・「テレ東BIZ」リニューアルスタート
・テレビ業界の”滅亡”問題
・何かが1つだけ勝ち残ることはない
おはーん、ペーパー先生です。
テレビ東京さんは4月12日、有料動画配信サービス「テレビ東京ビジネスオンデマンド」(会員数約10万人)と、
ニュースサイト「テレ東NEWS」(YouTubeチャンネル登録者数約90万人)を統合し、
経済動画配信サービス「テレ東BIZ」としてリニューアルスタートさせました。
ブランド統合のようですので、従来通りYouTubeチャンネルは無料配信、
テレ東公式サイトでは見逃し配信などを含む月額料金(税込550円)となっています。
先生も良く利用させてもらっておりニュース以外の配信も充実しています。
今日はこの中から、テレビ業界の未来予測に関する話題をやわらか紹介します。
テレビ業界の”滅亡”問題
『Newsモーニングサテライト』の解説キャスターでもお馴染み、
テレビ東京の豊島晋作ディレクターがナビゲーターを務めるテレ東BIZ「テレ東経済ニュースアカデミー」。
テレビ東京さんが日々伝えている経済ニュースを、もっと深く、さらにアカデミックに解説するというコンセプトで、
毎回ゲストを招いたテーマトーク番組となっています。
今日紹介したいのは、
「テレビ業界は滅ぶのか? テレ東は生き残れるのか? アナウンサーの生き残り術は?」
ベストセラー書籍『2040年の未来予測』の著者である成毛眞氏をゲストに、
自称業界”最弱”のテレ東が、あえて自分たちの生存問題に向き合う回となっています。
自虐的な内容もさることながら、メディアの未来を鋭く切り込んでおり、
非常に唸らされる内容となっておりますので、ぜひ動画もご覧ください。
注目のやりとりを一部文字起こししました。
【出典】テレビ業界の”滅亡”問題 テレ東は生き残れるか?【成毛眞VSテレ東】(テレ東BIZ)
2021/05/01
成毛眞(なるけ まこと、1955年9月4日-)
日本の実業家で作家。中央大学商学部卒業。元日本マイクロソフト社長、コンサルティング会社を経て、現在は作家を中心に活動中。
豊島晋作(とよしま しんさく、1981年2月15日-)
テレビ東京の報道局報道記者、ディレクター、解説キャスター。東京大学大学院法学政治学研究科修了。2005年3月テレビ東京に入社。
角谷暁子(かどや あきこ、1994年7月30日-)
テレビ東京の女性アナウンサー。元声優。慶應義塾大学文学部卒業。2017年テレビ東京に入社。
豊島晋作ディレクター:
この本(『2040年の未来予測』)の中で”テレビ局は絶滅はしない”と書いてるんですね。”絶滅しない”ではなく”絶滅はしない”。これはつまりちょっと言葉悪いですけど、半殺しぐらいには合うってことでしょうか?
成毛眞氏:
そうでしょうね。間違いなくそうなりますよ。僕も1日の時間を見てると、1時間から2時間ネットフリックスに取られちゃってますもんね。それ以外にSNSとか色んなものに時間を取られていって、睡眠時間やご飯食べる時間を入れるとテレビの時間はどんどん縮小されていきますよね。逆にラジオが増えましたね。”ながら”でいけるんで。テレビ見ながらラジオとか聞いてますからね。ちゃんと見てるわけではないというか何て言うんでしょうかね。妙な見方をしてますよね。
角谷暁子アナウンサー:
そうしたらテレビもながらの要素が増えていけば生き残っていけるんですかね?
成毛眞氏:
テレビはね、実は思ってるんですけどあんまり画像で処理しないで音声を聴かせる。それでやると良いなと。”ながらテレビ”って人、結構多いと思うんですよ、いま。ニュースの番組なんて”ながらニュース”ですよね。で、時たま良いニュース画像が出たときだけ見る。あれを上手くニュース番組でも「これから出る10秒の画像は見てください。残りは聞いといてください。」
豊島晋作ディレクター:
そういう言い方すれば良いんですね、我々も。映像を見せるために。
成毛眞氏:
それがベストだと思いますね。そうするとこの番組はながらで良いんだって思うじゃないですか。視聴率上がると思います。
豊島晋作ディレクター:
バラエティーでもわざわざカウントダウンを出したりとか結構やっていたり。今の話だと声を出す仕事。声を出すプロ。女子アナ、男性アナウンサー、生き残るにはどうなんでしょう。角谷さん気になるでしょ。
角谷暁子アナウンサー:
アナウンサーでもそうですし、テレビ局の若手社員としても、この先テレビ局で頑張っていっていいんでしょうか?
豊島晋作ディレクター:
すごい質問が出ましたね(笑)
成毛眞氏:
どうですかね。テレビ局の大きさって意外と小さいじゃないですか。例えば今問題になってますけど東芝とか、三菱重工とかですか。そういう何十万人とは違うんで、僕小さい会社は生き残ると思ってるんですよ。
豊島晋作ディレクター:
テレ東はキー局でも一番小さいです。
角谷暁子アナウンサー:
特に小さいです。
成毛眞氏:
かと言って他の民法さんもそんなに大きくないですよね。10万人いないじゃないですか、基本的に。小さい会社が生き残るって言うのがまぁ一般的なことだと思いますけどね。
豊島晋作ディレクター:
とすると(テレ東は)生き残りはできる。生き残る以外にポジティブサイドとかないんですかね。
成毛眞氏:
これはご本人次第ですよね。例えば新聞がだんだんと苦しくなってきてますよね。で、3大紙の一角が崩れるんじゃないかという風に言われてるわけじゃないですか。かと言って日経新聞は物凄い調子良いわけですよね。と、言われてるんだけどやっぱり紙落ちてるんですよね。電子版が伸びでトントンだよねっていうところだと思いますから。これから日経新聞の売り上げが10倍になるってことはないんでしょうね。だとしますと、非成長業界で最後生き残りをかけて誰か競争相手が死んでくれればそれに越したことはないねって、そういう商売じゃないですかね。
角谷暁子アナウンサー:
テレビ東京ならではの何か生き残るすべは何かあるんですかね?
成毛眞氏:
NHKの次に見てるのはテレビ東京ですよ。
豊島晋作ディレクター:
ありがとうございます。ほんとお呼びして良かったなって。
成毛眞氏:
先週ですかね、フェイスブック。僕の5万ぐらいいるんですけど、そこに書いた記事にですね、BSの9時からのニュース。新しいの始まってますよね。『プラス9』(『日経ニュース プラス9』)でしたっけ。あれは見ろって書いおきましたね。『WBS』(『ワールドビジネスサテライト』)より良いぞって書いたんで。
豊島晋作ディレクター:
ちなみにここは『WBS』のスタジオでもありますけども、『プラス9』のスタッフの皆さん、そういうことだそうです。
角谷暁子アナウンサー:
喜びます。どうしてそう書いてくださったんですか?
成毛眞氏:
やっぱりプロ用にきちんと作っているってイメージが強いですよね。今までのテレビってのはまぁ『WBS』はそうでなかったんですけども、いわゆる平均的な視聴者、つまり小学校の6年生とか中学生向け、彼らが分かるような話をしてるじゃないですか。飽き飽きしてるんです、もう多くの人は。
豊島晋作ディレクター:
優しい内容に飽きてる。
成毛眞氏:
飽きてる。だから専門用語バンバン使っていいと思うんですけど、その専門用語を細かく噛み砕いて説明しますよね。テレビの前の人はググれるから「先進め」なんです。(作り手は)視聴者がググるってことを想像してないんでしょうね。
豊島晋作ディレクター:
じゃあある程度置き去りでいいというか、専門用語そのままで突っ走っていいと。専門的に教えてくれ、言ってくれという。
成毛眞氏:
うん、番組的にはそうするべきなんで、その意味では『プラス9』はどんどんいくんで、逆にながらで見れなくてこちらからどんどん調べるんですね。
豊島晋作ディレクター:
私、『モーニングサテライト』っていう朝の番組をやってるんですけど、そこも為替とか株とかガンガンいくんですけども、私たちも時々やっぱ置き去りしちゃいけないからちょっと分かり易くみたいなところがあるんですけども、まぁ必ずしも視聴者全てが簡単な噛み砕いたものを求めているわけでもないと。そこに気付けよお前ら、ということですね。
成毛眞氏:
そうですね。日経新聞なんかもろにそうですよね。
豊島晋作ディレクター:
ということでテレ東はまぁギリ(大丈夫だと)。
成毛眞氏:
ただ、今日初めて伺いましたけれどもすごいスタジオですね。あの、副調も新しいって意味ですごい綺麗だし、あの今目の前にいるカメラさん達も、スクリプト付きのカメラが自動で動いてるんですけど、これ何なんだろうと思いながら見てるんですけど。
豊島晋作ディレクター:
オートカメラにちょっと最近入れ替えてですね、巨額のお金がかかってるんじゃないか、もう大丈夫なのかうちの会社と。
角谷暁子アナウンサー:
このスタジオもだいぶ渾身のスタジオですよね。
成毛眞氏:
あの(後ろのセットにある)階段も普通に登れる。
豊島晋作ディレクター:
登れます、半分くらい。
成毛眞氏:
それもすごいですね。
豊島晋作ディレクター:
ここ、『ワールドビジネスサテライト』とか『モーニングサテライト』とか色んな番組で共通なので、逆にテレ東も一発入魂で力を入れてやっているので、ここが我々のMAXと見ていただければ。こんなことを言うと怒られるんじゃないかと思うんですけども。(成毛さんは)他も結構色々なテレビ局に行かれたりして、見るんじゃないですかスタジオ。
成毛眞氏:
いや、僕実際に出演を受けてるのはNHKの『国際報道』だけなんです。
豊島晋作ディレクター:
世界のニュースをやってる。
成毛眞氏:
ええ。その番組だけなので。
豊島晋作ディレクター:
立派なんじゃないですか、スタジオ。
成毛眞氏:
ボーロボロですよ。大丈夫かあんた方っていう。
豊島晋作ディレクター:
ちょっと右下に”NHKの方すいません”ってスーパー出すかどうかですが(汗)
角谷暁子アナウンサー:
それだけ年月が経ってるっていうのもありますよね。ここ新しいですから。
豊島晋作ディレクター:
ということで、映像メディアどうなるかっていう点について今回やりましたけども大丈夫ですか?角谷さん。納得しました?
角谷暁子アナウンサー:
そうですね、でも結局テレビ東京で自分が何をできるかっていうのは、自分の頭で考えていかなきゃいけないと思いましたね。
豊島晋作ディレクター:
そういうことですね。はい。ということでテレ東経済ニュースアカデミー、今回はメディアの未来ということでお届けしました。ありがとうございました。
さいごに
かなり興味深い内容でしたね。
特にインターネットやスマホの登場で、メディアが多様化・細分化してきている中で、
テレビの位置づけがどうあるべきなのかというのは日々テーマに登るわけですが、
結局は「共存共栄」なんだと思います。
免許制で電波を扱っているという寡占業界であるという特殊要因を置いておいたとしても、
映像コンテンツを作る力やノウハウは一日の長があります。
特に話の中にもありましたが、広く薄くやってきた他局とは違い、
「経済」という極めて専門的で、生活に欠かせない分野を地道に続けてきた日経グループは、独特のポジションを築いていますね。
米国ワシントンD.C.の日刊紙「ワシントン・ポスト」の復活劇とも通じる部分があります。
詳しくはこちらでも解説をしています。
どんな分野でも、何かが1つだけ勝ち残るということはなく、
緩く並行して使われていくという前提で、ポジションをどうキープできるかが重要になっていきますね。
音声コンテンツの盛り上がりについても昨年12月に以下で考察をまとめてあります。
ということで、文字だけのブログも、今日の文字起こし記事のように、
他メディアとのコラボで細々と生き残っていくものの1つなのだと思います。
では、ごきげんよう。
まさにシン・マルチメディアの時代。