・ゲームストップ株をめぐる混乱の経緯
・ゲームストップ株をめぐる相関図
・公聴会での各者主張
おはーん、ペーパー先生です。
巨大ヘッジファンドの空売りに対し、ソーシャルブックマークサイト『レディット』でSNS個人投資家が結託。
壮大なショートスクイーズを仕掛ける!
まるで映画のような話ですが、これは先日発生した
米ゲーム専門店のゲームストップ株の乱高下による市場の大混乱のことです。
ネットフリックスさんが本件を映画化するとかしないとかも気になりますが、
果たして事実よりも面白く映像化なんてできるのかな?
さて、話を戻しまして、この話題については以前にこのブログでも取り上げました。
米東部時間18日正午(日本時間19日午前2時)に、議会下院の金融サービス委員会が、
本事案の関係者をオンラインで招いた公聴会を開きました。
事が発生した背景や規制のあり方を巡ってやり取りがあり、この議論の向かう先は市場にも影響があります。
今日は「ゲームストップの乱」で関係者は何を語ったのかをやわらか解説します。
「ゲームストップの乱」のまとめ
まずは流れを振り返りましょう。
<ゲームストップ株をめぐる混乱の経緯>
1月25日
・ゲームストップ(GME)株が急騰。
1月26日
・GME株が9割高となり売買代金でアップルを上回る。
1月27日
・映画館AMCなど他銘柄に急騰が波及。
・警戒感が強まりダウ平均は一時730ドル安。
・米国証券取引委員会(SEC)が乱高下を監視していると声明。
1月28日
・ロビンフッドがGME株の取引制限し乱高下。
1月29日
・ロビンフッドがGME株などの取引再開。
・SECが証券会社の取引停止を調査と発表。
・ヘッジファンドのシトロンが空売り調査の中止を発表。
・ダウ平均は混乱を嫌気して620ドル安。
2月1日
・ロビンフッドが取引清算に備え34億ドルを調達。
・米下院が18日に公聴会を開くと発表。
2月4日
・イエレン財務長官が連邦準備理事会(FRB)やSECなどの担当者を集め協議。
2月18日
・米下院金融サービス委員会で公聴会。
【出典】株乱高下で米公聴会 ロビンフッドCEO、取引制限を謝罪(日経電子版)
2021年2月19日 0:28 (2021年2月19日 8:27更新)
<ゲームストップ株をめぐる相関図>
【出典】SNS時代の株規制手探り 米ゲームストップ問題公聴会(日経電子版)
2021年2月19日 7:49 (2021年2月19日 8:23更新) [有料会員限定]
当事者たちの主張
<公聴会での各者主張(一部声明文)>
(ロビンフッド・マーケッツCEO)
「金融を民主化する」との目標を掲げ、2013年にスタンフォード大時代の友人とロビンフッドを創業。大学時代の専攻は数学で大学院中退後はヘッジファンドや、超高速取引業者(HFT)用のソフトウエア開発会社を経営。
・特定株の取引を一時的に制限したのは、規制当局が定める預託金の条件に従うためで、判断を誤ったとは思わない。
・多くの仲介会社が類似の理由で制限措置を講じている。
・34億ドルの追加資本を調達する措置を講じた。
・(この資本は)市場変動やその他の「ブラックスワン・イベント」に対処するためのクッションになる。
・ロビンフッドがヘッジファンド救済のために行動し、顧客の利益を損なうように動いたという主張は間違っている。
・(取引制限は)申し訳なかった。二度と同じことを起こさないよう全力で対応している。
・正確な数字は分からないが、PFOF(※)はロビンフッドの収益の5割以上を占めている。
※PFOF:マーケットメーカー(値付け業者)であるHFTに注文を回送する見返りとして受け取るリベート「ペイメント・フォー・オーダーフロー。
(シタデル創業者)
HFTやヘッジファンドの創業者。HFTのシタデル・セキュリティーズはITやアルゴリズム投資で先行し、業界でも屈指の高収益企業。グリフィン氏は富豪として知られ、共和党への大口献金者に名を連ねる。
・ロビンフッドの取引制限の決定についてシタデルは何の役割も果たしていない。
・制限を知ったのは彼ら(ロビンフッド)が公表した後。
・1月最終週に取引が過熱していた際、シタデルは流動性を提供し続けた唯一のマーケットメーカーだった。
・寄せられた注文の規模の大きさは、あらゆる市場環境に対応できるシタデルの能力に対する個人投資家の信頼を反映している。
・PFOFは売買執行コストをブローカーが享受することで委託手数料を無料にし、証券取引の民主化を実現した。
・これらはSECの規制に従って実施している。
(メルビン・キャピタルCEO)
ヘッジファンドのSACキャピタル・アドバイザーズ出身。社名の「メルビン」は祖父の名前。消費やテック企業を中心に運用し「割高」と判断すれば空売りをする。ゲームストップ株の空売りにより巨額の損失が出た。
・メルビンは取引制限の決定で何の役割も果たしていないし、制限も報道で知った。
・1月、レディットのあるグループがメルビンの具体的な投資について、SECの提出書類を参考に書き込みを始め、我々と反対の方向に取引をするよう勧めた。
・投稿の多くは私や他の人に向けた反ユダヤ主義的な中傷も含んでいた。
・一連の流れで残念なのは、狂乱に乗じた一部の投資家が今では大きな損失を出してしまったこと。
(レディットCEO)
オンライン上のコミュニティーとして『レディット』を2005年に立ち上げた。掲示板のテーマは社会や政治、スポーツ、株式投資など幅広い分野に及ぶ。中でも共闘買いを巡るやり取りが活発にされた「ウォールストリート・ベッツ」には個人投資家の登録が急増した。
・レディットの掲示板内のフォーラム「ウォールストリート・ベッツ」は多くの金融・投資関連コミュニティーの1つ。
・数週間前、我々はコミュニティーの力を目の当たりにした。
・個人投資家が通常なら手が出せない投資機会を得るため、さらにその後は既存の金融大手の批判から個人を守るために団結した。
・我々の義務は「ウォールストリート・ベッツ」を稼働させ続けること。
・24時間体制で働き、技術的な変更に対応し、情報量の増大に耐えられるようにした。
・当局の要請にはもちろん協力するが、コミュニティーの活動は我々の規則内に収まっていたと信じている。
・我々は掲示板の信頼性を保つために多くの時間を割いている。
・レディットの掲示板に載るあらゆる内容はユーザーによって投稿されランク付けされるため、操作できるものではない。
・レディットを利用するために、完璧な本人情報の開示は求めていない。
・プライバシーは極めて重要だ。どの程度開示するかをユーザーが選ぶことができる。
(個人投資家)
リーマン・ショックさなかの2009年に大学卒業。複数の職を転々とする間、独学で投資を始めた。公聴会の声明文によると、2019年に割安と判断したゲームストップ株のコールオプションを購入し、以降、買い増した。レディットやユーチューブなどで同社株の買いを呼びかけ、急騰の仕掛け人のひとりとされる。
・私はヘッジファンド勤務ではないし顧客もいなければ、個人的な投資助言でお金をもらってもいない。
・ゲームストップ株への投資とSNSへの投稿は私個人のもの。
・私は自分の利益のために株の売買に誘ったわけではないし、株価を動かそうとするどんな集団にも属していない。
・私がゲームストップ株を買ったのは、同社株が市場から著しく過小評価されていたと確信していたからだ。
・私がSNSを使ってゲームストップ株を投資家に宣伝したという考えはばかげている。
・2020年12月時点で私のユーチューブは529人、ツイッターには550人のフォロワーしかいなかった。
・2019年6月にゲームストップ株に初めて資金を投じた。
・当時は5ドルくらいだった。いずれは20~25ドルに上るかもしれないと思っていた。
さいごに
今回の公聴会では結論は出ず、金融サービス委員会のウォーターズ委員長は
次回、SECや米金融取引業規制機構(FINRA)の担当者を招く方針を示して会を終えました。
リベートや空売りなどの慣例に、スマートフォンやSNSなどの現代ツールが組み合わさることで
問題がかなり複雑化している状況が伝わったかと思います。
どういった着地をみるのかは想像もつきませんが、
今年の市場動向に影響を与えるトピックスでありますので、引き続き注視していきたいと思います。
では、ごきげんよう。
この騒動はロビンフッドさんのIPOにも影響必至。