・増え続けるFIREの形
・アンケート結果で見えてきたこと
・体験談から得られる教訓
ごきげんよう、ぺいぱです。
このブログの内容は動画でも解説しています。
ぼくはIT企業勤務、40代半ばの会社員です。長年の管理職業務で体力・気力の限界に達し、体調も崩したため今年6月、上司に退職意向を伝えました。その後、9月いっぱいで後任者に業務引き継ぎを行い、10月からは有休をあてて療養・静養中です。
四半世紀にわたりやってきた会社員生活の中で1ヶ月もの長期休みを得るというのは経験がなく、ある意味で擬似FIREとも言えるこの状況で感じたこと、変化したことなどを、この2週にかけて紹介してきました。
それが「実録!一ヶ月FIRE生活に突入して感じる10のこと」
「金融資産7,000万円でFIRE予定のぺいぱが感じる:FIREする覚悟を邪魔する5つのこと」
この2本となります。ご視聴がまだの方はぜひこちらもご覧いただければと思います。
さてそんな中、FIREするのにあたって判断が悩ましいことが1つあるなと感じています。それが今回お題にしている「両親に伝えるか」です。これは経済環境を共有している相手、つまり「パートナーにどう話すか」というものとは大きく異なります。
・FIRE達成年齢は概ね30代後半以降になるためもう十分大人。
・そして多くの方がすでに実家を出て独立した生活を送っている。
こんなことからですね。
もちろん世の中には人の数だけ家族の形もありますから、すべてがピッタリとこれらには当てはまらないかもしれませんが、それでも最大公約数的にはこうなるのでしょう。
ぼく自身も大学卒業後の2000年から一人暮らしを始めましたが、これ以降は資金援助も含めて受けていませんし、年齢も50歳が見えてきているわけですから十二分に大人です。というか老いを痛烈に実感してきている初老です。
そんなぼくはもともとFIREをすることを両親には伝える予定がありませんでした。ポイントはこの辺りです。
・生死に関わるような体調不良ではない。
・現在の勤務先で働いていることを親は喜んでいる。
これも捉え方1つで、だからこそ話しておけば良いと思われる方もいるかもしれませんが、喜ばないであろうFIREのことをあえて伝えることで要らぬ心配をかけさせたくないという側面もあります。
前回の動画でも、この両親への情報展開についてのあり方を触れたところ、大変多くの反響をいただきました。中には貴重な体験談をお寄せいただいたりもあり、これらを整理してお届けすることは今後FIREを考えられている方々にとっても有用ではないかと考えました。
そこで今回は、YouTubeチャンネル「やわらか中学校」コミュニティで実施したアンケート結果や寄せられたFIRE経験者の実体験などを踏まえながら「FIREすることを両親に伝えるか否か?」をテーマに話を進めていきます。
FIREすることを両親に伝えるか否か?:アンケート編
まずはYouTube上で行いましたアンケート結果から見ていきましょう。
<アンケート結果>
・実施場所:YouTubeチャンネル「やわらか中学校」コミュニティ
・集計期間:2024年10月29日(火)〜31日(水)
・総投票数:158
先日公開した動画「FIREする覚悟を邪魔する5つのこと」の中で触れた、”FIREする際そのことを両親に伝えるか否か” という点に対して、大変多くの反響をいただきました。そこで、次回動画でこの話題を取り上げるのにあたりアンケートを取りたいと思います。FIRE済みの方だけでなく、将来予定がある方、いつかはしたいと考えている方も、ぜひお考えをお聞かせください!なおFIREの定義も広いため、退職後に一切仕事をしない完全FIREだけでなくサイドFIREなども含めて「FIRE=勤務先を早期退職した上で資産運用は継続」と捉えていただければOKです。
Q:FIREする際に両親へ伝えるか?
① 事前報告する。(27%)
② 事後報告する。(26%)
③ 言う必要なし。(47%)
まずは、今回のアンケートにご協力をいただいた皆さま、大変ありがとうございました!
このアンケートを取るのにあたり、なるべく広く声を拾っていくために、FIRE済み方だけでなくそれ以外の予備軍の方々からも投票をいただいています。また「FIRE」と一言でいってもその定義は広がり続けています。
(A)Fat FIRE(ファット・ファイア)
資産収入のみで十分豊かな生活ができるFIRE。
(B)Lean FIRE(リーン・ファイア)
資産収入のみで生活できるが倹約努力は必要。
(C)Side FIRE(サイド・ファイア)
資産収入のみでは生活ができず、不足分を会社に属せず労働収入で補う。
(D)Barista FIRE(バリスタ・ファイア)
資産収入のみでは生活ができず、不足分を会社に属して労働収入で補う。
(E)Coast FIRE(コースト・ファイア)
定年後の生活資金を貯め終えた状態で、会社に属し続ける。
(F)FIRA60(ファイラ・シックスティー)
資産収入のみで生活できる状態を60歳前後で目指す。
(G)FIRO(ファイロ)
資産収入のみで生活できる選択肢を持ったまま会社に属し続ける。
以前「やわらか中学校」でFIREの種類を取り上げたのは1年以上前でしたが、その時と比べても種類が増えていますね。言葉の定義はあってないようなものなので「自分が知っているのとは違う」ということもあるかもしれませんが、そこはご了承ください。
本来の意味である「経済的に自立した早期退職」というのは、資産運用で得られる収入が支出を上回る状態で退職する、つまり資産運用だけで仕事をせずとも生活ができることを指していたわけですので、(A)と(B)が本来の意味ではFIREなのですが、今ではご覧いただいたような労働+資産運用という形なども含めて●●FIREと呼ぶようになっています。
なお「(G)FIRO(ファイロ)」というのは「Financial Independence, Retire Optional」の略でして、つまりは選択的退職とでも言いましょうか。FIREできる状態にあるけどあえて会社員を続けている状態を指します。
・今の職場が肌に合っており仕事が楽しくて仕方がない。
・あと数年で定年だから退職金を満額受け取るまではやり切る。
・ようやくFIREできる金額を達成したが退職の踏ん切りがつかない。
このような人が連想されますから、FIROな方も相当数いらっしゃるような気がします。
さて、そういうこともあり今回は「勤務先を早期退職した上で資産運用は継続する」という行動をすべて「FIRE」という単語に引っ括めましてアンケートを取ったわけです。
ぼくも退職が決まればこれらの中でいけば質素倹約な生活をしていく「(B)Lean FIRE」にあたると思います。会社を早期退職したら仕事をするつもりはありません。これまで会社員として時間を切り売りしていたからこそ、やれてこなかったことに取り組んでいく時間にしたいと考えているからです。
どんなことに取り組んでいくかについては「オルカンFIRE民が考える「生きているうちにやっておきたいことリスト100」(バケットリスト100)」でも詳しく取り上げていますので、ぜひこちらもご覧ください。
FIREの定義の難しさをもう1つ挙げると、経済的にも時間的にも自由を得たとしても、何らか生活の中で行動をしていけばお金が入ってくるようなことはあり得るからです。ぼくの場合は退職しても持ち家の家賃収入やYouTubeなどからの広告収入は発生しますし、現在学校に通って勉強中の脚本家で将来的に仕事を得るということもあるかもしれません。
自由を得るための努力をした末に完全FIREできたとしても「(C)Side FIRE」的な生き方にどんな人でもなっていく。ぼくはそう考えます。だからこそ、資産運用でお金にも働いてもらうことを通じて定年より早いタイミングで退職をすることはもはやすべてFIREである、なんていう大胆な捉え方も可能なんですね。
さて、そんなFIREをするのにあたり「両親へ伝えるか?」のアンケートに話を戻していきますと、なかなか興味深い結果となりましたね。
① 事前報告する。(27%)
② 事後報告する。(26%)
③ 言う必要なし。(47%)
ざっくり言えば、報告をする・しないで半々、報告するタイミングは事前と事後で半々。そんな感じです。「事後報告」と「言わない」を合わせると実に7割以上となりますから、やはり「もう十分大人なんだから」ということになるでしょうか。
なお「事前報告」と一言でいっても実に色々なパターンがあるのだと思います。
・会社に退職意向を伝える前
・会社に退職が受理された後
・会社で退職手続きをしてる最中
・会社での手続きが終わり有休消化中
・退職するその当日
退職が受理されて以降はもはや不可逆ですからほとんど「事後」という考え方もありますが、まぁそれでもこれだけの幅が存在するわけです。
今回のアンケートは、FIREの定義を含めてとにかくシンプルな集計を取りたかったので3択としました。ただしそれぞれの1票の中にも様々な違いが存在していたでしょうし、冒頭でも触れた通り画一的な事象ではありません。だからこそ人間ドラマで面白い部分でもあります。
次からはその部分をさらに深掘りし、実際にFIREをされた方の体験談を中心にご紹介をしていきます。
FIREすることを両親に伝えるか否か?:コメント編
ここからは「やわらか中学校」にいただいたコメントを紹介していきます。FIREのあり方は千差万別なわけですが、つまりは人の数だけドラマが存在するということでもありますね。ではさっそく見ていきましょう!
■ 村田雄一さん(@村田雄一-w9z)
以前、僕は仕事のストレスで心の病気になったことがあります。両親も、その途中経過はすべて把握していました。なので、会社を辞める際は、一緒に喜んだ思い出があります。(中略)親御さんに言ってみてください。「仕事、世間体よりも、自分の命の方が大切。お金も問題ない」。良識ある親御さんなら、ご理解してくださると思います。
■ 塔さん(@塔-d2m)
やはり「親に伝えるかどうか」というのは悩みどころですよね。正直に伝えるのも辛いし、伝えないまま隠していくのもなんだか後ろめたい。(中略)まぁ、いい歳して、自分の人生を決めるのに親の了承も何もないのですけどね。
■ 新庄さん(@itch1037)
主さんの半額以下で既にfire済みです。(中略)親には伝えなくても大丈夫ですよ。一人の独立した人間なんで、といえば伝えても何も言われないです。自分はいつでも仕事なんか獲れるから、労働仕事なんか隙間なく埋める必要自体が無いと言って黙らせています。
■ mets000さん(@mets000-c4l)
私の場合は、親へは事後報告でした。50代前半ですが、さすがにこの年になって親へ許可を取るような話でもないだろう、ということで。幸い、「あなたの人生だから」と言ってもらえたので納得はしてもらっていると思っていますが、家庭によってはそれでも親との軋轢が生まれる場合もあるのでしょうね。
■ Sonaさん(@Sona-cn9xz)
人によっては「家族への説明、説得」がランクインするかもしれないですね笑(中略)私は「お金が溜まったからしばらくゆっくりしたい」と伝えようかなと思っていますが、それだと引き止めに合いそうで…😅
■ ばくぜろ【FIRE済】さん(@ばくぜろ)
僕も今週からFIRE生活はじめました✨(中略)親とは仲が良く、副業に巻き込んで一緒に稼いでたりもするのでFIREすることは伝えました!反応は「もったいないけど、仕方ないね」って感じでした🤔
■ xapaga1さん(@xapaga1)
母親(父親は既に他界)には退職直前か直後に報告すべきかと思案中。とにかく邪魔されたくない。戦時中の生まれで世間体ばかり気にするんでウンザリ。弟(親から見ると自由奔放な次男坊)が大企業を辞めて個人事業主に成っているという前例があるので、ハードルは低いかも。ただ、吾輩(親から見ると困った長男)の場合は会社を辞めて暫く無職に成ろうと考えているので、ハードルはちと高い。
■ 変態車大好き三等兵さん(@変態車大好き三等兵)
9月末で公務員を早期退職し、FIRE民になりました。親には退職日の夜に伝えました(笑)。給与収入は無くなりましたが、ドジャースのワールドシリーズを全て見ることが出来ています(笑)。自力でFIRE出来る人は、節約と資産運用が出来ていると思うので、後は思い切りだけですね!
■ TAJIRO MARUさん(@tajiromaru1933)
もしあるとしたらファイアの件は私は事後報告ですね。決断は自分でしたい方なので事前に話してあーだこーだ言われるのは面倒だけど敷地内別居なので言わないって選択肢もないです。親との関係、物理的距離感次第でケースバイケースですよね。
いやはや、実に濃い人間ドラマを見させていただきました。コメントをお寄せいただいた皆さま、本当にありがとうございます!改めて、頂戴したものをサマりますと、
FIRE済みの方々>
・従前から仕事の苦楽を両親と共有して過ごしてきた(事前報告)
・一人の独立した人間なんで親には伝えなくても大丈夫(言う必要なし)
・この年になって親へ許可を取るような話でもない(事後報告)
・親を副業に巻き込んで一緒に稼いでたりもする(事前報告)
・親には退職日の夜に伝えた(事前報告)
FIRE予定の方々>
・伝えるのも辛いけど隠しておくのも後ろめたい(悩み中)
・お金が溜まったからしばらくゆっくりしたいと伝えようかなと(悩み中)
・退職直前か直後に報告すべきかと思案中(悩み中)
このような形ですね。どこにカテゴライズすれば良いか悩んだものもあったのですが「えいや」でこのようにさせていただいています。違和感があった場合はすいません!
すでに「FIRE達成」をされている方は、アンケート同様に考え方がバランスよく割れた感じです。退職日に伝えるパターンを今回は「事前」と無理やり分けましたが、そういった部分も含めてやはり三者三様なんだなと。
コメントを拝見していますと、両親との距離感も関係してくるかもしれませんね。これは心の距離感もそうですし、物理的な距離感もそうです。毎日のようにコミュニケーションがある、家が近い、もしくは同居しているとなればそれは話さざるを得ないでしょうし、仕事の苦労を日頃から共有をしていれば理解も早いのでしょう。
「FIRE予定」の皆さんは総じて悩み中でした。まさにこのテーマの難しさがここへ表れているかと思います。そもそも「FIREをする」という決断自体も大変難しく、行動力・決断力が必要なことですから、両親への情報共有のあり方はもう最後の最後。だからこそ今はハッキリしていない、なんてことも言えるかもしれませんね。
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さいごに
今回は「FIREすることを両親に伝えるか否か?」をテーマに話を進めてきましたがいかがだったでしょうか?アンケートでの全体感に加え、寄せられた体験談のご紹介もしてきましたが、今後FIREされる方にとって参考になれば嬉しいです。
ぼく自身の両親との距離感についてですが、年に1、2度実家へ帰る。たまにLINEがくる、誕生日にはプレゼントを贈る。このような感じです。関係は良好ですがFIREの件となると微妙な距離感でもあります(笑)
ぼくも本来は言わなくて良いと考えている人ではありますが、両親はぼくの勤務先の商品・サービスのCMやニュースなどを見ると必ず「見たよ!」と連絡をしてくるんですね。
気にかけてくれているのはすごくありがたいのですが、もしFIREした後にもこの連絡が送られ続けるとなると、見るのもシンドイしなんか後ろめたい気持ちにもなるし、ということが悩みを深めています。ま、40代後半戦にも入っている大人が深く考えることでもないのかもしれませんが。
そんなわけで、ぼく自身がどうするかは、色々な方の体験談、アドバイス、アンケート結果などを踏まえまして、「事後報告」の線でもう少し具体的に考えていこうと思います。いずれにしても会社との話が着地していませんから、これを決着させた上でないと始まりませんね。この辺りについてはまた進捗も含めて皆さまにご報告したいと思います。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
言うべきか、言わないべきか、それが問題だ。(ハムレット風)