ごきげんよう、ぺいぱです。
このブログの内容は動画でも解説しています。
https://youtu.be/NPhkHfXyicQ
先日、サブチャンネル「ぺいぱのひとりごと」の視聴者さんから、こんなコメントをいただきました。
👤匿名希望 さん
独身fire民の皆さんは、自分の財産の相続をどう考えているのか気になります。 誰に渡す予定なのか。それとも遺贈でどこかに寄付するのか。 子持ちの私の財産は良くも悪くも、子供と嫁さんにいくので、あまり深く考えたことがないテーマなんです。
たしかに、パートナーやお子さんがいるご家庭ではそもそも議題にならない視点ですね。ぼくは独身で家族がいませんから、このテーマを深掘りするのにはピッタリです。
そこで今回は、この番組の視聴者層である40代を想定し、独身で多くの資産を保有したまま老後を迎えた場合、資産がどこへ行くのか、どんな選択肢があるのか、そして生前に何を準備しておくといいのかを、ぼく自身の考えも交えて整理してみたいと思います。
なお、今回取り上げる話は法律や税金の助言ではなく、ぺいぱ個人の考えをもとにした一般的な整理です。そのため、実際にこのような手続きをされる場合は、事前に各種専門家にご確認いただけますと幸いです。
何もしないと資産はどこへ行くのか
配偶者もお子さんもいない場合、法律で決まっている相続人は次の順番になります。
1. 親(直系尊属)
↓
2. 兄弟姉妹
↓
3. 甥・姪
↓
4. 誰もいない
まず、親。ただし30年、40年先を考えると、親はすでに亡くなっている可能性が高いですよね。
その次に兄弟姉妹。ここも同じ世代であることが多いでしょうから、自分より先に亡くなっていることも十分にあり得ますし、仮に資産を引き継いだ場合その人が独身だとまた同じ課題を抱えることになります。
その次は、兄弟姉妹の子ども、つまり甥や姪が代わりに相続することになります。ただし、これは一代限りで甥や姪の子どもまでは続きません。
そして誰もいなければ「相続人がいない」という扱いになり、最終的に国庫行きとなります。
国に入るのはなにも珍しい話ではありません。日本総研の資料によると、2024年に相続人がいないため国に入った財産は約1,300億円。10年前の約3倍だそうです。独身の方が増え、きょうだいも少ない時代ですから、この流れは今後も続くのかもしれません。
もちろんそれがいけないということではなく、「国に納めるのもひとつの社会還元だ」という考え方もあると思います。ただ、自分から選んでいるのと、何も考えずにそうなるのとでは、全然位置付けが違ってきます。
行き先は大きく5つある
では、資産の行き先としてどんな選択肢があるのか。大きく分類するとこの5つになるかと思います。ここからは、あくまでぺいぱの私見としてお話ししていきますので予めご了承ください。
① 自分で使い切る
② 何もしない(法律に任せる)
③ 意思をもって個人に渡す
④ 意思をもって社会に渡す
⑤ その他
それぞれ見ていきましょう。
①は、自分で使い切るということです。生きているうちに自身の体験や健康、そして住まいや生活などに使う。選択肢としてはこのような感じになるでしょうか。
・生前に使う(DIE WITH ZERO)
→ 旅行や趣味、学び、食事、運動、住環境の整備など。
・終身で受け取れる収入を増やす
→ 年金の繰下げ受給、終身年金保険、トンチン型年金など。
・自宅の価値を生活に回す
→ リバースモーゲージ、リースバック。
・介護や住まいに充てる
→ 有料老人ホームの入居一時金など。
②は、法律に任せる。つまり「何もしない」ということです。法定相続人のルールに則り、誰もいなければ国に行きますが、例外もあります。
・親/兄弟姉妹/甥姪への法定相続
→ 兄弟姉妹や甥姪が相続すると、相続税が2割加算される。
・特別縁故者への分与
→ 内縁のパートナーや介護してくれた人などが、家庭裁判所に申し立てて認められれば受け取れる。ただし、認められるとは限らない。
・国庫に入る
→ 相続人も特別縁故者もいなければ、債務などを清算した残りが、最終的に国のものになる。
③は、意思を持って特定の誰かに渡すこと。遺言で甥姪のひとりに渡したり、友人や恩人に渡したり。きょうだいには、最低限の取り分である遺留分がありませんから、遺言があれば思いどおりに渡しやすいです。
・遺言による遺贈
→ 甥姪の特定の一人、友人、パートナー、恩人など誰にでも渡せる。
・死因贈与
→「自分が死んだらあげる」という生前の契約。渡す側と受け取る側の合意が必要。
・生前贈与
→ 暦年贈与(年110万円まで非課税)など。相続時精算課税制度は、子・孫が対象のため甥姪や友人には使えない。
・生命保険の受取人
→ 甥姪などを指定できる場合がある(保険会社の条件による)。ただし相続人でない人が受け取る場合、生命保険の非課税枠は使えない。
・信託
→ 遺言代用信託や家族信託。信託銀行などのサービスを使う方法と、信頼できる人に託す家族信託がある。「毎月〇万円ずつ渡す」など、渡し方まで設計可能。
④は、意思をもって社会に渡すこと。NPOや大学などへの寄付、自分の名前を付けた基金を作る、といった形です。
・遺贈寄付
→ NPO(認定NPO法人など)、大学、自治体、公益法人などへ遺言で指定して渡す。国や公益法人等への遺贈には、原則、相続税がかからない。現金での寄付が基本で、株式や不動産は受け入れてもらえないこともある。
・生前寄付
→ 対象団体への寄付金控除やふるさと納税を使う。効果を自分の目で見られる。
・自分の名前を付けた基金や財団
→ 冠基金、公益信託、一般財団法人。それぞれ運営の手間は違い、冠基金が一番軽い。
⑤は、その他です。どの分類にも入らないけど、考えておきたいものを並べます。
・ペットのために残す
→ 世話をしてもらうことを条件に財産を渡す負担付遺贈やペット信託。
・人や事業への投資
→ エンジェル投資、若い起業家や作家の支援、奨学金の創設。
・死後の後始末に使う
→ 葬儀、納骨、遺品整理、デジタル遺品の処理。死後事務委任契約を結んだ相手へ支払う。数十万〜数百万円かかるが、事実上避けられない行き先。
ざっとまとめてみましたが、どれが正解という話ではありません。あくまで選択肢として考えられるものを並べました。
本題は亡くなった後より「判断能力を失った後」
この話、一番のポイントは「独身の場合の最大のリスクが、亡くなった後ではなく認知症などで判断能力が衰えた後の数年間である」ということ。
結婚をしていれば「家族がなんとかする」という前提があります。でも、独身の場合そうはいきません。判断能力が衰えると、口座の取り引きが事実上難しくなったり、施設との契約が難しくなったりします。
何も準備していなければ、家庭裁判所が後見人を選ぶことに。ここでは専門家が選ばれることも多く、その報酬も継続的にかかります。
そこで、独身の終活はこの4点セットで捉えるといいのではと思います。
A. 見守り契約:
定期的に、安否や様子を確認してもらう。
B. 任意後見契約:
判断能力が衰えたときに自分が選んだ人に財産の管理を任せる。契約は判断能力があるうちに結んでおく。
C. 死後事務委任契約:
葬儀や遺品整理などを任せる。
D. 相続や遺言:
判断能力があるうちに、亡くなった後の財産の行き先を決めておく。
つまり、相続や遺言はこの4つの中の最後のひとつにすぎないんですね。
FIREは構造的に資産が残る
もうひとつのポイントは、FIRE民の取り崩しの設計について。
FIREというと、4%ルールのように資産が尽きないことを重視した取り崩し方が基本です。この設計を80代まで続けると、多くの資産が残る可能性があります。
お子さんがいれば、それでも構わないと思いますが、独身の場合、残った資産は意図せず甥姪か国に行くことになります。
だから、年齢とともに取り崩す割合を上げていく、という考え方もあるでしょう。ただ、寿命は誰にも分かりません。ゼロ着地しようとしすぎると長生きしたときに困ります。そこが難しいところですよね。
そのため、年金を遅らせて受け取る「繰下げ受給」も選択肢のひとつだと思います。75歳まで遅らせると受け取る額が84%増えます。長生きへの備えという意味では、独身の方には向いているという見方ができます。
ぺいぱの場合はどうするか
では、ぼくの場合はどうか。
現在の純資産は1億円ほど。内訳は、全世界株が4割、保有不動産が4割強、暗号資産が1割ちょい、残りは現金、という感じ。2024年末に早期退職していまは無職。そして独身クソ野郎です。
ぼくは「自分の資産を全部使い切って終わり」というよりも、できれば誰かの役に立つ形で残したいと思っています。
一括で寄付して終わり、という選択肢もゼロではありませんが、できれば一度きりではなく、続いていく仕組みにできたらいいなと。
来年頭に法人を設立する予定だという話を以前にさせていただきました。
その法人でキャッシュフローが継続的に生まれる状態を作り、その原資の一部で誰かを支援する形を作れないか。そして、できれば自分が亡くなった後もその仕組みが続いていく。そんな形になるのが理想です。
ぺいぱ個人による労働収入で得られる収益は、今後どれだけ積み上げてもぼく自身がいなくなれば止まります。一方で、例えばオルカンや不動産などは、ぼくがいなくなっても続いていく。つまり、亡くなった後も回り続ける仕組みを支えるのはそうしたアセットなんですね。
もちろん事業を起こし、そこに人を投入して継続するサイクルを作るということもあるでしょう。そんなことも含め、生きている間に自分がいなくても回っていく資産構造に変えていく。これが、法人の役割のひとつかもしれません。
もう1つのポイントは法人の形です。ひとり起業で合同会社の場合、社員(=出資者)が欠けた時点で会社は解散となります。なので考え方としてはこんな選択肢になります。
<株式会社にする>
・最初から株式会社で設立する
・途中で株式会社に組織変更する
<合同会社のまま続ける>
・定款に持分承継の規定を置く
・信頼できる人を社員に加える
あとは仕組みの「重さ」も念頭に入れておく必要がありますね。
例えば法人を作るのとは別に、社会支援のための一般財団法人などを作った場合は、人もお金も運営の手間もさらにかかります。ぼくの資産の規模だと、先ほどの冠基金や公益信託のような、もっと軽い方法のほうが合っているかもしれません。
このあたりは、税理士さんとこれらの構想について相談してから決めたいと思っています。
いずれにしても、なんとなくのイメージを持っているだけで、すべて初めての取り組みです。どこまでやり切れるか分からなくても、できるところまでやればいい。途中で構想が止まったとしてもきっとそこまでの行動は無駄にならないだろうと、今はそう考えています。
さいごに
今回は、独身FIRE民の資産の行き先についてお話ししました。一番の気付きは、相続よりも手前、判断能力があるうちに自分の意思を形にしておくということ。
甥姪に行くならそれでいい、国に納めるのも社会還元だ、という考え方はあるでしょう。ただし、相続人がいない場合は周りの人にこのような手間が発生します。
・家庭裁判所に申し立てて清算人を選んでもらう必要があり、財産の内容によっては予納金を誰かが立て替えることもある。
・清算には年単位の時間がかかる。
・賃貸物件や遺品の後始末で、大家さんや自治体に負担をかける。
「何もしない」を選ぶにしても、死後事務委任だけは結んでおくのが、残された人たちに迷惑をかけないための最低ラインとも言えます。
ざっくり、年代別ロードマップをまとめるとこんな感じでしょうか。
● 40代後半〜50代
暫定版の遺言、口座の一覧化、エンディングノートの着手。資産の行き先についての「仮の意思」を持つ。
● 60代
年金を繰り下げるかの判断、老後の住まいの方針、口座の集約、任意後見を任せる人探しと契約。(契約は、判断能力があるうちに結んでおく)
● 70代
取り崩しの加速、資産の現金化を進める、寄付先の確定。遅くとも70代前半までに、公正証書遺言の作成、死後事務委任契約、見守り契約。生前寄付の場合は渡した結果を自分で見る。
● 80代〜
資産管理の簡素化(現金に寄せる)、任意後見への移行。
子持ちの方の資産は「良くも悪くも」自動的に行き先が決まります。しかし独身の資産は、自分で決めなければ思わぬ行き先になることがある。これは不安材料に見えますが、裏返せば資産の最終的な使い道を自由に選べるということでもあります。
FIREが「時間の自由」を得る行為だったとすれば、独身FIRE民の終盤は「お金の行き先の自由」をどう設計するかというテーマになるわけです。
自分で使い切るのか、特定の誰かの人生を後押しするのか、社会に託すのか。いずれにしても大切なのは判断能力があるうちに、その意思を形にしておくことです。
皆さんは、ご自身の資産の行き先について考えたことはありますか。独身の方も、ご家族がいる方も、よかったらぜひコメントで教えてください!
おしらせ
「やわらか中学校」から生まれた4コママンガ「やわらかクエスト -お金と仕事と呪われし大陸-」の公式アイテムがついに登場! 現代社会における世知辛いお金や仕事の話をあえて王道RPG風な世界で描いてみたら、をテーマにnoteでお届けしている本作。登場キャラクターたちがこの度かわいいグッズになりました!
この「やわらか中学校」では、ぺいぱの資産運用の実体験を中心にお金や仕事に関する話題をお届けしています。ぜひチャンネル登録・いいね・コメントをよろしくお願いいたします!
また、YouTubeサブチャンネル「ぺいぱのひとりごと」は、ぺいぱが興味関心のある話題を取り上げて好き放題喋り倒すラジオのような、ながら聴き用コンテンツとなっています。
そしてこの「やわらか中学校」から生まれた4コママンガ「やわらかクエスト -お金と仕事と呪われし大陸-」をnoteで連載中。中世RPG風の世界観でお金や仕事に関するあるあるネタを扱った作品となっていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
ということで、今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
判断能力があるうちに、資産の行き先を考えよう。

