・『レディット』とは
・ゲームストップ株騒動の流れ
・富の格差の行き着く先
おはーん、ペーパー先生です。
昨日、米国の金融市場を揺さぶっている
米ゲーム小売りチェーンのゲームストップ株を巡る
「ヘッジファンド」vs「SNS個人投資家」の戦いについて触れました。
今や個別銘柄の急騰という事象に留まらず、
米議会や規制監督当局なども巻き込んだ社会問題となっています。
本日は、やや難解なこの話題がどのように発生したのかを追いかけながら、やわらか解説します。
ゲームストップ株騒動の流れ
まず、この話の中心にある『レディット』とは何なのでしょうか。
英語圏で利用されているソーシャルブックマークサイト。記事、画像のリンクやテキストを投稿し、コメントをつけることが可能。特定のトピックスごとにサブコミュニティ(掲示板のようなもの)をユーザーが任意で立てることができ、コミュニティ管理人はユーザー内から選ばれる。コメントを行うためにはアカウントが必要で、閲覧は誰でも可能。運営はサンフランシスコに拠点を構えるReddit Inc.。2005年にスティーブ・ホフマン氏とアレクシス・オハニアン氏が設立。サイトはこちら。
ゲームストップ株騒動の流れ
経緯を見ていきましょう。
・ゲームストップ株(GME)は20年初めの4ドル弱から9月には8ドル台まで緩やかに上昇していた。
・サブコミュニティ「r/WallStreetBets」(WSB)では350万を超えるユーザーが投資アイデアなどを話し合っていた。
・20年9月19日、「Player896」というユーザーが「WSB」に”機関投資家を破産させる方法、ゲームストップ編”を投稿。
・「WSB」では、ゲームストップの帳簿は磐石、ライアン・コーエン氏が同社株を12.9%獲得したことなどが話題になる。
・株価の回復局面でもヘッジファンドなどの機関投資家がGMEを空売りし続けたことに不満が溜まる。
・「WSB」では大きく買いを仕掛け、空売りしている機関投資家が慌てて買いに走るよう画策が始まる。
・21年1月20日以降、SNS個人投資家のGMEに対する大量の買いが入り始める。
・26日、かねてから空売りに不信感を抱いていたテスラのイーロン・マスクCEOが「Gamestonk!!」とツイートし煽る。
・27日、GMEは135%急伸して347.51ドルの過去最高値をつけ、同株の1日の上昇率として過去最大となる。
・空売りトレーダーがGMEを買い戻すことを余儀なくされ、さらに株価は上値を追う展開に。
・ボラティリティーインデックス(恐怖指数、VIX)は37.21と昨年10月30日以来の高水準となる。
・メルビンキャピタルを始め複数の米ヘッジファンドは大きな損失を受ける。
・米株式市場は投機的な取引が市場の混乱を招くとの警戒感から大幅に反落し投資家心理を冷やす。
・28日、アプリ証券『ロビンフッド』は投資家と市場の保護を目的とした措置で、新規の買いを一時停止する。
・SNS個人投資家から『ロビンフッド』やヘッジファンドに対して不満の声が高まる。
・米下院議員も「ファンドが空売りできるのに個人の買いが停止されるのは容認できない」と強く批判。
・29日、米証券取引委員会(SEC)は「特定銘柄の取引を妨げた決定を詳しく調査する」と発表。
・ナスダックのフリードマンCEOは「WSB」主導の高騰が検知された場合には取引を一時停止するとコメント。
・新規ユーザーが数百万人もアクセスしてきたこと受け「WSB」が一時非公開となる。
・今回の行為が違法行為である「共謀」や「株価操作」にあたるのか米国内で論争が巻き起こる。
と、まぁこのような感じです。
なお、『レディット』には「r/SatoshiStreetBets」という、
暗号資産に関する情報がやり取りされているコミュニティもあり、
購入を呼びかけるような投稿が相次いでいます。
マスクCEOがツイッターの自己紹介欄を「#bitcoin」に変更するなどをきっかけに
このところ軟調な推移をしていたビットコインは29日に急上昇し始め、
『ロビンフッド』が暗号資産の取引に制限を設けるという、
まさにゲームストップ株と同じような展開も起きました。
さいごに
富の格差の不満がこうした事態を引き起こしている一端と考えれば、
支配者に対して農民が団結した反抗運動の”百姓一揆”にも通じるところがあり、
格差拡大が大国の地位を揺るがしてきた人類の歴史が頭を過ぎります。
こうした場に身を投じるのはごく一部の人とは限りません。
身近にいる若者が一攫千金を求めて丸腰で挑んでいくようなことも十分あり得ます。
有識者が気付いた際には全力で止めてあげてください。
では、ごきげんよう。
まるで『サマーウォーズ』の世界。