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株価指数界の∀ガンダム:MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスとは

株価指数界の∀ガンダム:MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスとは
この記事で分かること

・「MSCI ACWI」を構成する2つの指数
・「MSCI ACWI」の組み入れ銘柄上位
・「MSCI ACWI」は万能じゃない

おはーん、ペーパー先生です。

先月から、複数の個別株、投資信託、暗号資産での運用を、1本の投信投資に集約しまして、

ポートフォリオを極限までシンプルにしました。

具体的には『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』で、

個人投資家の間でも人気の高い商品となっています。

これは、日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する運用成果を目指すもので、

米MSCIが提供する世界株式指標「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」(略称:MSCI ACWI ※アクウィ)をベンチマークとしています。

今日は、この「MSCI ACWI」についてやわらか紹介します。

「MSCI ACWI」を構成する2つの指数

報道等では「全世界株指数」と呼ばれることもある「MSCI ACWI」ですが、

下記の図の通り、2つの指標を組み合わせて構成されています。

MSCI ACWI INDEX

【出典】MSCI ACWI Index(MSCI)

「MSCI ACWI」

(23の先進国市場と27の新興国市場の2978銘柄に投資する指数)

🇺🇸アメリカ 57.8%
🇯🇵日本 6.54%
🇨🇳中国 4.94%
🇬🇧イギリス 2.76%
🇫🇷フランス 2.93%
など

以下の2つの合算。

「MSCIワールド・インデックス」

(23の先進国市場の1586銘柄に投資する指標)

🇺🇸アメリカ 66.45%
🇯🇵日本 7.52%
🇬🇧イギリス 4.33%
🇫🇷フランス 3.37%
🇨🇦カナダ 3.26%
など

「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」

(27の新興国市場の1392銘柄に投資する指数)

🇨🇳中国 37.9%
🇹🇼台湾 13.84%
🇰🇷韓国 13.33%
🇮🇳インド 9.65%
🇧🇷ブラジル 4.46%
など

「MSCI ACWI」の組み入れ銘柄上位

「MSCI ACWI」をはじめとするMSCIの株価指数は、

組入銘柄の時価総額合計を、基準となる一時点での時価総額合計で除算して求める

時価総額加重平均方式によって算出されています。

つまり、時価総額が大きければその銘柄の保有比率は高まり、その逆もしかりというわけです。

「MSCI ACWI」が採用している銘柄やその割合については一般には公開がされていませんので、

参考になるのは、連動したETFや投資信託となります。

商品名称:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
参照指数:MSCI ACWI

1位 APPLE INC (🇺🇸) 3.8%
2位 MICROSOFT CORP (🇺🇸) 2.8%
3位 AMAZON.COM INC (🇺🇸) 2.6%
4位 FACEBOOK INC-CLASS A (🇺🇸) 1.3%
5位 ALIBABA GROUP HOLDING-SP ADR (🇺🇸) 1.1%
6位 ALPHABET INC-CL A (🇺🇸) 1.1%
7位 TENCENT HOLDINGS LTD (🇭🇰) 0.8%
8位 ALPHABET INC-CL C (🇺🇸) 0.7%
9位 TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING (🇹🇼) 0.7%
10位 JOHNSON & JOHNSON (🇺🇸) 0.7%

商品名称:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
参照指数:MSCI コクサイ・インデックス(=MSCIワールド・インデックスから日本を除外)

1位 APPLE INC (🇺🇸) 4.8%
2位 MICROSOFT CORP (🇺🇸) 3.5%
3位 AMAZON.COM INC (🇺🇸) 3.2%
4位 FACEBOOK INC-CLASS A (🇺🇸) 1.6%
5位 ALPHABET INC-CL A (🇺🇸) 1.3%
6位 ALPHABET INC-CL C (🇺🇸) 0.9%
7位 JOHNSON & JOHNSON (🇺🇸) 0.9%
8位 PROCTER & GAMBLE CO/THE (🇺🇸) 0.8%
9位 NESTLE SA-REG (🇨🇭) 0.8%
10位 NVIDIA CORP (🇺🇸) 0.8%

商品名称:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
参照指数:S&P500

1位 APPLE INC (🇺🇸) 6.5%
2位 MICROSOFT CORP (🇺🇸) 5.4%
3位 AMAZON.COM INC (🇺🇸) 4.8%
4位 FACEBOOK INC-CLASS A (🇺🇸) 2.4%
5位 ALPHABET INC-CL A (🇺🇸) 1.6%
6位 ALPHABET INC-CL C (🇺🇸) 1.6%
7位 BERKSHIRE HATHAWAY INC-CL B (🇺🇸) 1.4%
8位 JOHNSON & JOHNSON (🇺🇸) 1.3%
9位 PROCTER & GAMBLE CO/THE (🇺🇸) 1.2%
10位 NVIDIA CORP (🇺🇸) 1.1%

「MSCI ACWI」を先進国と連動した商品と比べるとご覧の通りです。

組み入れ上位はほとんど違いがないことが分かりますね。

また、パフォーマンスも実は「MSCI ACWI」と「MSCIワールド・インデックス」とでほとんど差がありません。

全世界株指数「MSCI ACWI」と先進国株指数、新興国株指数

【出典】世界経済の成長を資産形成に取り入れる現実的な方法は?=資産形成ことはじめ(5)(モーニングスター)

一方で、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」が両指数をアウトパフォームしていますが、

その勢いを「MSCI ACWI」で拾い切れていないことも分かります。

以前こちらの記事でも触れたのですが、「全世界」という響きからすると、

経済成長が目覚ましい中国の組み入れ比率が日本以下であることに違和感を覚える方もいるかもしれません。

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全世界株式インデックス投資は万能なのか投資信託やETFを通じたインデックス投資をしている方は大きく「全世界株式」「先進国株式」「米国株式」このいずれかの対象かと思います。そうした中で最近、先生の周囲ではこんな声を耳にすることが多くなりました。「経済の主役が中国になろうが米国のままだろうが自分は全世界に投資してるんで大丈夫っす!」今日は米中対立に揺れるいま、果たして全世界株式インデックス投資は万能なのかをやわらか解説します。...

何故ならば、GDPの伸びがそのまま株価に反映されないからです。

例として、中国株のみで構成される「MSCI チャイナ・インデックス」と同国のGDPの伸びを比べてみると、

■MSCI チャイナ・インデックス
2004年1月末から2021年3月末まで
→6.86倍

■中国の名目GDP ※IMF統計
2003年(1.66兆米ドル)から2020年(14.72兆米ドル)まで
→8.87倍

このように経済成長と株価の足並みが揃っていません。

株式市場は多くの投資家、多くの資金が参加することで、

効率的な市場形成がされていきますが、新興国の場合は経済成長を

株式市場がそのまま反映するような状況には成熟していないことが理由にあります。

特に中国の株式市場は外部からの参加には制限がありますから尚更です。

これが、経済成長の実態と、組み入れ比率の差に繋がってくるわけです。

このバランスをしっかり取っていきたい方は、冒頭に紹介した

「MSCIワールド・インデックス」と「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」を

ご自身が考えられる適切な配分で組み合わせるというのが良いと思います。

実際に、先生も以前までは「S&P500」と「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」を

半々で投資信託を通じて運用をしていました。

「MSCI ACWI」は万能じゃない

「MSCI ACWI」の組み入れ銘柄は、交付目論見書を見れば

上位10銘柄まで確認をすることができましたが、全銘柄を個人投資家が知る方法はないのか?

1つ方法があります。

ブラックロックが運用している「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」のサイトから、

同ETFの組入状況をCSV形式でダウンロードして確認することができます。

「MSCI ACWI」と完全に一致するものではありませんが、

連動して運用されている商品ですから、かなり近似値だと言うことができます。

ページ内の「保有銘柄一覧」の箇所に「ダウンロード」リンクがあります。

先生自身の資産運用では、「選ばないこと」を選んだ結果、もっともシンプルな

『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(MSCI ACWI)1本になりました。

引き続き資本主義国家の旗手アメリカが経済最強国として君臨し続けるのか。

もしくは大方の予想に反し、専制国家の代表として中国が下剋上を果たすのか。

これはどんなに頭で考えても分かりません。

だったら企業の時価総額を基準に自動で組み替えてもらおう。

これが「MSCI ACWI」を活用して運用する人の心構えです。

弱点ももちろんあり万能ではありませんが、一方でこれに勝るものもない。

黒歴史も含めてあらゆる事象を全て受け止める。

「MSCI ACWI」はまさに株価指数界における「∀(ターンエー)ガンダム」なのです。

では、ごきげんよう。

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今日のまとめ

数理論理学で用いられる「全ての」を意味する全称記号、それが「∀」(ターンエー)。

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