・2021年の世界経済成長率見通し
・国/地域別の接種回数TOP10
・メーカー別の契約数とワクチンの種別
おはーん、ペーパー先生です。
日本でもようやく2月17日から、新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されました。
すったもんだありましたが、1瓶当たり6回接種できる注射器を使用して先行接種が進んでいます。
政府発表や河野太郎行政改革担当相のコメントを踏まえると、
以下の流れでの接種が予定されています。
①国立病院機構の施設など、全国100の病院で同意を得た医療従事者4万人。
↓
②3月10日以降、1回目の接種を受けた方の2回目接種。
↓
③新型コロナ患者の診療や搬送に関わる推計370万人の医療従事者。
↓
④4月から7月ぐらいを目途に、65歳以上の高齢者約3600万人。
↓
⑤60-64歳の方、糖尿病や慢性腎臓病など基礎疾患のある方、高齢者施設のスタッフなどへ拡大。
↓
⑥それ以外へ対象を拡大。
なお、摂取終了時期については未定とされています。
コロナワクチンの接種状況や効果は、今後の世界経済にも大きく関わります。
今日はコロナワクチンのいまについてやわらか解説します。
2021年の世界経済成長率見通し
国際通貨基金(IMF)が先月発表した2021年の世界経済成長率見通しは、
成長率5.5%と、昨年10月時点の予測の5.2%から上昇する見込みとなっています。
しかしながら、
IMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は、
「パンデミック(世界的大流行)収束に向けた変異ウイルスとワクチンとの競争の結果や、その実現までに効果的な支援を提供できる政策の力に大きく左右される」
このように述べており、中央銀行が金融緩和を続けている間に、どの程度ワクチンが効果を発揮するかで、
数字は大きく変動する可能性に含みを持たせたわけです。
では、その注目されるワクチン。
今の状況がどうなっているのかを見ていきましょう。
国・地域別の接種回数TOP10
コロナワクチンの接種は世界81カ国・地域で始まっており、
2020年12月上旬の英国を皮切りに、世界各国で接種が本格化しています、
世界全体の累計接種回数は2月17日までに1億8848万回を超えました。
(2月19日時点)
①🇺🇸米国 56,259,755回
②🇨🇳中国 40,520,000回
③🇬🇧英国 16,610,103回
④🇮🇳インド 9,422,228回
⑤🇮🇱イスラエル 6,879,246回
⑥🇧🇷ブラジル 5,883,539回
⑦🇦🇪UAE 5,284,406回
⑧🇹🇷トルコ 5,223,602回
⑨🇩🇪ドイツ 4,572,420回
⑩🇷🇺ロシア 3,900,000回
(2月19日時点)
①🇮🇱イスラエル 30.42人
②🇺🇸米国 4.87人
③🇷🇴ルーマニア 2.61人
④🇦🇪UAE 2.56人
⑤🇪🇸スペイン 2.38人
⑥🇮🇹イタリア 2.17人
⑦🇵🇹ポルトガル 2.04人
⑧🇩🇪ドイツ 1.90人
⑨🇵🇱ポーランド 1.82人
⑩🇨🇿チェコ 1.70人
接種回数だけで見ると、米国と中国が突出していますが、
多くのワクチンは免疫獲得に2回以上の接種が必要となります。
そのため重要な指標は「接種完了人数」となり、
イスラエルは国民の4人に1人は接種を終えている計算で、世界でも最も進んでいます。
ファイザー製ワクチンを2回接種した2週間後の効果について同国保健省の発表では、
・死亡を防ぐ効果 98.9%
・重症化予防効果 99.2%
・発症予防効果 95.8%
・入院予防効果 98.9%
上記だったとする調査結果が発表されており、
未接種の場合と比べ、死亡に至ることを防ぐ効果が極めて高いとされます。
そうした一方で、コロナ感染による死者数7日移動平均で2,063人と、
他地域と比べて圧倒的に多い米国のワクチン接種はまだ序盤です。
メーカー別の契約数とワクチンの種別
経済動向を握るワクチンの獲得には各地域ともに必死です。
すでにEUは18.8億回分のワクチンを契約済みとなり、
米国は12.1億回分、日本は3.1億回分を確保していますが、
先進国から優先的に回ってくことでの格差も問題となっています。
現在、複数の医薬品メーカーがコロナワクチンを製造していますが、
メーカーごとの契約数は以下の通りです。
(2月12日時点)
①🇬🇧アストラゼネカ(ウイルスベクター) 23.3億回
②🇺🇸ファイザー(RNA) 15.4億回
③🇧🇪ヤンセンファーマ(ウイルスベクター) 10.1億回
④🇫🇷サノフィ(組み替えタンパク) 7.3億回
⑤🇺🇸モデルナ(RNA) 6.4億回
⑥🇨🇳シノバック(不活化) 4.0億回
⑦🇺🇸ノババックス(組み替えタンパク) 3.8億回
⑧🇷🇺ガマレヤ研究所(ウイルスベクター) 3.3億回
⑨🇩🇪キュアバック(RNA) 2.8億回
⑩🇨🇦メディカゴ(その他) 0.8億回
<RNA>
コロナウイルスの遺伝子のデータを基にメッセンジャーRNAと呼ぶ物質を人工的に作る。体内に投与すると、ウイルスが持つたんぱく質(抗原)が作られ、免疫システムが反応して抗体が作られる仕組み。ヒトへの使用実績はない。
<ウイルスベクター>
コロナの遺伝情報を持った別のウイルスを「運び屋」として体内に投与し、免疫反応を促す。過去にエボラ出血熱ワクチンで使用されている。
<不活化>
化学処理などで病原性をなくしたウイルスを利用する。生み出される免疫力が弱いため、免疫の獲得には複数回の接種が必要。インフルエンザワクチンなどで使用されている。
<組み替えタンパク>
ウイルスなどから遺伝子だけを取り出し、それを別の細胞で免疫を付けるのに必要な構成タンパク質だけを作成させて、これを接種することで免疫を付ける。B型肝炎ワクチンで使用されている。
※データの集計方法
ワクチンの接種回数は各国政府の公式発表やOur World in Data(https://ourworldindata.org/)を元に日本経済新聞社と英フィナンシャル・タイムズが集計し、公式発表にない接種データは推計値で補っている。ワクチンの契約数は米デューク大学の集計に基づき、一部は日経が集計している。ワクチンの生産能力はUNICEF (https://www.unicef.org/supply/covid-19-vaccine-market-dashboard)。ワクチンの治験・承認状況はカナダのマギル大学の集計。各国人口の出典は国連や各国統計。
【出典】チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は(日経電子版)
2021年01月20日 公開
【出典】コロナワクチン日本でも承認 開発レースと3つの課題(日経電子版)
2020年12月09日 公開
【出典】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンのお話し(三重病院)
【出典】新型コロナワクチン実用化に向けた取り組みについて(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会)
2020年10月2日
さいごに
コロナウイルス感染症で打撃を受けている観光や飲食、輸送や興行など、
多岐にわたる業界の行く末を握ると言っても過言ではないコロナワクチン。
そうした背景がある中で、多くを製造している米国・欧州・中国は、
このワクチンを通じて外交を繰り広げている状況です。
今年いっぱいで、ワクチン効果や供給の枠組みなどの大勢が見えてくるはずで、
2020年代の動向を大きく左右しますから、引き続き注目していきたいと思います。
では、ごきげんよう。
ワクチン獲得競争を通じた主導権争い続く。