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みんなのFIRE辞典:これが増殖し続けるFIREの今だ!

みんなのFIRE辞典:これが増殖し続けるFIREの今だ!
この記事で分かること

・FIREのルーツ
・労働懲罰説とは
・人権を取り戻す

ごきげんよう、ぺいぱです。

動画解説

このブログの内容は動画でも解説しています。

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは「経済的自立」した「早期退職」という2つの考え方により構成されています。

・経済的自立(Financial Independence)
働かなくても資産運用から得られる収入で生活費をまかなえる状態。一般的には、自分が年間で必要な生活費の25倍の資産を築くことが一つの目安とされている。これは年間生活費の4%を引き出しても資産運用を継続すれば元本が維持されるという「4%ルール」に基づいている。

・早期退職(Retire Early)
必要な資産を築いたら、仕事を辞めて早期退職を実現する。退職後はこれまで労働に割いていた時間を活用し、趣味や自己成長に取り組むなど自分自身が本当にやりたいことだけに注力をしていく。

このFIREという概念のルーツは、1992年にアメリカで出版された書籍『Your Money or Your Life』(日本語版『お金か人生か 給料がなくても豊かになれる9ステップ』)にあるとされます。この書籍の中で、収入と支出を見直すことで消費社会から脱却し「経済的自立」を達成する、そして自由な人生を手に入れるという考えが紹介されました。

1日のほとんどを仕事に費やし、稼いだお金で散財するという当時のアメリカ人の価値観を転換させた一冊です。

その後、2008年のリーマンショックをきっかけに、労働収入に依存しない生活や「早期退職」に関心が集まり始め、2000年代初頭にFIREムーブメントが起こりました。

このムーブメントを後押ししたもう1つは、30代で早期退職を達成したブロガー、マネー・ムスタッシュさん(Mr. Money Mustache)が、節約と賢い投資による「早期退職」の具体的な方法を情報発信したことです。

2010年代中盤になると、メディアが彼の活動やFIREムーブメントを取り上げ始め、これを起点に2018年にはFIREに関する報道が一気に増加。

この頃になると、FIREはミレニアル世代(1981年から1996年頃に生まれた世代)の間でも流行語のように広まり、多くの人々が自身の生活費を見直し「経済的自由」と「早期退職」に興味を持つようになっていきました。

このように、FIREムーブメントは1990年代に始まった考えが2000年代を通して成熟し、2010年代にSNSやメディアで広がりを見せ、世界的なトレンドとなっていったわけです。

日本でもアメリカの報道を受ける形で2018年頃から、国内メディアやSNS等でFIREに関する記事や特集が増えたこともあり、次第に多くの人々に認知されるようになりました。

ただし日本のFIREには、文化的な違いからアメリカとは少し異なる特徴もあります。例えば、日本は雇用の安定性を重視する文化があるため、完全退職するのではなく、パートタイムで働きながらFIREを目指す生き方を志向する人も多い傾向にあります。

先日公開した動画「FIREすることを両親に伝えるか否か?について考える:アンケートやコメントからそのあり方を読み解く」の中でも、昨今様々な形に派生しているFIREの形を全7種類紹介しました。


FIREすることを両親に伝えるか否か?について考える:アンケートやコメントからそのあり方を読み解く
FIREすることを両親に伝えるか否か?について考える:アンケートやコメントからそのあり方を読み解くぼくはIT企業勤務、40代半ばの会社員です。長年の管理職業務で体力・気力の限界に達し、体調も崩したため今年6月、上司に退職意向を伝えました。その後、9月いっぱいで後任者に業務引き継ぎを行い、10月からは有休をあてて療養・静養中です。さてそんな中、FIREするのにあたって判断が悩ましいことが1つあるなと感じています。それが今回お題にしている「両親に伝えるか」です。前回の動画でも、この両親への情報展開についてのあり方を触れたところ、大変多くの反響をいただきました。そこで今回は、YouTubeチャンネル「やわらか中学校」コミュニティで実施したアンケート結果や寄せられたFIRE経験者の実体験などを踏まえながら「FIREすることを両親に伝えるか否か?」をテーマに話を進めていきます。...

FIREの本来の定義でいけば「資産運用だけで生活費が賄えること」「会社を早期退職すること」の双方を達成していることを指すわけですが、先に紹介したように、今ではもっと広義でFIREという単語が使われています。

完全退職かどうかはさておき「勤務先を早期退職した上で資産運用は継続する」、さらに広く捉えれば「勤務先を早期退職しようがしまいが資産運用で経済的自由を目指して行動をし続ける」こんなことまで●●FIREと呼称することだってあります。

今回は、このように増殖をし続ける様々なFIREの形を、ぺいぱの独断と偏見で辞典としてまとめました。独断と偏見、と前置きをしたのには理由があり、そもそもFIREに明確な定義など存在しないからです。

そうした前提で、世の中に存在するFIREの考え方をかなり広い範囲、そして細かい分類に整理をして紹介していきます。ぼくが勝手に名前をつけたものもたくさんあります(笑)

そもそも人の数だけFIREの形があります。そうした様々な形を辞典のようにまとめていったら面白いんじゃないか、というぼくの好奇心が生んだ企画だとお考えください。

何の参考にもならないかもしれませんが、話のネタの1つとして最後まで聞いていただければ嬉しいです。

みんなのFIRE辞典

今回書き出したのは全25種のFIREです。大きくこのタイプで分類しています。

 (A) 会社は早期退職/資産収入のみで生活できるタイプ
 (B) 会社は早期退職/資産収入のみで生活できないタイプ
 (C) 会社に所属/資産収入のみで生活できるタイプ
 (D) 会社に所属/資産収入のみで生活できないタイプ
 (E) 期間限定タイプ
 (F) その他タイプ

それではさっそくいってみましょう!

<(A) 会社は早期退職/資産収入のみで生活できるタイプ>

・Fat FIRE【ファット・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで十分豊かな生活ができるが多くの資産が必要。

・Lean FIRE【リーン・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活できるが倹約努力は必要。

・Moderate FIRE【モデラート・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活できる「Fat FIRE」と「Lean FIRE」の中間的なバランスの生活を送る。

・Travel FIRE【トラベル・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、定住地を持たず好きな時に好きな場所で生活を送る。

・Geo FIRE【ジオ・ファイア】
会社は早期退職。地域ごとの物価差を利用し、資産収入のみで生活できるような低コスト地域で暮らす。

・Green FIRE【グリーン・ファイ】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、環境や持続可能性を考慮した半自給自足などの生活を送る。

・Urban FIRE【アーバン・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、コスト高にはなるが都市部でその利便性を享受した生活を送る。

・DIY FIRE【ディーアイワイ・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活できるよう、自分で修理やDIY、セルフリノベーションなどを行い生活費を抑える。

・Community FIRE【コミュニティ・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、コミュニティや地域社会との繋がりを重視した活動を軸に暮らす。

・Charity FIRE【チャリティ・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、その一部を社会貢献や慈善事業に投じる。

・Creative FIRE【クリエイティブ・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、生まれた時間でアートや音楽、執筆などのクリエイティブ活動を行う。

・Home-Based FIRE【ホームベース・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみで生活でき、大半を自宅で過ごすため快適に過ごせる住環境づくりに軸足を置く。

<(B) 会社は早期退職/資産収入のみで生活できないタイプ>

・Side FIRE【サイド・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみでは生活できず、不足分は個人での労働収入で補う。

・Nomad FIRE【ノマド・ファイア】
会社は早期退職。資産収入のみでは生活できず、物価の低い地域を渡り歩きながら生活費を抑え、不足分は個人での労働収入で補う。

<(C) 会社に所属/資産収入のみで生活できるタイプ>

・FIRO【ファイロ】
資産収入のみで生活できるが会社に所属している。いつでも早期退職することが可能。

<(D) 会社に所属/資産収入のみで生活できないタイプ>

・Barista FIRE【バリスタ・ファイア】
資産収入のみでは生活できないため、不足分を会社に所属してその労働収入で補う。

・Coast FIRE【コースト・ファイア】
資産収入のみでは生活できないため会社に所属しているが、定年後の生活資金は貯め終えた状態。

・FIRA60【ファイラ・シックスティー】
会社に所属しながら、資産収入のみで生活できる状態を60歳前後で目指す。

・Slow FIRE【スロー・ファイア】
資産収入のみでは生活できない。必要資産額を貯めるまでの時期を決めずに会社に属して労働収入を得る。

・Flex FIRE【フレックス・ファイア】
資産収入のみでは生活できない。不足分を会社に所属して労働収入で補うが、勤務時間や労働内容に幅を持たせてもらう。

<(E) 期間限定タイプ>

・Flamingo FIRE【フラミンゴ・ファイア】
目標資産額の半分程度を築いた段階で会社を早期退職。その後は運用で資産が増えるのを待つ。

・Mini FIRE【ミニ・ファイア】
会社は早期退職。一定期間を決めその間は資産収入のみで生活、その後は必要に応じて再び労働収入を得る。

・Temporary FIRE【テンポラリー・ファイア】
会社は早期退職。期間を決めずに可能な限り資産収入のみで生活、その後は必要に応じて再び労働収入を得る。

<(F) その他タイプ>

・Half FIRE【ハーフ・ファイア】
資産収入のみでは生活できない。パートナーの一方は早期退職、もう一方は会社に所属して不足分を労働収入で補う。

・Hybrid FIRE【ハイブリッド・ファイア】
複数FIREの組み合わせ。

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さいごに

今回は「みんなのFIRE辞典」と称しまして、増殖し続ける様々なFIREをかなり幅広で取り上げてきましたがいかがだったでしょうか?

📚みんなのFIRE辞典

 (A) 会社は早期退職/資産収入のみで生活できるタイプ
  ・Fat FIRE【ファット・ファイア】
  ・Lean FIRE【リーン・ファイア】
  ・Moderate FIRE【モデラート・ファイア】
  ・Travel FIRE【トラベル・ファイア】
  ・Geo FIRE【ジオ・ファイア】
  ・Green FIRE【グリーン・ファイア】
  ・Urban FIRE【アーバン・ファイア】
  ・DIY FIRE【ディーアイワイ・ファイア】
  ・Community FIRE【コミュニティ・ファイア】
  ・Charity FIRE【チャリティ・ファイア】
  ・Creative FIRE【クリエイティブ・ファイア】
  ・Home-Based FIRE【ホームベース・ファイア】

 (B) 会社は早期退職/資産収入のみで生活できないタイプ
  ・Side FIRE【サイド・ファイア】
  ・Nomad FIRE【ノマド・ファイア】

 (C) 会社に所属/資産収入のみで生活できるタイプ
  ・FIRO【ファイロ】

 (D) 会社に所属/資産収入のみで生活できないタイプ
  ・Barista FIRE【バリスタ・ファイア】 
  ・Coast FIRE【コースト・ファイア】
  ・FIRA60【ファイラ・シックスティー】
  ・Slow FIRE【スロー・ファイア】
  ・Flex FIRE【フレックス・ファイア】

 (E) 期間限定タイプ
  ・Flamingo FIRE【フラミンゴ・ファイア】
  ・Mini FIRE【ミニ・ファイア】
  ・Temporary FIRE【テンポラリー・ファイア】

 (F) その他タイプ
  ・Half FIRE【ハーフ・ファイア】
  ・Hybrid FIRE【ハイブリッド・ファイア】

前回動画では7つをご紹介しましたが今回はその4倍強となる25種。

細かく名前をつけていけばいくほど、類似のFIREが出てくるものです。ドラえもんのひみつ道具『スモールライト』と『ガリバートンネル』、『どこでもドア』と『どこでもまど』みたいなものですね(笑)

結局のところ「経済的に自立した早期退職」という本来の位置付けを踏まえれば「Fat FIRE」と「Lean FIRE」こそが純血であり、あとは

・具体的なやり方
・軸足の置き方
・時間の使い方

これらの違いとなっていきます。

そして「Half FIRE」のように「いやそれ、普通に昭和の片働き家庭じゃん!」というものもFIREを名乗っていたり、「(D) 会社に所属/資産収入のみで生活できないタイプ」なんてものはもはやFIREの原型すら留めていません。

このように経済的な自立はできないけど、FIRE思想を持って資産運用に取り組んでいく生き方。こういうのも全て引っくるめて何でもかんでもFIREと呼ぶようになっているということですね。

世の中には「労働懲罰説」という考え方があります。これはその名の通り「労働は罰である」という考え方で、旧約聖書の創世記にあるアダムとイブのエピソードに基づいています。

創世記によれば、アダムとイブがエデンの園で禁じられた「善悪の知識の実」を食べたことが神に逆らった行為として罰せられ、その結果として神は彼らに対して労働という苦役を課し、アダムには「額に汗してパンを得なければならない」という生活を、イブには「出産の苦痛」を与えたとされています。

これにより、労働は「罰」であり、人間が罪を償うためのものとして理解されるようになったというわけです。

この考え方は長い間、ヨーロッパ圏で根強く影響し、特に労働を苦痛や義務として捉える感覚のベースとなりました。また、産業革命期には工場労働が過酷だったため、「労働は耐えるべきもの」というイメージがより強まったという側面もあります。

そのため、仕事における苦役が「罰としての労働」である、という考え方として近代社会にも残っているわけです。「仕事は人がしたくないことをやることでお金を得られる行為」なんて評することもありますが、これも元を辿れば労働懲罰説からきているのかもしれませんね。

一方で、この「労働懲罰説」に対抗する考え方もあります。それが「勤労は美徳」というもの。日本でも「働くことは人間としての義務」という倫理観が重視され、労働が自己実現や社会貢献の一部とされるようになっています。

こうした事情もあり、40代半ばのぼくが「この罰から逃れたい」「自由を得ていきたい」そんなFIRE思想を得た一方で、その両親世代にはこうした価値観や考え方がまったく伝わらない、という乖離を生んでいるとも言えます。

改めてになりますが、近年FIREを目指す人が増えた理由を整理すると、こんなことが挙げられるかと思います。

 ・働くかどうかを選べる
 ・仕事の中身を選べる
 ・出かけるタイミングを選べる
 ・食べるものを選べる
 ・時間のかけ方を選べる
 ・治療のあり方を選べる
 ・住む場所を選べる
 ・寝る時間を選べる

そう、これらにはすべて「選択権が自分にある」という共通点があります。大袈裟に言い換えると、FIREという選択肢を手に入れることは「人権を取り戻す戦い」そんな風に形容することもできます。人権とは「人間が生まれながらにして持っている人間らしく生きる権利」のことです。

経済を主体として回っている現代社会においては、労働から解放されて経済的自由を得るということが=人権を取り戻すことにも重なります。だからこそ人は皆FIREを目指す。

そして一足飛びには達成できないからこそ、その中間地点として様々な派生FIREが誕生し、人々のモチベーションの維持向上に寄与している。そんなことが今回のまとめに相応しいでしょうか。

「みんなのFIRE辞典」、来年になればさらに新しい考え方が増えているかもしれません。この辞典を皆さんと一緒にアップデートしていきたいと思いますので、ご意見・ご感想、そして「自分はこんなFIREを目指している」「実際にこんなFIREを達成した」など、たくさんのコメントをお待ちしています!

人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。

では、ごきげんよう。

今日のまとめ

FIREとは自分自身を取り戻すチケット。

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