・米財務省のリスト
・進む米中分断
・結局どうすべきか
おはーん、ペーパー先生です。
2020年11月、トランプ米大統領が中国人民解放軍と関係が深いとされる中国企業について、
米国投資家による株式などの購入禁止を目的とする大統領令に署名しました。
米財務省が2020年11月22日付で公表している「Non-SDN Communist Chinese Military Companies List」(いわゆる軍支配下にあると見なされる企業リスト)では、現時点で35社が記されています。
今日は米中両国の資本市場における現状についてやわらか解説します。
進む米中分断
ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、中国の通信大手3社
・中国電信(チャイナテレコム)
・中国移動(チャイナモバイル)
・中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)
を大統領令に準じた判断に基づき、1月11日に取引停止とすることを公表しました。
なお、5日には上場廃止措置の中止を明らかにしたのち、すぐさま手続きを再開すると再発表するなど混乱も続いています。
また、株価指数算出会社の米MSCIは8日の取引終了時点で、
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)など関連指数からこの3社を除外したほか、
5日以降に上記リストに含まれる中芯国際集成電路製造(SMIC)など7社を
指数組み入れ銘柄から外すと発表済みでしたが、こちらの実施については不透明です。
【出典】株価指数会社、中国軍関連企業を除外 米政権と足並み(日経電子版)
2020年12月17日 2:56 (2020年12月17日 11:48更新)
ポンペオ米国務長官は本件に関連し、
「投資家の認識がない中で、中国共産党と関係の深い軍需企業に
知らず知らず資金提供している懸念が和らぐはず」と述べています。
結局どうすべきか
20年12月18日には、米当局による会計監査の検査を3年連続で受け入れない
外国企業を上場廃止とする法案「外国企業説明責任法」が成立。
こちらも中国企業が念頭に置かれているとされます。
NYSEやナスダックには230社を超える中国企業がADR(米預託証券)を上場させており時価総額は1兆ドル強。
米国株式市場の時価総額全体の約3%を占めます。
バイデン政権誕生後も、米中対立の現状を大きく見直していく可能性は、世論を踏まえると考えにくく、
資本市場での米中分断は21年以降さらに加速をしていくことが予想されます。
国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しによると、
20年のGDPがコロナ禍で主要国唯一プラス成長となる1.9%だった中国は、
21年に8.2%になると予測されています。
中国では東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)参加のほか
環太平洋経済連携協定(TPP)への参加検討も進めており、
米国抜きでの経済圏確立を視野に着実に動き出している状況です。
今後の資産形成においてもこのテーマは無視することはできません。
ただしどういう結末になるのかも見通すことはできません。
個別銘柄は話が複雑になるので今日は触れませんが、
インデックスファンドでの運用を考える際には「米国」だけではなく
中国を含む「新興国」も念頭に置いておく重要性が高まっているわけです。
投資は自己責任でね。
では、ごきげんよう。
両張りせざるを得ない。