・激動の過去5年間
・良かったこと悪かったこと
・転機は2021年にあり
ごきげんよう、ぺいぱです。
やわらか中学校でお届けしている話題は、資産形成や資産運用に関連するものが中心です。その中身はすべて自分の実体験からきています。成功も失敗も含め、ぺいぱ自身やってきたことが、他の誰かの参考や役に立つかもしれない。そして引いてはそれがオリジナリティにもなる。そんな考え方からです。
このブログの内容は動画でも解説しています。
数字については、収支を家計簿アプリ「マネーツリー」で、運用は『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』を保有するマネックス証券の口座と、暗号資産を保有するコインチェックの口座で確認をしており、それらに加えて住宅ローンやカード利用の未払い分など、負債も含めてExcelで管理しています。いわゆるP/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)を自前で編集しているというわけです。
これをやり始めたのは2017年12月末から。つまり5年半ほどの情報が蓄積されているんですね。FP(ファイナンシャルプランナー)資格を取得するずいぶん前の話です。まとめ方が完璧だとはまったく思っていませんが、どんな形であれ、自身の資産状況を整理して見える化することは重要です。振り返りもしやすいですし、課題も見えやすくなるからです。
過去実績を振り返る動画は何度かお届けしていますが、例えばこの回『オルカン(全世界株式)の「一括投資」vs「一括+積立」vs「積立投資」結局どれが良い?』は人気動画の一つとなりました。よろしければぜひご覧ください。
さて、今回はそんな5年半の情報をもとに、年間利回りを振り返っていこうと思います。ぼくは2021年6月までは米国・中国・東南アジアの個別株で運用をしていましたが、それ以降はオルカン(全世界株式)に一本化しています。
そのほかにも住宅ローンを借り換えたり、ドル建て養老保険を解約したり、社員持株会を退会したりと、この5年で資産の考え方・持ち方が大きく変わっていきました。そんな変化が実績にどう反映されているのかについて、紹介していきたいと思います。
過去5年分の利回りを振り返る
いつもご紹介していますが資産はこの方程式で表せます。
(収入 - 支出) + (資産 × 運用利回り)
フロー ストック
左側(フロー)を大きくし、それを右側(ストック)に置き換えていくことで資産は育つということです。これを念頭にまずは、過去5年分の実績を見ていきましょう。
2018年:▲23.2%
2019年:+18.1%
2020年:+46.7%
2021年:+4.6%
2022年:▲14.4%
2023年:+25.9%
※数字は前年比
※23年は7月末まで
山あり谷あり、といったところですね。しかしながら記録をつけ始めた2017年末時点と現在を比べると+191.4%ですから、貯蓄も投資もよう頑張った!と胸を張って言えるのではないでしょうか。
ここからは、その利回りの詳細について見ていきます。なお数字は端数を四捨五入、保有商品カテゴリはその年の12月末時点のものです。
年初の金融資産額
1,717万円
年末の金融資産額
1,561万円
—
貯蓄額
+242万円
投資収益
▲398万円
—
増加額
▲156万円
—
投資利回り
▲23.2%
<保有金融商品カテゴリ>
個別株(米国・中国・日本)、暗号資産、持株会、養老保険、現金
<良かったこと>
悪かったことで触れていますが、この年は1月に暗号資産市場が大暴落。それだけに留まらず、自身で保有している海外の個別株も軟調、自社株も軟調。どこを取っても良いことはありませんでした。そんな中でも唯一良かった点を挙げるとすれば、242万円もの貯蓄ができたことです。
ぼくが家計改善を始めたのは2020年夏以降。つまりこの頃はまだ支出に無頓着だった時期にあたります。それにもかかわらず、そこそこ貯められていたという点が後から大きな武器になっていきます。元々そこまで浪費家でもなく、かつインドア派という性格がポジティブに作用しました。
<悪かったこと>
2018年は年間通して初めてP/L、B/Sを付けた年でしたが、投資利回りは▲23.2%と散々な結果に。理由は明確、1月に発生した暗号資産市場の大暴落で300万円強のお金を一瞬にして溶かしたからです。
じわじわ下げていくというよりも、数日でガッツリ下げるという状況でしたから、正直なところ資産を失った実感が当初は湧きませんでしたね。ただ、Excelで月末締めして資産状況を整理することで段々「とんでもないことをやらかしたんだ…」と、その認識が強まっていきました。
前年末に支給されたボーナスもかなり突っ込みましたから、まさに若気の至りです。
年初の金融資産額
1,561万円
年末の金融資産額
1,857万円
—
貯蓄額
+13万円
投資収益
+283万円
—
増加額
+296万円
—
投資利回り
+18.1%
<保有金融商品カテゴリ>
個別株(米国・中国)、暗号資産、持株会、養老保険、現金
<良かったこと>
2019年は保有する個別株、米国と中国のいわゆるハイパーグロース株でしたが、非常に堅調に推移しました。では、なんでそんな個別株を保有をしていたのか。理由は2つです。
1つはぺいぱ自身、IT業界経験が長いこともあり企業分析がある程度できたということ。もう1つはインデックスファンドの存在を知らなかったこと。無知というのは本当に怖いものです(笑)
<悪かったこと>
投資利回りは良かったわけですから、悪いことを強いて挙げるとすると貯蓄額がわずか13万円だったことです。この年は4月に英会話スクールへの支払い168万円がありました。専属コンサルタントのサポートの下、1,000時間の英語学習を行う英語コーチングスクールです。
当時は勤務先の仕事柄、外国への出張も多かったんですね。これまで真剣に英語に向き合ってこなかったところから一念発起し、思い切った自己投資を行いました。丸一年間、英語漬け。目標には届きませんでしたが、それでもトータルでいくと500時間弱という勉強時間をかけました。
結果的には、ネイティブスピーカーと日常会話ならある程度こなせるようになりました。しかしその後のコロナ禍もあり、出張がなくなり英語を話す機会もなくなり、今ではほとんど忘れてしまいましたが(汗)。
年初の金融資産額
1,857万円
年末の金融資産額
3,103万円
—
貯蓄額
+380万円
投資収益
+867万円
—
増加額
+1,246万円
—
投資利回り
+46.7%
<保有金融商品カテゴリ>
個別株(米国・中国・東南アジア)、全世界株アクティブファンド、新興国株インデックスファンド、コモディティ、暗号資産、現金
<良かったこと>
ぺいぱ史上最大の利回りになったことですね。3月のコロナショック以降、主要中央銀行による空前の金融緩和によって生まれた上昇相場。ぼくは個別株がすべてハイパーグロース株でしたから爆発的な伸びを見せました。
また、この年の7月から家計改善に着手。年間で160万円も支出削減するなど貯蓄額が急上昇。抜本的な構造改革の一環で保有金融商品も見直しを行い、社員持株会の退会、養老保険の解約、住宅ローンの借り換えを行っています。
<悪かったこと>
正直ありません。強いて言えばもっと早くから家計改善を行っていれば、というぐらいでしょうか。
年初の金融資産額
3,103万円
年末の金融資産額
3,959万円
—
貯蓄額
+713万円
投資収益
+143万円
—
増加額
+856万円
—
投資利回り
+4.6%
<保有金融商品カテゴリ>
オルカン、暗号資産、現金
<良かったこと>
2021年6月に保有するすべての金融商品を売却し、オルカンに一本化しました。2,500万円分を一括購入後、7月以降からは毎月30万円分を積立購入し続けています。実際は個別株のままだった方が、年末までの利回りは良かったのですが、このオルカン一本化は翌年、大きな意味を持つことになります。一括購入タイミングがたまたまではありますがドル円109円後半-110円前半と、円安に大きく振れる前だったというのもポイントです。
そして、家計改善の効果が年間通じてフル寄与したため、貯蓄額は驚異の713万円。投資利回りが控えめな割に金融資産を大きく伸ばせているのはこの貯蓄効果が大きかったわけです。当時は「ここまでくれば金融資産4,000万円台なんて軽いもんよ」と高を括っていたわけですが実際は…。
<悪かったこと>
なし。これは言い切れます。この2021年の判断や行動がなければ今のぼくはない。そのぐらいのターニングポイントとなりました。
年初の金融資産額
3,959万円
年末の金融資産額
3,889万円
—
貯蓄額
+500万円
投資収益
▲570万円
—
増加額
▲70万円
—
投資利回り
▲14.4%
<保有金融商品カテゴリ>
オルカン、暗号資産、現金
<良かったこと>
年間500万円の貯蓄。あとは急激な円安。以上。
<悪かったこと>
コロナ禍での金融緩和から一転、加熱するインフレを押さえ込むために主要中央銀行が金融引き締めに動き出したことから相場は急ブレーキ。これまで市場を牽引してきたハイパーグロース株には大逆風となりました。
ぼくはオルカンに一本化していたため直撃は避けられましたが、それでも保有する暗号資産の価値が半分以下になるなどし、年間500万円も貯蓄したのに金融資産は前年比で減少する散々な年に。
しかし、2021年にあのまま複数のハイパーグロース個別株を保有していたら▲80%、▲90%という状況でしたから、オルカン一本化という打ち手が大きな意味を持ったわけです。
年初の金融資産額
3,889万円
7月末の金融資産額
5,005万円
—
貯蓄額
+109万円
投資収益
+1,007万円
—
増加額
+1,116万円
—
投資利回り
+25.9%
<保有金融商品カテゴリ>
オルカン、暗号資産、現金
<良かったこと>
まだ年間で締まっていませんので、前年までとの正確な比較はできませんが、今年は2022年の不調を穴埋めしてくれるような株式相場の好調ぶり。投資での含み益は1,000万円を超え、そして金融資産も5,000万円を超える、まさに節目の年となりました。
昨年のように株式市場が低迷していても、自分で立てたルールを続けること、ぼくの場合だと毎月30万円分のオルカンを積立し続けることになりますが、これを苦しい中やり切ったことが今年の上昇相場による恩恵を一層引き立てています。
投資の基本は安く買って高く売る。低迷時期にもその手を緩めなかったことが、今年の利回りを作っているわけです。ま、売るのは当面先になりますけどね。
<悪かったこと>
少し今年の相場は過熱感がありますので、きっとどこかでガツンと下げるのでしょう。そんな想像を除くと、今の段階で確実に言えるのは支出が大きすぎること。毎月収支は赤字続きですから金融資産がぐんぐん伸びているというのは「r>g」の縮図。
こちらの回「2023年5月の収支・運用状況:インデックス投資の出口戦略を考える」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
おしらせ
キャラクター”ぺいぱ”がデザインされた「資産運用学園やわらか中学校」公式アイテムがついに販売開始!トイレットペーパーを模したキャラデザの由来は、古くなったお札が再利用されてトイレットペーパーになることや、ウン(運)がつく縁起ものだからなど、諸説あり。いずれのアイテムも日常使いできるシンプルデザインです!ぜひお買い求めください!
さいごに
今回は「個別株からオルカン(全世界株式)へ切り替えは正解だったのか?:過去5年分の利回りを振り返る」をお届けしてきましたがいかがだったでしょうか?
ぼくが資産形成を始めたのは40歳になってから。一般的に考えれば激しく遅いですし、やり方も不慣れでしたから、色々な失敗がありました。それでも、「インデックスファンドの存在を知らないところから始めた人でも、地道な情報収集と最適化に向けた行動を続けていれば金融資産を増やすことは可能である」というのを体現できたのではないでしょうか。
改めてぺいぱの金融資産推移です。
2017年末:1,717万円
2018年末:1,561万円(▲9.08%)
2019年末:1,857万円(+18.96%)
2020年末:3,103万円(+67.09%)
2021年末:3,959万円(+27.58%)
2022年末:3,889万円(▲1.76%)
2023年7月末:5,005万円(+28.7%)
※カッコ内は前年末比
ぼくは保有する金融資産の9割がリスク資産で、かつ8割がオルカン。株式市場の動向に思いっきり左右されます。そして株式相場が軟調なとき、暗号資産はもっと激しく軟調ですから、2018年と2022年のような惨憺(さんたん)たる結果を生むことにもなります。
本題である、個別株からオルカンへの切り替えについて振り返ると、ぼくの場合は先に触れたように保有するものすべてがハイパーグロース株でしたから、それらをすべてオルカンに置き換えたことで2022年の下落幅を最小限に押さえ込むことができた点では良かったと言えます。
どんな銘柄を選ぶのかによりますから一概には言えませんが、あくまでぼくの経験則でいきますと、個別株は伸びる時の爆発力も下げる時の爆発力もとにかく凄い。ただし、将来を見据えた資産形成を進めていきたいのであれば、圧倒的にオルカン。これが答えかなと思います。爆発力はありませんが圧倒的に手間がかからないし運用自体も安定します。
もちろんコアにオルカン、サテライトで少数の個別株を持つ、なんて選択肢も十二分にありでしょう。将来すごく興味のある会社が出てきた場合は、ぼくもそうした選択肢を取る可能性があります。
詳しくはこちらの回『資産を増やすのに爆発力が欲しい方にオススメ「コア・サテライト戦略」』でも解説していますのでぜひご覧ください。
オルカンは、株式というアセットクラスのみではありますが、地域分散が効いており、合わせて通貨分散もされます。積立をし続けていけば時間分散にもなります。それ一本と現金とでシンプルにバランスを取っていくことが、最も手間なく堅実な資産形成ができるのではないでしょうか。
もちろん最後は自分自身の責任のもとでご判断をいただければと思います。思考停止で誰かの言われた通りに行動してしまう、というのが最も愚かな打ち手。なぜならば、成功した場合でも失敗した場合でも、なぜそうなったのかを振り返ることができないからです。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
山あり谷あり。資産の増減は人生そのもの。