・商社セクターを見ていくためのポイント
・個別企業のポイント
・商社セクターを見る上でのリスク要因
おはーん、ペーパー先生です。
今日は商社株についてです。
商社株と言えば昨年8月に、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が
日本の5大商社株に投資したことが話題になりました。
4月にはバークシャー・ハザウェイが円建て社債の発行に動き、
これが商社株の更なる買い増しに繋がるのではないかという話も出ています。
今日は、6月23日にテレビ東京『Newsモーニングサテライト』で取り上げられた
商社セクターについて、やわらか紹介します。
商社セクターを見ていくためのポイント
バフェット氏の5大商社への投資直後は株価が上がったものの、その後は落ち着いてます。
また、1600億円の円建て社債については未だ投資先が表明されておらず、
商社株への追加投資になるかは不透明な状況です。
そして何よりも、商社は脱炭素を見据えた経営改革を求められていますが、
ドラスティックな経営資源の再配分をどのように行っていくか見えていない点も懸念点ですね。
その一方、コロナ後の景気回復や資源価格上昇が業績の追い風になると考えられます。
商社セクターを見ていくためのポイントとして、SMBC日興証券の森本晃(もりもとあきら)シニアアナリストは以下の3つを挙げています。
「商品価格高によるコストプッシュ型」
→資源事業
「景気回復によるディマンドプル型」
→非資源事業
この両面が業績面でポジティブに作用しやすい。
海運(80.9%)
石油上流(41.9%)
高炉(33.7%)
総合科学・合織(23.9%)
石油元売(23.3%)
商社(19.0%)
紙パルプ(10.5%)
TOPIX(7.5%)
非鉄製錬(▲2.9%)
セメント(▲7.1%)
※年初来から6月18日時点
他の素材セクターと比較した時の出遅れ感があり過熱感がない。
TOPIXの配当利回り平均2%程度に比べ、5大商社は4.0%と高い基準。
個別企業のポイント
続いて個別企業のポイントについて森本シニアアナリストの分析です。
インフレ恩恵銘柄の代表格と考えられる。
鉄鉱石や原油といった資源高が継続した場合、上振れのポテンシャルは大きい。
現状、発行済み株式総数の1.8%に相当する500億円の自社株買いを実行中だが、
今期、さらに追加で500億円規模の自社株買いがあると予想している。
資源高が継続するシナリオの場合の株価は、3000円台後半の余地もあり得る。
一方、資源価格が低調に推移する場合、下限配当の90円が下支えと見ており、2000円程度が理論株価。
三井物産同様に、資源価格高騰が続けば、業績のアップサイド余地がある一方、
5大商社の中では、その恩恵は他社と比べて小さい。
また、配当性向も他社比べ見劣りする。
伊藤忠(25.4%)、丸紅(26%)、三井物産(32.4%)、住友商事(38%)、三菱商事(52.1%)
※22年3月期会社計画に基づく配当性向
加えて、自社株買いの終了を発表しているが、当初の発表よりも規模感が小さかった。
長期的な目線では、脱炭素という商社として直視しなければいけないテーマに対応しなければいけない経営の対応力は評価。
今期から始める中期経営計画では24年3月期までに一般炭権益からの完全撤退を表明。
21年3月期の第3四半期の決算発表と同時に、コロンビアのドラモンド炭鉱の売却を発表。
実際のアクションに至るまでの経営のスピード感は極めて速く評価できる。
配当性向の低さから、本決算の発表以降は株価は弱含んでいる。
投資リターンや株主還元など、具体的な企業価値向上に向けた道筋を示せれば再評価の期待が高まる。
商社セクターを見る上でのリスク要因
森本シニアアナリストによると、商社セクターは
インフレ恩恵を受けるため、商品市況については常に注意が必要とのこと。
特に、米国のテーパリングを意識せざるを得ない中で、マネーの流出という逆回転を挙げていました。
ただ、前回のテーパリング時に起きた、商品市況の大幅な下落は想定しておらず、
ボラティリティを伴いながらも高値圏での推移を見込んでいるということです。
なぜ高値圏での推移なのか?その理由として考えられるのが以下です。
🇨🇳中国
内需の弱さ→金融引き締めせず?
🏭脱炭素
新たな商品需要の加速
将来のEVの期待値の高まりが銅価格を支えるなど、
グリーンコモディティが投資資金の受け皿になると考えられるためです。
今日は商社の紹介でしたが、普段テック系ばかりを追いかけている身としては、かなり勉強になる内容でした。
よろしければこちらの記事もご覧ください。
では、ごきげんよう。
「最近どの商社も(資源投資を)積極的にやっている。個人的には本当にそれでええんかなと。みんな投資をしているときは冷静にならんと」(伊藤忠商事 岡藤正広会長の2010年社長就任時コメント)