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主要証券会社2021年3月期決算の総まとめ:逃げる野村、追うSBIと楽天。

主要証券会社2021年3月期決算の総まとめ:逃げる野村、追うSBIと楽天。
この記事で分かること

・主な証券会社の2021年3月期決算
・逃げる野村、追うSBIと楽天
・純営業収益でネット証券が主役となる日

おはーん、ペーパー先生です。

先日、SBI証券さんが国内現物株の売買手数料を実質無料化する話題を紹介した中で、

無料化の波が業界再編への号砲になり得るという考察をしました。

詳しくはこちらをご覧ください。

SBI証券が国内現物株式の売買手数料を実質無料化!業界再編への号砲
SBI証券が国内現物株式の売買手数料を実質無料化!業界再編への号砲20日、ネット証券最大手のSBI証券さんは25歳以下の顧客に対し、国内現物株の売買手数料を全額キャッシュバックすることを発表しました。これにより手数料が実質無料となります。また、将来的にはその対象をすべての利用者に拡大する方針です。各社、段階的に無料化の範囲を広げてきましたがついに最終局面。今日はネット証券大手3社の手数料についてやわらか紹介します。...

そんな今日は、2021年3月期の決算が出揃った証券会社の業績をやわらか振り返りします。

主な証券会社の2021年3月期決算

まずは主な証券会社の2021年3月期決算からです。

主な証券会社の2021年3月期決算
証券会社名 純営業収益 20年3月期比 最終損益 20年3月期比 販売費・一般管理費増減率 預かり資産伸び率
野村HD 14019 8.9 1531 ▲29.4 12.7 3.5
大和証券グループ本社 4667 9.5 1084 79.6 0.5 10.4
みずほ証券 3736 32.5 756 252.6 9.8 11.2
SMBC日興証券 3579 13.3 717 82.6 0.1 12.5
三菱UFJ証券HD 3376 4.8 805 65.9 ▲6.3 2.7
SBI証券 1491 31.5 461 64.8 22.7 37.2
楽天証券 753 33.3 96 35.3 30.9 68.9
マネックスグループ 737 53.6 144 376.7 16.4 18
東海東京FH 670 12.2 91 229.1 ▲4.6 8.3
岡三証券グループ 661 3.2 60 65.9 ▲1.6 15.9
松井証券 287 28.3 103 67.6 17.9 19
岩井コスモHD 231 24.3 54 98.6 7.7
いちよし証券 182 5.6 10 黒転 ▲4.8 5.7
auカブコム証券 165 5.4 16 1.4 4.7 10.5
14社合計 34554 13.3 5926 34.5
野村HDを除く13社合計 20535 16.5 4395 96.5
※単位億円、%、▲は損失または減、楽天(12月期決算)が20年4月-21年3月の参考情報。預かり資産伸び率はコロナ禍前の19年12月末との比較。

【出典】楽天証券が大躍進 証券界の構造変化が加速(日経電子版)
2021年5月5日 2:00 [有料会員限定]

各社ともに最終損益が前期比でプラスとなっており、コロナ禍の巣ごもり特需の恩恵を大いに受けています。

一方、唯一の減益となった野村HDさんは、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントさんに絡む損失を

3000億円超計上することが影響しています。

純営業収益とは

株式売買手数料、信用取引金利収入、投信販売手数料、投信代行手数料(信託報酬のうち販売会社の受け取り分)などで構成。広い意味で証券会社の売上高に相当するもの。

最終損益とは

経常利益から、特別損益(固定資産や投資有価証券取引などで一時的に発生した損益)と、税金(法人税や住民税、事業税、法人税等調整額など)を加減して残った利益。「当期純利益」とも呼ばれる。

こうやって一覧で見ますと、昨年同期比で明暗がくっきりと分かれてますね。

多くの新規顧客を獲得したSBI証券さんと楽天証券さん、

暗号資産の盛り上がりでクリプトアセット事業が好調なマネックスグループさんが30%を超えた伸長となっているほか、

ネット取引に力を入れる松井証券さん、岩井コスモHDさんが20%超えとなっています。

その他、対面営業が中心の証券会社は軒並み一桁伸長となっていますが、

注目すべきは、その中でみずほ証券さんはネット証券に引けを取らない32.5%増。

3月末時点での残高で約1兆300億円。ESG関連投資信託の純資産残高でおよそ半分を占めているヒット商品

グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」をはじめ、

海外に向けた投資商品を広く取り揃えたことが業績に大きく寄与しています。

一方、販売費・一般管理費増減率の傾向としては、

 ・ネット証券各社=大きく増加。(広告宣伝費が増えた)
 ・対面営業の証券会社=横ばいもしくは減少。(交通費や出張費、交際費が減った)

対面営業を中心とした証券会社がコストを抑えて利益を大きく伸ばせているわけですので、

従来の戦略がそもそも時代に則していないという事実を強烈に突きつけられたということですね。

さいごに

口座数については、ネット証券2社が最大手の野村証券さんを抜いていきました。

 ・野村証券の営業部門(532万口座)
 ・SBI証券(681万口座)
 ・楽天証券(572万口座)
  ※2021年3月末
  ※SBIネオモバイル証券とSBIネオトレード証券との合算

次の注目は預かり資産の動向ですが、

 ・野村証券の営業部門(126兆6000億円)
 ・SBI証券(19兆3000億)
 ・楽天証券(11兆6400億円)
  ※2021年3月末

ここには大きな差があります。

中心となっている顧客の年齢が預かり資産額にも比例しており、

 ・野村証券=高齢で経営者なども含まれ、大きく動かない資産が多い。
 ・SBI証券=楽天証券よりも高い年齢層で、取引歴も長い。
 ・楽天証券=投資経験の浅い若年層、NISA利用者が多い。

ざっくりとこのような特徴があります。

近いうちに、ネット証券大手5社(SBI、楽天、マネックス、松井、岡三オンライン)を合算した

純営業収益が野村証券の営業部門を抜くのではないかと想定されており、

2000年代に登場してきたネット証券が、利用者の定着化や新規顧客の獲得で、

老舗を凌駕するのはもう時間の問題と言えそうです。

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では、ごきげんよう。

今日のまとめ

証券業界も栄枯盛衰。

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