・FIRE生活を始めてから実感する失ったもの
・メリットだけでなく意外なデメリットについて考察
・FIRE後の生活設計で注意すべきポイント
ごきげんよう、ぺいぱです。
このブログの内容は動画でも解説しています。
ぼくは2024年いっぱいで20年近く勤務してきた会社を早期退職し、今年からFIRE生活をスタートしました。FIRE生活が良いかどうか、向いているかどうかは、1年ぐらい経過しないと分からない部分ではありますが、体調がイマイチだったり天候が悪かったりした際に、出かけなくて良いというのは、なかなかストレスフリーです。その割には最近血圧がまた上昇し始めたのはなぜでしょうか(汗)
よく「FIRE卒業」なんて話を耳にしますね。大きく分類するとこんな感じでしょうか。
① 資産が想定より早く減少し、再び働く必要が生じたケース
・運用の失敗
(株価の急落、円高による評価額減少など)
・インフレの加速
(想定以上に生活費が上昇し、取り崩し額が増加)
・税金/社会保険料の負担増
(思ったよりも税負担が大きく、資産が予想以上に減少)
・支出管理の失敗
(旅行や趣味、浪費などで資産が急減)
② FIRE生活が予想と違い、精神的に満足できなかったケース
・暇すぎて刺激がない
(やることがなく、人生に張り合いがなくなる)
・社会とのつながりが薄れる
(職場の同僚がいなくなり、孤独を感じる)
・目標や達成感がなくなる
(仕事のように評価されたり成果を感じる場面が減少)
・家族や配偶者と意見が合わない
(配偶者がFIRE生活に不満を持つ)
③ 健康や家庭環境の変化により、FIRE生活が難しくなったケース
・病気や介護が必要になった
(医療費の増加、介護費用が想定以上にかかる)
・家族の状況が変わった
(子どもの進学、家族の転職・転居などで収入が必要になる)
・離婚やパートナーとの別れ
(共有していた資産の分割が発生し、経済的に厳しくなる)
④ 仕事の魅力や自己実現のためにFIREを卒業したケース
・憧れの仕事に挑戦する
(起業、フリーランス、趣味が仕事になる)
・キャリアを再開したくなった
(FIRE後に「まだ働きたい」と思い直す)
・人と関わる仕事がしたくなった
(仕事を通じて社会的な役割を持ちたくなる)
このように「FIRE卒業」は決して資産的な理由だけでないというわけです。いずれにしてもこれらは、FIREをした人の多くが直面するテーマでもあり、「自由を手に入れたはずなのに、なぜかしっくりこない」と感じる要因の一つになっています。
そんな今回は、ぺいぱ自身がFIRE生活を丸2ヶ月過ごして実感した「失ったこと」について、実体験を交えながら話しをしていきます。FIREを目指している方や、すでにFIREした方の何らかの参考になれば幸いです。
① 人と対面で話すこと。
② 社会的な役割・肩書き。
③ 日々のルーチン。
④ 頑張ってる感や達成感。
⑤ メリハリのある生活リズム。
⑥ 仕事のストレス。
⑦ 給与/賞与。
⑧ 成長の機会。
⑨ 人からの感謝や評価。
⑩ 会社の福利厚生。
⑪ 社会保険料の会社負担分。
⑫ 社内で得られる情報。
⑬ 週末のありがたみ。
⑭ 緊急時の組織的なサポート。
⑮ 仕事を言い訳にすること。
⑯ オフィスのデスク環境。
⑰「お疲れ様です」と言う機会。
⑱ 新しい出会いの機会。
⑲ 効率よくこなすという思考。
⑳ 保有資産。
FIREで失ったこと20連発
では、早速いってみましょう!
会社員時代は何気ない雑談やミーティングで、問答無用に多くの人と交流していました。しかし、今は意識的に会わないと人と話す機会がありません。人と会うためには、予定を立てたり、わざわざイベントなどに出向く必要があります。好きか嫌いが大きく分かれるところではないでしょうか。ぼくは人と話すのは好きですが、長らく続いた会社員の管理職業務で、ほとほと人と接することに疲れてしまったので、しばらくは一人で過ごす時間を大事にしたいと思います。
「会社員」という肩書きを失うことで、自己紹介に迷うようになりました。人とあまり会わないですからそんな機会も少ないのですが、アンケートや会員登録などのシーンでは困ります。仕事をしていたときは「株式会社〇〇の△△です」と言えば済みましたが、今は何も仕事をしていませんし名刺も持っていません。身の上の説明が面倒だったりしますので、何かを登録する際には「フリーランス」か「無職」にすることが多いですね。FIREされた皆さんは何にされてますか?
会社員時代は定例MTGなどがありました。いわゆるルーチンワークというものです。しかし、FIRE後は完全に自由。自由すぎることで逆にリズムが乱れやすくなり、気を抜くと1日中ダラダラ過ごしてしまうこともあります。ぼくはなるべく散歩・筋トレ・原稿書きといったコアタスクをある程度決めて過ごすようにしていますが、あまりぴっちりさせすぎると早期退職した意味もありませんから、自由気ままとのバランス感をどう取るべきかに苦慮しているところです。
会社員をしていた頃は、なんだかんだ不満はありながらも、何かをやり遂げる達成感がありました。しかし、FIRE後は「やらなければならないこと」がほぼゼロなので、達成感を感じる機会が激減しています。この「やわらか中学校」の運営や資産運用、筋トレなど以前から続けていることはありますが、誰かから評価されるわけでもなく「これでいいのか?」と自問することもあります。適度な負荷があったほうが、人は充実感を得やすいのかもしれませんね。
FIRE後は曜日の感覚が薄れ、平日と休日の区別がなくなります。最初はその制約の無さで楽なのですが、時間管理をしっかりしないと、ダラダラ過ごす日が増えてしまいます。会社員時代は「週末を楽しみに頑張る」といった波がありましたが、それがなくなったことで逆に「何かしなきゃ」という切迫感が生まれることもあります。会社員として長年何かに追われ続けた呪いかもしれません(笑)いずれにしても、メリハリがある方が時間の価値を感じやすいと言えます。
ここは純粋に最高と言いきれます。会社員仕事って理不尽なことが多いじゃないですか。何か1つ進めるにしても会議に次ぐ会議。そして色々な社内外での利害関係者と生産性のない調整ごと。自分の勤務先だけがそうなのか、日本企業がそうなのか、これが人間のコミュニケーションの本質なのかはよく分かりませんが、限られた時間消費の内容としてはあまりにももったいないし、きっと身体にも良くない。なので、FIREで失ったものの中で最もこれが貴重かもしれません。
会社員時代は、毎月の給与が振り込まれ、年2回の賞与もありました。FIRE後は労働収入がない分、資産運用による収入に頼ることが中心になりますが、相場次第なので精神的な負担が増えるのも事実。従来以上にディフェンシブな運用と計画的に資産を取り崩すことが求められ、支出の管理が以前にも増して慎重になります。つまり、毎月の定期収入のありがたさというのは、会社を辞めてからより強く感じるようになるわけです。
会社員時代は、業務を通じて新しいスキルを学んだり、プロジェクトに挑戦したりと、成長の機会が自然と得られました。しかし、FIRE後はそうした機会が激減します。意識的に自己研鑽をしないと、スキルの向上が止まってしまいます。時間は自由に使えるので、読書やオンライン講座などでスキルアップすることは可能ですが「やらざるを得ない状況」がないため、モチベーションを保つのが難しいと感じることがありますね。自主的に学ぶ意識がより重要になります。
仕事をしていると、上司や同僚、顧客から「ありがとう」と言われる機会が意外と多かったことに気づきます。FIRE後は、こうした感謝や評価を受ける場面が大きく減少します。誰かにとって自分の存在が必要とされているという感覚がなくなると「社会とのつながりが希薄になった」と感じることにつながりますから、FIRE後も何らかの形で人の役に立つ活動をすることが、精神的な充実感や自己肯定感を得るためには必要でしょう。
社会保険だけでなく、交通費や社割、健康診断など、会社員時代には当たり前のように享受していた特典が、FIREをすればなくなります。こうした会社の福利厚生は、いざなくなってみると意外とありがたいものだったと気づきますね。会社によってその手厚さはまちまちですが、最近では、リモートワークやワークライフバランスを重視した制度が増えていて、企業ごとに独自の福利厚生を用意していることが多いです。なお、ぺいぱの勤務先はそういうの手薄でした(笑)
先ほども少し触れましたが、こちらは法律で義務付けられている福利厚生ですね。会社員時代は、厚生年金や健康保険の約半分を会社が負担していましたが、退職するとこの会社負担分がなくなり、支払額が増加します。特に厚生年金から国民年金に切り替わると、将来の受給額が減る(可能性が多い)ため、長期的な資産計画が重要になります。また、FIRE1年目は前年の所得を基に計算された住民税や健康保険料が請求されるため注意が必要です。
会社では業界の最新情報やトレンドが自然と耳に入ってきました。しかし、FIRE後は意識的に情報収集しないと、業界動向をキャッチアップするのが難しくなります。特に、同僚との雑談から得られる小さな情報や、プロジェクトの推進で自然と最新技術に触れたり、ヒントを得たりが意外と重要だったことに改めて気付かされます。あえて、そうしたところから距離を取るというのもアリですが、自分で調べる習慣をつけないと、どんどん情報に疎 くなってしまいます。
会社員時代は「金曜日の夜に開放感を得る」というサイクルがありましたが、FIRE後は曜日別の感情の起伏が存在しなくなるんですね。もちろん「日曜日に憂鬱になる」なんてこともありません。言い方を変えれば、刺激が少なくなったとも言えます。そのため、FIRE後も自分なりに「平日モード」「休日モード」を意識的に作ることを大切にしています。ぼくの場合は休日にサブチャンネルの配信や筋トレを休みにするといったことを実践しています。
会社員時代は、仕事で問題が起きても上司や同僚、総務や法務といった専門部署が何かしらサポートしてくれました。しかし、FIRE後は当たり前ですがすべて自分で解決しなければなりません。特に、健康や手続きごとなど、これまで会社の制度や同僚の知見に頼っていたことも、個人で対応する必要があります。ちょっとしたサポートがないだけでも、意外と手間がかかることに気付かされるんですよね。そのため、FIRE後は「自己管理能力」がより重要になります。
「仕事があるから」という理由で、面倒なことを断ることができなくなります。これ、あまり意識していませんでしたが、結構使って来ていたんですよね。気の乗らない友人からの誘いとか、予約していた場所に遅れそうな時とかに「ちょっと仕事が立て込んでて…」を理由にすることが今はもう使えません。ま、実際はFIREしたことを周囲に言ってませんから、今でも通用するんでしょうけど、なんか嘘つくの気がひけるんですよね(笑)
FIRE後に気付くのが「オフィスのデスク環境は相当快適だった」ということです。会社では広いデスク、快適な椅子、デュアルモニターなど、仕事がしやすい環境が整っていました。しかし、FIRE後は自宅の作業スペースがメインになり、椅子の座り心地やデスクの高さなどは、自分で整えていく必要があります。コストをかければどこまでも良くなりますが、青天井なので適正範囲を決めるのがすごく難しいということもあります。なお、ぼくは60万円かけました。
会社員時代は、一日の中で何度も「お疲れ様です」「こんにちわ」と挨拶をしていました。こうしたやり取りは単なる習慣のように思えますが、実は社会とのつながりを感じる大切な要素だったのだと気付きます。FIRE後は人と話す機会が少なくなるため、こういうやりとりもありません。もちろん挨拶を無視されて無駄に気分が悪くなることもありませんが(笑)いずれにしても挨拶をするという些細な行動が社会との接点を感じることにつながっているわけです。
FIRE後の生活では、新しい人との出会いが圧倒的に減ります。会社員時代は、プロジェクトや会議、飲み会などを通じて、自然と人とのつながりが生まれていました。しかし、FIRE後はこのような新たな人間関係を築く機会が極端に少なくなります。「一切新しい人間関係を作る必要はない」という生き方もあるかもしれませんが、刺激は薄くなります。そのため、コミュニティに参加したり、趣味を通じた交流を意識的に増やすことが必要になってきますね。
会社員時代は、限られた時間の中で業務をこなすため、いかに効率よく作業を進めるかを常に考えていました。しかしFIRE後は、仕事のスケジュールや締め切りがなくなるため「どうやって効率よくタスクをこなすか?」という思考が薄れがちです。「明日やればいいか」という考えが生まれやすく、先延ばしの癖がつくこともあります。何もしない日が続くと「このままでいいのか?」という漠然とした不安も生じるため、時間管理のルールを作ることが大切です。
FIREしてすぐに実感したのは、資産がどんどん目減りする感覚です。もう日々何かにつけて請求書しか送られてこない(笑)そして今年は特に株式市場も不安定ですからそうでなくても資産が減っています。FIRE生活は「築き上げた資産を切り崩しながら生きる」スタイルなので、どれだけ計画を立てても、資産が減っていくこと自体には慣れが必要です。資産が減ることに対する不安とどう向き合うか。これがFIRE生活と合うか合わないかの鍵になると感じています。
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さいごに
今回は、FIRE生活2ヶ月を振り返って「失ったもの」を挙げてみましたが、いかがだったでしょうか?
① 人と対面で話すこと。
② 社会的な役割・肩書き。
③ 日々のルーチン。
④ 頑張ってる感や達成感。
⑤ メリハリのある生活リズム。
⑥ 仕事のストレス。
⑦ 給与/賞与。
⑧ 成長の機会。
⑨ 人からの感謝や評価。
⑩ 会社の福利厚生。
⑪ 社会保険料の会社負担分。
⑫ 社内で得られる情報。
⑬ 週末のありがたみ。
⑭ 緊急時の組織的なサポート。
⑮ 仕事を言い訳にすること。
⑯ オフィスのデスク環境。
⑰「お疲れ様です」と言う機会。
⑱ 新しい出会いの機会。
⑲ 効率よくこなすという思考。
⑳ 保有資産。
ぼくは今ところ不満があるわけではありません。むしろ、これは想定内の変化であり、新しいライフスタイルに適応していく過程にすぎません。
会社員時代に享受していた社会的なつながりやルーチンは、確かに便利で安心感をもたらすものでしたが、一方でFIREによって手に入れた自由もまた大きな価値があるからです。結局のところ、どちらのライフスタイルにもメリット・デメリットがあるのは当然のことですね。
FIREの真価は、単に仕事を辞めて自由を得ることではなく、自由になった時間をどう使うかにかかっています。FIREはゴールではなく、新たなスタートライン。長期的に充実した生活を送るためには、自分で時間をデザインし、意識的に社会とのつながりを作っていく必要があります。
ぼくの今後ですが、2026年以降は何か人との繋がりがある活動や、法人化の可能性も視野に入れながら、より充実させたFIRE生活を模索していく予定です。とはいえ、まずは焦らず「FIREよちよち歩き期間」として、この1年は足場固めをしていきたいと思います。今後も、FIRE生活のリアルを発信していくので、同じような道を目指している方の参考になれば幸いです。
最後の最後にサブチャンネルのお知らせ。1年ほど前から「ぺいぱのひとりごと」という番組をやっていまして、原則、平日の朝に配信をしています。お金や仕事の話題を中心に、直近の出来事で関心の高いものを取り上げて、ぺいぱが好き放題喋り倒すラジオみたいな内容ですので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
人生はノーコンティニュー!悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
FIRE生活にも経験は必要。