年のインデックス投資ブームが起きていると言えますね。
仕事での成果も同じです。どれだけ自分が頑張ったとしても成果に結びつかないことがある。これは、資産運用も仕事も自分の力が及ばない部分が多くを占めるからです。
こういう世界に疲れてしまった人はぜひ筋トレをオススメします(笑)「筋肉は裏切らない」なんて言葉がありますが、これは本当。やればやっただけ自分の身体に反映されていくからです。
こちらの回「自己投資の最適解『筋トレで得られる10のリターン』」でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
「果報は寝て待て」ではありませんが、資産運用は手間暇とリターンのバランスをどう取るのかの判断も求められます。
ぼくが株式投資を始めたのは2004年。日本の個別株をデイトレするところからでした。最初は資産運用というよりもゲーム。遊び感覚だったんですね。そんなものがうまくいくはずもなく、100万円ほどの損失を出した上で2007年に撤退。その後、10年間は投資から距離を置くことになります。
2017年に米国・中国の個別株で投資を再開した後も、目立った成果はありませんでした。転機は2020年。3月のコロナショックで保有銘柄を手放さず、その後の金融緩和相場の上昇に乗ったことで資産を大きく伸ばすことに。これが資産運用における最初の成功体験だったと思います。
辞めていた期間があったとは言え、成果を得るのに実に足掛け13年要したことになりますね。何が言いたいのかというと、株式投資は宝くじではありません。すぐに決着はつきません。買った翌日に1億円になっているなんてことはないのです。
インデックス投資であれば15年以上の長期投資が前提となりますし、個別株の売買で頑張る場合でも多くの失敗を経る必要があるでしょうから、結果を出すまでは相当な期間が必要になるはずです。
投資で失敗する人に共通するのは、「急いでお金持ちになりたい」という欲望。こうした気持ちを抑えていくためには一にも二にも焦らないこと。これに尽きます。
では、なぜ焦ってしまうのか。それは見なくてもいい周りの成功者の存在がありますね。昔は周囲にいる方がお金持ちかどうかなんて分かりようもありませんでした。良い車に乗っている、家がお屋敷のように広い、会社を経営しているなど、周辺状況から想像するしかなかったからです。
しかしSNS時代になり、それが数字で見える化されます。数千万円を達成してサイドFIRE(経済的に自立した早期退職)しました!なんていう人たちがYouTubeにもTwitterにもゴロゴロいるわけです。それを見てしまうと「なんで自分は…」なんて焦りもしますが、こうした情報に踊らされてはいけません。
ぼくの行きつけの天ぷら屋で大将がこう言っていました。「目の前のことを一生懸命やるだけ。簡単なこと。そうすれば人もお金も付いて来る」
投資に限らずスポーツでも仕事でも趣味でもそう。目の前のことを一所懸命に取り組む。気付くと結果が出ている。こういう姿が理想ですね。
ここまでを見ていただいてお分かりかと思いますが、資産運用で成功するのに必要なのはテクニックじゃないということです。目的が何なのか。そのためには何が必要なのか。情報収集し、取捨選択をし、後はひたすら実直に取り組み続ける。
これこそが資産運用を成功に導くためのコツです。それをするためにはすごい性能のパソコンが必要なわけでも、お金に関する資格が必要なわけでも、特別な情報商材が必要なわけでもありません。
ぼくは2021年に複数保有していた金融商品を全て売却し、オルカンへ一本化しました。2,500万円分を一括購入後、毎月30万円を積み立て購入していますが、入金から買い付けまでをすべて自動化しているため、いまは何一つ自分では手を入れていません。
<💴金融資産推移>
2017年末:1,717万円
2018年末:1,561万円(▲9.08%)
2019年末:1,857万円(+18.96%)
2020年末:3,103万円(+67.09%)
2021年末:3,959万円(+27.58%)
2022年末:3,889万円(▲1.76%)
23年6月末:4,805万円(+23.5%)
※カッコ内は前年同期比
投資手法こそ2021年を境に変わりましたが、このように金融資産額は好不調の波こそあれ、全体的には大きく伸長していることが分かります。これを成すのにテクニックなんてものは必要ないのです。
過去の失敗経験を踏まえて試行錯誤した結果、ぺいぱ自身が最も良いと考える手法が現在の形、つまりコアにオルカン、サテライトに暗号資産、あとはすべて現金というシンプルな組み合わせにたどり着きました。
なお、サテライトは少額で爆発力のあるものを選んでいるだけなので、ここは個別株やレバレッジ商品でも良いでしょう。暗号資産を勧めたいわけではりません。
詳しくはこちらの回「資産を増やすのに爆発力が欲しい方にオススメ『コア・サテライト戦略』」でも取り上げていますので、せひご覧ください。
成果を上げる要件はテクニックにあらず。どんな金融商品が注目されようと、インフルエンサーが刺激のある情報を流していようと、自分が決めた道をコツコツ・たんたん・中長期で歩み続けることを意識したいですね。
結局はここに帰結します。物事の本質を捉えるにはシンプルが一番。これは自分自身の考え方もシンプルであるべきだし、取り組み方もシンプルであるべき。そういうことです。
資産運用を始める際にはこれらの選択を迫られます。
・証券会社はどこが良い?
・購入する商品は何が良い?
・いついくら購入するのが良い?
たった3つのクエスチョンではありますが、その答えは無数に存在します。そして先に触れたようにたった1つの正解は存在しません。だからこそ、投資は奥が深いし難しい。素人には手が出しずらい。となるわけです。
これで思考停止してしまうぐらいであれば、例えば1万円の身銭を切って始めてみる。あれこれと失敗も成功も経験してみる。その上で「こうあるべき!」という自分の答えを探していく。これが一番良いのではないでしょうか。
やったことのないものについて、いくら頭の中で考えを巡らせても時間の無駄です。資産運用ほど「百聞は一見に如かず」ということわざがしっくりくる分野もないのではと思います。
少なくてもぼく自身は自分で見聞きしたことしか信用しません。これは投資に限らず仕事もプライベートも全てそうです。実際に見聞きしてしまう方が圧倒的に答えに早くたどり着くという強力なメリットもあります。
また、複雑な取り組みは振り返りも複雑です。結局なにが成功・失敗の要因だったのか分からないままというケースだってあり得ます。だからこそシンプルに取り組む。そうすれば振り返りもシンプルです。
何事も、難しそうだなと思ったらまず小さく始める。そこでの気付きから自分流を作る。そしてその内容を限りなく洗練させていく。このように徹底的にシンプルであることを意識していくと、自ずと答えはすぐに手に入ります。
おしらせ
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さいごに
今回は「君たちはどう資産運用するか?覚えておきたい6つの『ない』」をお届けしてきましたがいかがだったでしょうか?
<君たちはどう資産運用するか:覚えておきたい6つの『ない』>
①唯一の正解はない。
②他人の言っていることを鵜呑みにしない。
③かけた時間=含み益にはならない。
④結果はすぐに出ない。
⑤必要なのはテクニックではない。
⑥難しく考えない。
ぼくは2004年から株式投資をやっていますが、間10年ほど空白期間がありますから、この考え方に行き着いたのはこの5年ほどです。取り扱った金融商品の幅もそうですし、金額の幅もそうですが、急速に自分流が固まってきたんですね。
これら6つの「ない」は、聞けば至極当然のことばかりだと思われたのではないでしょうか。もしぼくが、5年以上前にこれらの話を見聞きしたとしても、あまり腹落ちしなかった可能性もあります。
それはやはり「百聞は一見に如かず」。どれだけ場数を踏んで経験をしてきたかで、同じメッセージでもその腹落ち度が変わるからです。
ただし、場数がない状態でこれらを一定深度で受け止めることができれば、ぼくがかけてきた物凄い膨大な時間をショートカットすることが可能です。先に触れた「良い情報を得て栄養にしていく」ということですね。
もちろん、ぼくが話していること全てが優良な情報だ、なんて偉そうなことを言うつもりはありません。それはご覧になられている皆さま一人一人が決めていただくことです。
ぼくより経験も実績もあり、非常に優れた個人投資家の方は世の中にたくさんいらっしゃいます。そうした方のYouTubeやブログなどから得られる情報が、皆さまの将来を大きく変えていくこともあるでしょう。
来年から新NISAがいよいよ始まります。今年下半期は投資に関する話題を目にすることも増えると思います。多くの方はこの制度を活かして老後に向けた資産運用をされるでしょう。だからこそ失敗をして欲しくない。そのためにぜひ心に留めておいて欲しい。それが今回の話でした。
なお、新NISAに向けての準備についてはこちらの回「新NISA開始までに必ずやっておきたいこと」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
小さく始めて形を作り、洗練させて、大きな果実を得る。