・米中対立と全世界株式インデックスファンド
・「全世界株式」「先進国株式」「米国株式」の比較
・「新興国株式」とは
おはーん、ペーパー先生です。
このブログではこれまで、米中対立について何度か取り上げてきました。
なぜこれほど注目をしているのかというと、この動向によって、
2020年代は、どの地域にウェイトを置いた投資をすべきかが大きく変わってくるからです。
投資信託やETFを通じたインデックス投資をしている方は大きく、
「全世界株式」「先進国株式」「米国株式」
このいずれかの対象かと思います。
そうした中で最近、先生の周囲ではこんな声を耳にすることが多くなりました。
「経済の主役が中国になろうが米国のままだろうが自分は全世界に投資してるんで大丈夫っす!」
今日は米中対立に揺れるいま、果たして全世界株式インデックス投資は万能なのかをやわらか解説します。
「全世界株式」「先進国株式」「米国株式」の比較
世界最大手の資産運用会社ブラックロックさんのインデックスファンドを
「全世界株式」→「先進国株式」→「米国株式」の順で見ていきましょう。
名称:iシェアーズ MSCI ACWI ETF(ACWI)
指数:MSCI AC World Index
概要:先進国および新興国の大型および中型株式で構成される指数と同等の投資成果を目指す。
<構成銘柄上位10>
🇺🇸AAPL(APPLE INC)3.98%
🇺🇸MSFT(MICROSOFT CORP)2.68%
🇺🇸AMZN(AMAZON COM INC)2.28%
🇺🇸FB(FACEBOOK CLASS A INC)1.09%
🇺🇸TSLA(TESLA INC)1.07%
🇺🇸GOOG(ALPHABET INC CLASS C)0.93%
🇨🇳700(TENCENT HOLDINGS LTD)0.93%
🇺🇸GOOGL(ALPHABET INC CLASS A)0.92%
🇮🇳INDA(ISHARES MSCI INDIA ETF)0.91%
🇹🇼2330(TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING)0.91%
<構成地域上位10>
🇺🇸米国 57.71%
🇯🇵日本 6.73%
🇨🇳中国 5.66%
🇬🇧イギリス 3.73%
🇫🇷フランス 2.77%
🇨🇦カナダ 2.67%
🇨🇭スイス 2.49%
🇩🇪ドイツ 2.40%
🇰🇷韓国 1.92%
🇦🇺オーストラリア 1.88%
名称:iシェアーズ MSCI コクサイ ETF(TOK)
指数:MSCI KOKUSAI Index
概要:日本を除く先進国の株式で構成される指数と同等の投資成果を目指す。
<構成銘柄上位10>
🇺🇸AAPL(APPLE INC)5.01%
🇺🇸MSFT(MICROSOFT CORP)3.39%
🇺🇸AMZN(AMAZON COM INC)2.88%
🇺🇸FB(FACEBOOK CLASS A INC)1.37%
🇺🇸TSLA(TESLA INC)1.34%
🇺🇸GOOG(ALPHABET INC CLASS C)1.17%
🇺🇸GOOGL(ALPHABET INC CLASS A)1.17%
🇺🇸JNJ(JOHNSON & JOHNSON)0.9%
🇺🇸JPM(JPMORGAN CHASE & CO)0.83%
🇺🇸V(VISA INC CLASS A)0.7%
<構成地域上位10>
🇺🇸米国 71.54%
🇬🇧イギリス 4.69%
🇫🇷フランス 3.49%
🇨🇦カナダ 3.36%
🇨🇭スイス 3.16%
🇩🇪ドイツ 3.04%
🇦🇺オーストラリア 2.38%
🇳🇱オランダ 1.32%
🇭🇰香港 1.13%
🇸🇪スウェーデン 1.13%
名称:iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(IVV)
指数:S&P 500
概要:米国の大型株で構成される指数と同等の投資成果をあげることを目指す。
<構成銘柄上位10>
🇺🇸AAPL(APPLE INC)7.01%
🇺🇸MSFT(MICROSOFT CORP)5.32%
🇺🇸AMZN(AMAZON COM INC)4.31%
🇺🇸FB(FACEBOOK CLASS A INC)2.05%
🇺🇸TSLA(TESLA INC)2.05%
🇺🇸GOOGL(ALPHABET INC CLASS A)1.75%
🇺🇸GOOG(ALPHABET INC CLASS C)1.69%
🇺🇸BRKB(BERKSHIRE HATHAWAY INC CLASS B)1.39%
🇺🇸JNJ(JOHNSON & JOHNSON)1.34%
🇺🇸JPM(JPMORGAN CHASE & CO)1.24%
<構成地域>
🇺🇸米国 100.00%
いかがでしょうか。
言葉だけで聞くイメージと実態はだいぶ乖離があったのではないかと思います。
特に「全世界」という響きが、もう少し地域のバランスを取ったものだと思われがちな点は注意が必要です。
なお「全世界株式」インデックスファンドで対象とされる指数は大きく以下の3つです。
<MSCI AC World Index>
24の先進国、21の新興国およそ2,500の大型・中型株を対象とした株価指数。時価総額のおよそ85%をカバー。
<FTSE Global All Cap Index>
25の先進国、25の新興国およそ7,600の大型・中型・小型株を対象とした株価指数。時価総額のおよそ98%をカバー。
<MSCI KOKUSAI Index>
日本を除く22の先進国およそ1,300の大型・中型株を対象とした株価指数。時価総額のおよそ85%をカバー。
銘柄や地域のきめ細かさに違いはあるものの、いづれの指数でも
組入比率は米国偏重で、中国は6%弱というのは変わりません。
では、ここで「全世界株式」と「米国株式」の推移を比較してみましょう。
青(全世界株式):iシェアーズ MSCI ACWI ETF(ACWI)
赤(米国株式):iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(IVV)
こちらのグラフは直近1年間の推移です。
ほぼ誤差ですね。
5年間で見た時には米国株がやや優勢ですが、
グラフの形はほとんど同じですね。
つまり何が言いたいのかというと、
「全世界株式」は中国が経済で駆け上がった場合にそれほど有効ではなく、
思っているほど万能じゃありませんよ、ということです。
「新興国株式」とは
参考までに、ブラックロックさんの「新興国株式」インデックスファンドを見て終わりにしましょう。
名称:iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)
指数:MSCI Emerging Markets Index
概要:新興国の大型、中型および小型株式で構成される指数と同等の投資成果を目指す。
<構成銘柄上位10>
🇹🇼2330(TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING) 5.78%
🇨🇳700(TENCENT HOLDINGS LTD)5.68%
🇨🇳BABA(ALIBABA GROUP HOLDING ADR REPRESEN)5.37%
🇰🇷5930(SAMSUNG ELECTRONICS LTD)3.99%
🇨🇳3690(MEITUAN)1.87%
🇿🇦NPN(NASPERS LIMITED N LTD)1.11%
🇨🇳JD(JD.COM ADR REPRESENTING INC)0.89%
🇨🇳NIO(NIO AMERICAN DEPOSITARY SHARES REP)0.83%
🇮🇳RELIANCE(RELIANCE INDUSTRIES LTD)0.81%
🇨🇳939(CHINA CONSTRUCTION BANK CORP H)0.8%
<構成地域上位10>
🇨🇳中国 37.38%
🇰🇷韓国 14.08%
🇹🇼台湾 13.96%
🇮🇳インド 9.49%
🇧🇷ブラジル 4.72%
🇿🇦南アフリカ 3.38%
🇷🇺ロシア連邦 2.65%
🇸🇦サウジアラビア 2.32%
🇹🇭タイ 1.95%
🇲🇽メキシコ 1.67%
新興国という響きとこれらの構成地域がピタッとはまらない方もいるかもしれませんが、
インデックスで分けるとこうなるんですね。
なお、今日の本筋である中国への投資を考える場合、
名称:iシェアーズ 中国大型株 ETF(FXI)
指数:FTSE 中国 50 インデックス
概要:香港証券取引所で取引されている中国の大型および中型株式で構成される指数と同等の投資成果を目指す。
中国市場に限定したETFもありますので、
IVVとFXIを組み合わせるなどでバランスを取っていくようなことも可能です。
投資は自己責任でね。
では、ごきげんよう。
ETF選びはミニ四駆のパーツ選びと似ている。