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中央銀行や総理大臣からみる世界を動かすメッセージの力

中央銀行や総理大臣からみる世界を動かすメッセージの力
この記事で分かること

・中央銀行トップのメッセージ
・歴代総理のメッセージ
・メッセージで大事なこと

おはーん、ペーパー先生です。

先日、このようなツイートをしました。

世界の中央銀行というのはその国・地域の中核金融機構となる公的な銀行です。

日本だと日本銀行(日銀)、米国ではFRB(連邦準備制度)を中心に複数機関で分担、英国はイングランド銀行、EU(欧州連合)はECB(欧州中央銀行)がそれぞれ担っています。

主に

・政策金利操作
・公開市場操作
・預金準備率操作

この3つ手法による金融政策によって、

物価の安定を図り、経済の健全な発展を支えることが主なミッションです。

中央銀行の金融政策は、為替や株式などを通じて、世界の市場や経済に影響を及ぼしますので、

金融政策を主導する中央銀行トップのメッセージは常に注目されるわけです。

メッセージの持つ力は本当に強力です。

広報を担当していると、少しの言葉遣いの違いで、記者の受け取り方が大きく変わり、

意図しない内容が記事で広く発信され、後悔をすることがあります。

今日は、世の中を動かすメッセージの力について、やわらか考察していきます。

中央銀行トップのメッセージ

以前にこのブログで「言霊」について取り上げたことがありました。

言霊のパワーを最大限生かそう:コツとメリット
言霊のパワーを最大限生かそう:コツとメリット夢や目標を達成するために今すぐやっておいた方が良いこと。それは「言葉にすること」です。発信してしまうというのは様々な効果があるんですよね。このブログを見ていただいている方の中にも、いろいろな目標を持たれている方がいると思います。今日は「言葉にする」ことをテーマに話を進めていきます。...

「言葉に宿っていると信じられていた不思議な力」を紹介した内容です。

メッセージは人を動かしていく力を持ってますよね。

そして発言した人が寿命を全うした後も、永遠と語り継がれるわけです。

冒頭に触れた金融というのは経済における血液ですから、

中央銀行トップのメッセージというのは、世界中に影響を及ぼします。

一番有名なのは、2006年2月1日から2014年1月31日までの8年間、

FRB議長を務めたバーナンキ氏でしょう。

バーナンキ・ショック

2013年5月22日、バーナンキ議長は、米上下両院合同経済委員会の質疑応答で「今後数度の会合で、債券購入のペース減速を決定する可能性もある」と発言した。さらに翌月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)の記者会見では、決定事項として「今後得られる経済指標等が、FOMCの見通しに沿ったものであれば、資産購入を2013年後半に縮小する。さらにその後の指標も概ね見通しと整合的なら、来年上期を通じてゆっくりと段階を追って資産購入を縮小し、年央には停止する」というシナリオを示した。この一連の発言で量的緩和縮小を示唆したことにより、世界の金融市場に大きな激震が走った。テーパータントラムとも呼ばれる。

結果、株式市場、債券市場、コモディティ市場、新興国市場から資金が流出。

6月20日の1日間には世界の株式市場で1兆ドルの資産が吹き飛んだと言われています。

こうした前例があるだけに、現在のパウエル議長がどのような言葉選びをするのか、

多くの市場関係者が見守っているわけです。

歴代総理のメッセージ

先ほどは金融の側面でしたが、次は政治の側面から見てみましょう。

言葉は後世に残る、という話を先ほどしましたが、

歴代内閣総理大臣の施政方針演説はまさにそれ。

メッセージだけでその時代を垣間見ることもできますね。

有名なものを以下で紹介をしましょう。

歴史に残る首相演説

■吉田茂(1952年)
国力の回復に伴うて自衛力の漸増をはかるべきはもちろんだが、現在の段階はもっぱら物心両面における国力の充実に努力を傾くべきときである。

■池田勇人(1960年)
政府は今後10年以内に国民所得を2倍以上にすることを目標とする。

■佐藤栄作(1968年)
沖縄の祖国復帰は国民的総意である。両三年内に返還の時期についてめどをつける。

■田中角栄(1972年)
日中国交正常化に取り組み、日本列島改造を提唱したのも、時代の要請を痛切に感じたからにほかならない。

■竹下昇(1988年)
税制改革の実現を図らなければならない。身命のすべてをささげ、国民の皆様の心を心として重要課題の解決に取り組む。

■細川護熙(1993年)
政治腐敗の温床となってきた政・官・業の癒着体制や族議員政治打破に全力を尽くす。

■小渕恵三(1998年)
この国のあるべき姿として、経済的な繁栄にとどまらず国際社会の中で信頼されるような国、いわば富国有徳国家を目指すべきと考える。

■小泉純一郎(2001年)
今の痛みに耐えて明日を良くしようという「米百俵の精神」こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないか。

■鳩山由紀夫(2010年)
いのちを守りたい。

■菅義偉(2021年)
一人ひとりが力を最大限発揮し、互いに支え、助け合える、安心と希望に満ちた社会を実現し、「国民のために働く内閣」として全力を尽く。

【出典】歴代首相の演説、看板政策を反映 「所得倍増」「米百俵」(日経電子版)
よくわかる施政方針演説
2021年1月18日 5:00 (2021年1月18日 10:30更新) [有料会員限定]

先生がリアルタイムで認識をしているのは上記でいくと細川氏以降になります。

その中でも圧倒的にメッセージ力があったのはやはり小泉氏ですね。

広報対応でも気を付けることですが、言葉はシンプルに分かりやすいことが重要です。

100人が聞いて、100通りの解釈となってしまえば、それは伝えていないも同然だからです。

「構造改革なくして景気回復なし」 「郵政・ガリレオ解散」

そういう点では”劇場型”なんて言われましたが、人を惹き付けるメッセージを出せるのが小泉氏でした。

あとは、池田氏の「所得倍増計画」、佐藤氏の「沖縄返還」。

これは定量的なメッセージである点も注目に値します。

「所得を2倍にする」 「3年内に返還のめどをつける」

ゴールが非常に明確で、誤解なく伝わりますよね。

似たところでいくと当時の米大統領ジョン・F・ケネディ氏が、1961年5月25日に行った特別議会演説での宣言です。

「1960年代が終わる前に、宇宙飛行士を月面に送り、彼らを無事に帰還させる。」

これも極めてゴールが明確ですね。

政治の世界のメッセージというのは、国威発揚や国民の機運を盛り上げていくためにも必要であり、

これら事例からも極めてメッセージの持つ力の重要性が分かります。

さいごに

改めて今の日本に目をやると、人を巻き込んでいくメッセージを発する人はいないですね。

オリンピック・パラリンピックでは失言、コロナ対応では上辺だけのワンボイス、そして日本の首長はそもそも伝えるのが苦手。

目を覆いたくなる状況ですが、ある意味これも、引っ込み思案な今の日本をそのまま示しているのだと思います。

国際的な影響力を高めていくためには、心を捉えるメッセージとそれを実行するための素地が必要です。

今後、政治・経済・金融の分野でそうした人は現れるのか。

やわらかく見守りたいと思います。

では、ごきげんよう。

今日のまとめ

近年、日本の注目度が極めて高いのは、米国と中国にたまたま挟まれている立地のおかげ。

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