・0.01%ルール、1%ルールとは何か
・なぜ節約よりも時間管理が重要なのか
・資産形成で本当に守るべきものは何か
ごきげんよう、ぺいぱです。
このブログの内容は動画でも解説しています。
近年、10代・20代を中心にどんなことでもタイパ(タイムパフォーマンス)・コスパ(コストパフォーマンス)が重視される時代になりました。
<よく耳にするタイパ・コスパ重視行動>
・ドラマや映画を2倍速で視聴
友人との話題に乗り遅れないため膨大なコンテンツを効率よく消化したい。
・音楽はサビまで短い曲を好む
サブスクの普及により数秒で「好き判断」できない曲はスキップされる傾向がある。
・ショート動画で情報収集
料理のレシピ、美容法、ニュースなど要点だけを短時間で効率的に取り込みたい。
主にはこんなところでしょうか。
インプットに効率を求める背景には、情報が溢れる現代において「結果」のみを重視し、浮いた時間を利用して自分の好きなことに充てたいという構造があります。40代のぼくが過ごしてきた「経過」を重視する昭和後期〜平成前期の空気感とは一変していることが分かるわけです。ま、大人が用意したスマホ&SNSの普及が後押しして作られた世界観ですから、他人事とは思えませんけどね。
さて、資産形成の世界においても、こうしたタイパ・コスパの考え方というのは大きな影響を及ぼしています。
<資産形成界隈のタイパ・コスパ重視行動>
・特定のインフルエンサーへの過度な依存
自分で調べることをせず、特定の発信者が言ったことを盲目的に追従してしまう。
・ミーム株や草コインへの全力投球
業績に関係なくネット上の熱狂で動く金融商品に全財産に近い資金を投入する。
・楽して儲かるを謳う投資詐欺への接触
短期間で高額報酬を得られる案件を妥当性の有無関係なく安易に手を出す。
先ほどの事例同様、スマホ・SNSという文化が根底にある点は共通しているようにも思えますが、もちろん悪いことだけではありません。
・NISA × ネット証券のフル活用
・オルカンほったらかし投資
・カード積立でのポイント最大化
こんな文化が若い世代で広がっているのもまたスマホ・SNSのおかげであるという側面がありますから、結局「両刃の剣」とでも言いましょうか、スマホ・SNSも使い方次第で良くも悪くもなるわけです。
このように、現代の若者を中心に広がるタイパ・コスパ重視の価値観は、短時間で結果を得ることを追求する傾向にあるわけですが、こと資産形成の分野においては単に「お金を効率的に増やす」という話だけでなく、「寄り道しないようにルール化する」といった時間コントロールの話と捉えることもできます。
「時は金なり」なんて言葉がありますが、色々なノイズが多い現代において「自分の限られた時間をどのレベルの悩みまでなら割いてもいいか」という境界線を持つことに本質があるのかもしれませんね。
今回はそんなお金と時間を軸にしながら、資産形成で意思決定の優先順位を整理する考え方について紹介していきたいと思います。ぜひ最後までお楽しみください!
書籍「THE WEALTH LADDER」
データサイエンティストで人気ブロガーでもあるニック・マジューリさんの著書『THE WEALTH LADDER 富の階段 ─ 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』。 本書は、現在の資産レベルに応じて取るべき正しい投資戦略やお金に対する考え方を示す実践的な戦略書です。
ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の続編であり、こちらが「何にいつ投資するか」といった具体的な戦術に焦点を当てていたのに対し、
本書は一歩引いた視点で、読者が現在どの資産レベルにいるかに応じて、意思決定の優先順位やお金に対する考え方を整理することを目的としています。主なテーマはこのようになっています。
<主なテーマ>
・人生を変える「富の階段」
・「富の階段」をかけ上がる6つの戦略
・自分のゴールの見つけ方
現在の自分の立ち位置を正確に把握し、そのステージで最も効果的な行動に集中することで、無駄な心配や非効率な努力を避け、着実に資産レベルを上げていくための行動指針を記してある、と言った感じです。「何を考えるべきで、何を考えなくていいのか」。その線引きを教えてくれる本なんですね。詳細は本書を手に取っていただくとして、今回はこの中で紹介されている「0.01%ルール」と「1%ルール」という考え方を取り上げます。
0.01%ルールとは何か
まず一つ目、0.01%ルール。このような考え方です。
「純資産の0.01%以下の支出は長期的に見て財産にほとんど影響しない」
これは日常生活において「罪悪感なく小さな贅沢を許容するための基準」として捉えることができます。日々の細かい出費に対する「意思決定疲れ」を減らし、精神的なゆとりを得るための合理的な指針ということです。
このルールは、自分の純資産が毎日生み出すであろうリターンを基準にしています。毎日、資産が「0.01%」増える(=前日の1.0001倍になる)と仮定して、それを365回繰り返すと約1.037倍(+3.7%)になります。
株式市場の長期的な期待リターンは、どのインデックスへ投じるかでレンジがありますが、歴史的に見て年5%〜7%程度で考えることができ、自分の資産が年3.7%以上で運用できているなら「毎日資産の0.01%を使い切ったとしても、理論上、元本は減るどころか増え続ける」ということになります。
つまり、著者は「市場がもたらすであろう最小限のリターンの範囲内なら、それは実質的にタダ(無料)で消費しているのと同じである」と定義しているわけです。
具体的な例はこの通り。
・純資産100万円の人:
1日あたり約100円以下の支出はOK。缶コーヒーやちょっとした一品などであれば、毎日悩まずに買っていいと判断できる。
・純資産1,000万円の人:
1日あたり約1,000円以下の支出はOK。ランチの際に数百円高いメニューを選んだり、お気に入りのお菓子やお酒を手に取るなどの自由が得られる。
・純資産1億円の人:
1日あたり約1万円以下の支出はOK。レストランでの少し高めなメニューや、タクシーでの移動、飛行機の座席アップグレードといった支出を許容できる。
資産形成界隈でよく耳にする考え方とはだいぶ温度感の違うことが分かりますね。「ラテマネー(日々の少額決済)に気をつけよう!」なんてぼく自身も意識していたりしますから。この考え方は、資産形成層が陥りがちな「お金を使うことへの罪悪感」を、データと論理によって解消してくれる、極めて現代的で合理的なアプローチとも言えます。
もちろん資産形成に大きな影響を与えないとは言っても、繰り返し大きな支出を積み重ねていけば膨大になります。ここは重要なポイントであり、本書ではこのような目的で使うことが想定されています。
①「時々」の贅沢や迷った時の判断基準:
生活費の予算(家賃や食費全体など)を置き換えるものではなく、「晩ごはんにこのお惣菜は追加すべきか?」といった、日常の細々した意思決定疲れをなくすために機能する。
②「毎日」を是とする支出ではない:
あくまで「もし毎日その額を使っても、理論上のリターン範囲内だから大きな影響はない」という目安であり、実際に毎日その上限まで散財することを推奨しているわけではない。
③ 富のレベルに応じて自由度が広がる:
資産が増えるにつれて「0.01%」の金額も大きくなるため、罪悪感なく使える金額が増えていく。これは資産形成のモチベーション維持にもつながる。
たしかに極限まで支出を切り詰めた生活を続けていくよりも、こう言ってもらえる方が気分的に楽になる考え方だな、という印象です。この「0.01%ルール」、小さな意思決定で悩む時間を減らし、一方では着実に資産形成を進めていくという、現代的なタイパに基づいたお金の哲学と言えます。
1%ルールとは何か
次に「1%ルール」。こちらは支出ではなく「機会」に対するこのようなルールです。
「純資産を1%以上増やせない可能性しかないならその案件に時間をかける価値は低い」
前述の「0.01%ルール」が支出に対するルールだったのに対し、この「1%ルール」は投資判断に対するものです。金額感としてはこのようになりますね。
・純資産1,000万円の人= 10万円以下の案件は時間的価値がない。
・純資産5,000万円の人= 50万円以下の案件は時間的価値がない。
・純資産1億円の人= 100万円以下の案件は時間的価値がない。
対象となる案件、これは金融投資だけでなく仕事受託でもそう。それらを必死に実行して、自分の純資産が1%以上増える見込みがあるかどうかを自分に問いかけることが大事だということです。日常生活や投資シーンに置き換えると、このようなやめるべき行動が見えてきます。
① 個別銘柄の「深掘り」を制限する
純資産3,000万円の人が、数万円分だけ買う予定の個別株について、何十時間もかけて決算書を読み込んだり、SNSで情報を漁るのは非効率。その銘柄が2倍になったとしても資産全体で見れば微々たる増分(1%未満)にしかならない。なのでその時間はもっと別のこと(本業や家族との時間、あるいは大きな資産配分の検討)に充てるべきだ、という考え方。
②「ポイ活」や「節約情報の検索」を捨てる
「どのクレジットカードがお得か」「どのスーパーの卵が安いか」「いつからキャンペーンが始まるか」を調べる時間は、多くの人にとって純資産を1%も動かさない。資産形成の初期段階(資産が少ない時期)を除けば、こうした細かい比較に時間を溶かすのは避けたい。
③「確実性の低いサイドビジネス」への投資判断
副業や新しい投資話が舞い込んできたとき、それが成功しても純資産が1%も増えない、労力に見合わないのであれば、最初から検討の土台に上げない。
かなりの割り切り方ですよね。
中には「金額だけが重要な要素じゃない」と思われた方もいるでしょう。実際にぼくもそう思いました。これらは「人間の時間は有限であり、集中すべきは『大きなレバー(影響力の強い決定)』だけであるべきだ」という著者の哲学がベースにあります。
■資産が少ない時期:
1%の金額が小さいため、投資の勉強よりも「入金力を上げる(本業で稼ぐ)」ことの方が、純資産を1%以上増やす近道になる。
■資産が多い時期:
1%の金額が大きくなるため、細かい売買よりも「全体の資産配分(アセットアロケーション)」を1%改善することに時間を割く方が圧倒的に効率的。
こういうことを踏まえると、若年層の資産運用が「オルカン一本」であるというのも、実は無意識にこの「1%ルール」を実践していると言えます。個別の銘柄を当てて1%の上積みを目指す苦労よりも、市場全体に乗り続けてとにかく入金力上げる、一定程度増やし切ったら浮いた時間で人生を楽しむ。これこそ本書が提案する「富の階段」を賢く登るための、究極の意思決定術と言えます。
おしらせ
キャラクター”ぺいぱ”がデザインされた「資産運用学園やわらか中学校」公式アイテムがついに販売開始!トイレットペーパーを模したキャラデザの由来は、古くなったお札が再利用されてトイレットペーパーになることや、ウン(運)がつく縁起ものだからなど、諸説あり。いずれのアイテムも日常使いできるシンプルデザインです!ぜひお買い求めください!
さいごに
今回は「1,000円で悩む人ほど資産が増えない」というテーマで話を進めてきましたがいかがだったでしょうか。
「0.01%ルール」も「1%ルール」も本質はお金の話ではありませんでした。有限でプライスレスな時間を守るためのルール。人は日々の生活において、
・対して重要ではない支出に悩み
・非効率な案件に時間を使う
その結果、本当に重要な時間や判断をする余力をどんどん失っていくわけですね。資産を増やすことは、その人の選択肢を増やすことだとよく言い換えられますが、考えなくていいことを増やすことでもあるわけです。
近年、FIREが注目されたことで入金力を高めていくことと併せ、極端に支出を絞り込んでいく節制力も重要視されてきました。もちろん節約は大事です。ぼくもそんな時期を2年ぐらい過ごしました。ただ、全部を同じ重さで扱わないこと。
「悩む価値のあるお金」と「悩まなくていいお金」
「時間を使う価値のある機会」と「切り捨てていい機会」
この線引きができるかどうかで、きっとQOL(人生の質)が変わってくるのでしょう。
なお、ぺいぱは新しいものを買う際及び腰になりがちです。使い慣れるのに時間を要すこともありますし、もしそれが自分に合わなかったらという不安が付きまとうからです。つい最近も、破れた布団カバーを買い替えるかどうかを2週間ぐらい悩んでいました。金額にすると4,500円ほど。
これ、節制に努めて貯蓄率を高めた生活をしてきた人ほどそんな「支出下手」に陥るのではないでしょうか。お金を使う、という場数が減っていますから純粋に腕が落ちてるんですよね。そういう人たちにとっても今回紹介した「0.01%ルール」や「1%ルール」は役立つかもしれません。
皆さんは資産形成において守られているマイルールはありますか? ぜひコメント欄で教えていただけると嬉しいです。
この「やわらか中学校」ではお金や仕事に関する話題を中心に、FIRE生活に突入したぺいぱの日常を赤裸々にお届けしています。ぜひチャンネル登録・いいね・コメントをよろしくお願いいたします!
また、YouTubeサブチャンネル「ぺいぱのひとりごと」は、ぺいぱが興味関心のある話題を取り上げて好き放題喋り倒すラジオのようなライブ配信番組となっていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。
ということで、今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
人生はノーコンティニュー!
悔いのないようにやっていきましょう。
では、ごきげんよう。
お金と時間は表裏一体。
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メインテーマをひとしきり喋り終わった後で、さらになんやかんやと喋っていくコーナーです。
ぺいぱは2024年末に、今後自分が生きていく上で大事にしていく「人生目標」を定めました。いわば今回取り上げたような指針作りにおける人生版のようなものです。立てたものはざっくりこんなもの。
・人の役に立つ物書きをする(自己実現)
・若手作家の活動支援をする(他者貢献)
詳しくはこちらの回「新章開幕!金融資産7,500万円FIRE後の目標設定を考える」をご覧いただければと思います。
で、この1年間、どうだったかということですが、まず「人の役に立つ物書きをする」については
・やわらか中学校の運営
・ドラマ脚本の勉強
・4コママンガの連載
強いて挙げるとすればこんな感じです。
社会人になって以来、節目節目で文章や絵を描く機会には恵まれていましたので、そうした経験を活かしていくことが将来に渡り自分の価値を段階的に高めるのでは、という視点での設定です。いま現在やっていることは、どれだけ人様のお役に立っているかはよく分かりませんし手応えもないですが、いつもご覧いただく皆さまのおかげでなんとかこの「やわらか中学校」の運営を続けることができています。いつもありがとうございます。
そして「若手作家の活動支援をする」について。ぼく自身が自費で専門学校に通った上でデザイナーとして社会人をスタートしたこともあり、創作や表現に携わる人々へのリスペクトはいまだに強いんですね。人事としての経験もあるので、そうした方々のキャリアや活動を色々な側面から後押しするような支援ができればということで設定しました。
2025年の活動としては具体的に2件。1つは、今年3月にYouTubeサブチャンネル「ぺいぱのひとりごと」にて「1周年記念企画 最大同接数に応じて若手芸術家支援基金へ寄付 10時間ぶっ続けライブチャレンジ」なるものをやったんですね。具体的にはこんな内容でした。
【本企画について】
■コンセプト:
「聴くだけで誰かの未来がほんのり明るくなる」。ぺいぱの人生目標の1つ「若手作家の活動支援をする」。その小さな第一歩としてライブ配信中の最大同時接続数に応じて後日「藝大若手芸術家支援基金」へ寄付を行います。(最大同接×1,000円)
■ルール:
・最大同時接続数は10分以上継続しているもの。
・同接0人が10分以上続いた時点で配信終了。
・ぺいぱがチカラ尽きても配信終了。
■日時:
2025年3月29日(土)15:00〜30日(日)1:00(計10時間)
■対象ライブのアーカイブ動画:
https://youtube.com/live/ZJMQYK44weU
結果としては見事10時間を完走しまして最大同接14名、つまり1.4万円を「藝大若手芸術家支援基金」へ寄付させてもらいました。
もう1つは、知人の映像作家さんが現在初の長編アニメーション『我々は宇宙人』の制作を進めていまして、そのチームが作品の品質向上を目的に行なっているクラウドファウンディングへの参加です。こちらには5万円(3000円+4.7万円)出させてもらいました。
劇場用オリジナルアニメをしかも長編でやるという、なかなかのチャレンジですが、こうした取り組みが継続的に行われていかないと後進も続いていきません。本作が素晴らしい内容に仕上がり、2026年の公開時に多くの人の目に触れられることを祈っています。すでにトレーラー(紹介映像)が公開されていますので、皆さんもぜひチェックしてみてください。
ということで、「支援」と言いつつもまだまだ小さな第一歩となりました。しばらくは既存の仕組みに参加する形で寄付をやってきたいと考えていますが、将来的にはこんな枠組みにまで昇華できるといいなと構想しています。
1. 基金の目的
・日本の若手作家に対し「実験的な試行錯誤ができる余白」を提供する。
・「文化の種まき」として10〜20年後のエンタメ資産を育てる。
2. 主な支援内容
・奨励金の提供
・プロボノによる伴走
・作品発表機会の提供
本日取り上げた「0.01%ルール」に置き換えてみると、ぺいぱは1日あたり1万円の支出は気にすんな、ということになります。ただ、これだと基本的には自分のことを賄うので精一杯なんですよね。いまの延長で行くととても第三者の支援活動はスケールしていかないわけです。
こういうのは一発巨額というより、どれだけ継続的に長く取り組めるかの方が重要でしょうから、しっかり活動するにはしっかりした枠組みも整えていく必要があるということになります。ま、一歩一歩ですね。
では、ごきげんよう。

